結論:低ボラティリティのなかでHYPEとXMRが相対的に強い
2026年8月13日時点で、ビットコイン(BTC)は約6万3,600ドル付近で小動きが続いています。米国の7月消費者物価指数(CPI)が市場予想通りに着地したことで相場は落ち着きを見せましたが、方向感を決定づける材料には至らず、狭いレンジでの「様子見」相場となりました。そのなかで、パーペチュアルDEX「Hyperliquid」のトークンHYPEと、プライバシーコイン「Monero(XMR)」がBTCを上回るパフォーマンスを示しています。本記事では、この値動きの背景とデリバティブ市場のポジション動向を、DEX・DeFiの視点から整理します。
CPI通過後の相場:BTCは6.36万ドルで膠着
CoinDeskのデータによると、BTCはUTC0時(協定世界時の日付変更時点)以降で0.30%上昇したものの、暗号資産市場全体の時価総額は過去24時間で0.54%減少し、2兆1,800億ドルとなりました。市場は上下いずれにも大きく振れず、典型的な低ボラティリティの保ち合いに入っています。
投資家心理を示すCoinMarketCapの「恐怖・強欲指数(Fear and Greed Index)」は、100点満点中38の「恐怖(Fear)」水準にあります。強気とも弱気とも言い切れない、慎重ムードが数値に表れている状況です。
相場を左右したのは米国のインフレ指標です。7月のCPIは前年同月比3.4%と市場予想と一致し、コアインフレ率も前年比2.5%へと前月の2.6%から鈍化しました。予想通りの結果は「悪材料出尽くし」として一定の安心感を与えたものの、積極的な買いを呼び込むほどのサプライズはありませんでした。UTC12時30分に控える生産者物価指数(PPI)が、その後の方向感を探るうえでの次の注目材料とされていました。
株式市場もほぼ横ばいで、S&P500先物は0.13%上昇、ナスダック100先物はほぼ変わらずでした。伝統的資産の落ち着きも、暗号資産市場の様子見ムードと連動しています。
HyperliquidのHYPEが上昇:オンチェーン永久先物の存在感
アルトコインのなかでBTCを上回ったのがHYPEで、UTC0時以降2.7%上昇しました。HYPEは、独自のレイヤー1上でオーダーブック型のパーペチュアル(無期限)先物取引を提供するDEX「Hyperliquid」のネイティブトークンです。
Hyperliquidは、中央集権型取引所(CEX)に近い板取引の使い勝手と、オンチェーンの透明性・セルフカストディを両立させることを目指したプロジェクトです。ユーザーは自身のウォレットで資産を管理したまま、高速なマッチングエンジンでレバレッジ取引を行えます。取引手数料の一部をトークン保有者やエコシステムに還元する設計が意識されており、こうしたプロトコル収益とトークン価値の結びつきが、相場全体が停滞するなかでも相対的な強さにつながったと考えられます。
CEXの相次ぐ規制圧力やカウンターパーティリスクへの懸念を背景に、オンチェーンで完結するデリバティブ取引への関心は継続しています。HYPEの動きは、DEXデリバティブ領域への資金の一部シフトを象徴する事例として注目に値します。
Monero(XMR)の上昇:プライバシー需要の根強さ
もう一つの上昇銘柄がXMRで、UTC0時以降3.2%上昇しました。Moneroはリング署名やステルスアドレスといった技術で送金の匿名性を高める、代表的なプライバシーコインです。
ビットコインやイーサリアムの取引が原則すべてブロックチェーン上で追跡可能なのに対し、Moneroは取引金額・送信者・受信者を秘匿する設計を採用しています。規制やコンプライアンスの観点から一部取引所での取り扱い縮小といった逆風がある一方で、金融プライバシーを重視する層からの根強い需要が価格を下支えする構図が続いています。相場全体が方向感を欠くなかで、他資産との相関が低いプライバシーコインへ資金が向かった可能性があります。
デリバティブ市場のポジション:弱気シグナルと強気の綱引き
先物市場では取引の入れ替わりが続いています。24時間の出来高は1,470億ドルとなり、前日比で6%増加しました。一方、全暗号資産先物の建玉(オープンインタレスト、OI)は約1,160億ドル付近でほぼ横ばいで、活発な売買のわりに新規のポジション積み増しは限定的でした。
特徴的なのがXRPです。XRP先物のOIは26億7,000万トークンと10月以来の高水準で、3日連続でこの水準を維持しました。ただし24時間の累積CVD(Cumulative Volume Delta:成行注文の買い越し・売り越しを示す指標)はマイナス圏にあり、成行での売りが買いを上回る弱気の執行が続いています。CoinDeskはこれを、1ドル割れの可能性を示唆する弱気の兆候と指摘しました。もっとも、年率換算のパーペチュアル資金調達率(ファンディングレート)は8%近辺とプラス圏にあり、ロング(買い)に傾いた面も残っており、強弱が拮抗している状況です。
ADA・BCHの弱気傾斜とAVAXのポジション巻き戻し
カルダノ(ADA)とビットコインキャッシュ(BCH)は、より明確に弱気に傾いています。両銘柄のファンディングレートは-10%以下となり、ショート(売り)ポジションへの偏りが鮮明です。24時間CVDもマイナスで、積極的な売りが観測されました。
とりわけADAは、OIが直近の過去最高である27億9,000万トークンにわずかに届かない水準にあります。これは、既存のロングを手仕舞う動きではなく、記録的な参加水準の近くで新規のショートが積み増されていることを示唆します。強気材料が乏しいなかで、トレーダーが下落に賭ける姿勢を強めている点は留意が必要です。
アバランチ(AVAX)は様相が変化しました。週の前半にはOI増加の上位銘柄でしたが、直近24時間ではOI減少の最大銘柄へと転じています。同様にライトコイン(LTC)などでもポジションの巻き戻しが見られ、特定銘柄への一方的な資金集中が続きにくい地合いを反映しています。
DEX利用者が注意すべきポイント
低ボラティリティの保ち合い局面では、レバレッジ取引の妙味が薄れる一方で、突発的なニュースによる急変動リスクは残ります。PPIのようなマクロ指標の発表前後は、薄商いのなかで値が飛びやすく、清算(ロスカット)を巻き込んだ連鎖的な動きが起きやすい点に注意が必要です。
ファンディングレートやCVD、OIといったデリバティブ指標は、HyperliquidをはじめとするオンチェーンDEXでも確認できる情報が増えています。こうした数値は市場心理を読む手がかりになりますが、あくまで過去から現在のポジション状況を示すものであり、将来の価格を保証するものではありません。特定銘柄のOIが記録的水準にある局面では、ポジションの一斉解消による急変動の可能性を織り込んでリスク管理を行うことが重要です。
まとめ
2026年8月13日の暗号資産市場は、予想通りの米CPIを通過して低ボラティリティの様子見相場となりました。BTCが約6.36万ドルで膠着するなか、パーペチュアルDEXのHYPEとプライバシーコインのXMRが相対的な強さを見せた点は、テーマ性のある銘柄へ資金が向かいやすい地合いを示しています。一方、デリバティブ市場ではXRP・ADA・BCHで弱気のポジションが目立ち、強弱が拮抗する不安定さも抱えています。DEX・DeFiユーザーは、ファンディングレートやOIなどの指標を確認しつつ、マクロ指標発表前後の急変動リスクに備えた慎重な取引を心がけたい局面です。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。取引は自己責任で行ってください。





