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ブラックロックとOndoが示す投資ポートフォリオのトークン化
トークン化·7分で読める

ブラックロックとOndoが示す投資ポートフォリオのトークン化

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-10-04

📋 この記事のポイント

  • 1ブラックロックのモデル戦略を基に、Ondo Financeが複数資産を単一トークン化。
  • 2仕組み、DeFiでの活用可能性、規制・流動性・担保リスクを解説します。
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投資ポートフォリオのトークン化とは、複数の株式・ETFなどで構成する運用戦略を、単一のオンチェーントークンとして保有・移転できるようにする仕組みだ。 BlackRockのモデル戦略を基にOndo Financeが開始した「Ondo Intelligent Portfolios」は、個別資産のトークン化から、資産配分そのもののトークン化へ進む事例となる。 ただし、BlackRockが商品を運用するわけではなく、利用地域、流動性、スマートコントラクト、担保評価などのリスク確認が欠かせない。

BlackRockとOndo Financeが発表した新商品

CoinDeskは2026年10月3日、BlackRockとOndo Financeの取り組みを、投資ポートフォリオ全体がオンチェーン化される将来像を示す事例として報じた。

Ondo Financeが発表した「Ondo Intelligent Portfolios」は、複数の資産へのエクスポージャーと配分ルールを一つの商品にまとめ、その持分を単一のトークンとして発行する仕組みである。投資家は各構成資産を個別に購入し、自分で比率を計算してリバランスする代わりに、ポートフォリオを表すトークンをミントまたは償還する。

開始時の商品は、インカム戦略の「BLKHIon」、分散成長戦略の「BLKDIGon」、高成長戦略の「BLKGRWon」の3種類だ。いずれもBlackRockがOndo向けに作成したモデルポートフォリオ戦略を基礎とし、組み入れ資産と目標配分は設定時に決められ、所定のスケジュールでリバランスされる。

重要なのは、BlackRockが各トークンを直接発行・運用しているわけではない点だ。公式開示によると、BlackRockの役割は裁量を伴わないモデル戦略の提供に限定される。実装方法、トークン発行、資産配分の執行、保管、商品運営はOndo側が担う。

個別証券から「運用戦略」のトークン化へ

これまでのRWAトークン化では、米国債、社債、プライベートクレジット、株式、ETFといった個別資産をブロックチェーン上で表現する取り組みが中心だった。Ondo Stocksも、米国株やETFと経済的に連動するトークンを提供する基盤である。

Intelligent Portfoliosが一歩進んでいるのは、個々の証券だけでなく「どの資産を、どの比率で組み合わせ、いつ調整するか」という運用戦略まで商品化する点だ。Ondoは、構成資産としてOndo Stocksを利用し、配分、リバランス、手数料ロジックをスマートコントラクトへ組み込むとしている。

従来の投資信託やETFも複数資産を一つの商品にまとめるため、分散投資という考え方自体は新しくない。違いは、トークンがウォレット間で移転でき、残高や取引をオンチェーンで確認でき、対応するDeFiプロトコルの構成要素になり得ることだ。

CoinDeskが紹介したPantera Capitalの見方を借りれば、市場は「単一証券のオンチェーン化」から「オンチェーン・ポートフォリオ」へ移行し始めたと整理できる。

単一トークンが変えるリバランスの実務

複数資産を自分で管理する場合、投資家は売買、配分計算、リバランス、手数料、税務記録などを個別に処理する必要がある。相場変動で構成比率が変われば、目標比率へ戻すための追加売買も発生する。

Ondo Intelligent Portfoliosでは、Ondoがモデル戦略を商品へ実装し、あらかじめ定めたルールとスケジュールに沿って調整する。保有者が直接管理するポジションは一つになるため、ウォレット上の資産管理を簡素化できる可能性がある。

一方で、「自動化されている」ことと「リアルタイムで個人最適化されている」ことは同義ではない。現在公表されている3商品は、設定時の資産と目標比率を基礎に固定スケジュールでリバランスする。CoinDeskが論じる、市場データや個人のリスク許容度に応じて常時調整されるポートフォリオは、将来的な構想として区別すべきだ。

また、公式開示では、BlackRockがモデル戦略を継続的に更新する義務は限定的であり、BlackRock側のモデル変更をOndoの商品へ反映するかどうかもOndoの判断になると説明されている。投資家は「BlackRockが常時運用している商品」と誤認してはならない。

