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SECの株式トークン化でCoinbaseなど3社が先行か
トークン化株式·7分で読める

SECの株式トークン化でCoinbaseなど3社が先行か

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-21

📋 この記事のポイント

  • 1米SECがトークン化株式をAMMで取引できる期間限定制度を導入。
  • 2Coinbase、Robinhood、Circleが恩恵を受ける理由と、株主権・流動性・規制面の課題を解説します。
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トークン化株式とは、株式または株式に連動する権利をブロックチェーン上のトークンとして扱う仕組みです。 米SECは2026年9月、一定の条件下で米国株トークンをAMMで取引できる「イノベーション免除」を導入しました。 CoinDeskが紹介したアナリスト分析では、Coinbase、Robinhood、Circleが初期の有力な受益企業とみられています。ただし、既存の商品がそのまま米国制度に適合するわけではありません。

SECが開いたトークン化株式市場への限定ルート

米証券取引委員会(SEC)は2026年9月17日、トークン化されたNMS株式をオンチェーンで