DEX・DeFiで想定される活用方法

オンチェーン・ポートフォリオの特徴は、保有だけでなく別の金融機能と組み合わせられる点にある。Ondoは、Intelligent PortfolioトークンをDeFiレンディングやパーペチュアル取引の担保、利回り商品の構成資産、さらに別のポートフォリオ内部の資産として利用する将来像を示している。

例えばAave型のレンディング市場では、対応資産を供給し、担保として有効化したうえで別資産を借りる設計が一般的だ。ただし、BLKHIonなどがAaveで自動的に担保として使えるわけではない。実際の採用には、価格オラクル、流動性、清算時の売却可能性、担保係数、供給上限などのリスク評価が必要になる。

UniswapのようなDEXでも、トークンが移転可能であるだけでは十分ではない。取引プール、流動性提供者、適切な価格形成がなければ、大口取引時のスリッページが大きくなる。さらに、構成資産は伝統市場の取引時間や流動性に依存するため、オンチェーン側が稼働していても、原資産を同じ条件で売買できるとは限らない。

Ondo StocksはDeFiでの利用を想定して設計されているが、各プロトコルへの統合状況と担保条件は個別に確認する必要がある。

ETFとの違いとオンチェーン化の利点

ETFとIntelligent Portfolioトークンには、複数資産へのエクスポージャーを一つの商品で取得するという共通点がある。異なるのは、保有・移転・決済をブロックチェーン上で実行し、スマートコントラクトから参照できることだ。

オンチェーン化により、リバランス履歴やトークン移転を公開台帳で確認しやすくなり、ウォレットやDeFiアプリから同じ資産を利用できる可能性が生まれる。Ondoは、対象トークンをピア・ツー・ピアで移転可能とし、制限地域を除く継続的なアクセスを掲げている。

ただし、Ondo Stocksは原株そのものではない。公式資料では、保有者が得るのは原資産と配当再投資後の価値に連動する経済的エクスポージャーであり、原株の所有権、議決権、法定の株主情報請求権は付与されないと説明されている。トークン1単位が原株1株と常に同じ価格になるとも限らない。

したがって、従来ETFの単純なブロックチェーン版と考えるのではなく、発行体への請求関係、裏付け資産、償還条件、移転制限を含む別の商品構造として理解する必要がある。

投資家が確認すべき規制・技術リスク

第一の論点は利用資格である。Ondoのトークンは米国で登録された証券ではなく、米国人への提供には制限がある。英国、スイス、シンガポールなどでも、適格投資家やプロ投資家に限定される場合がある。日本居住者が利用できるかどうかも、画面へアクセスできることだけで判断せず、最新の提供条件と国内法を確認すべきだ。

第二は発行体・保管リスクである。Intelligent PortfolioトークンはOndo Global Markets(BVI)が発行する別個の証券であり、保有者はポートフォリオ内部のファンドや証券を直接所有しない。裏付け資産が存在しても、発行体、保管、償還、法的隔離の仕組みを確認する必要がある。

第三はスマートコントラクトとオラクルのリスクだ。配分やリバランスがプログラム化されるほど、コードの不具合、管理権限、価格データの異常、ブリッジ障害がポートフォリオ全体へ波及し得る。

第四は担保化による損失拡大である。BLKGRWonなどを担保に借入を行えば、ポートフォリオ価格の下落時に清算される可能性がある。分散された商品であっても、借入を重ねれば安全性が保証されるわけではない。

まとめ

BlackRockとOndo Financeの取り組みは、トークン化の対象が個別の株式やETFから、資産配分とリバランスを含む投資戦略へ広がり始めたことを示している。BLKHIon、BLKDIGon、BLKGRWonは、複数資産へのエクスポージャーを単一トークンとして管理する具体例だ。

将来的には、こうしたトークンがAave型レンディングの担保、UniswapなどDEXの取引資産、別の自動運用商品の構成要素になる可能性がある。ただし、現時点で利用可能な統合と将来構想は区別しなければならない。

投資家にとっての実務的な確認事項は、BlackRockとOndoの役割分担、対象地域、原資産への権利、償還条件、DEX流動性、価格オラクル、スマートコントラクト、担保利用時の清算条件である。単一トークンによる利便性だけでなく、その内側にある法的・技術的な構造まで確認する姿勢が求められる。

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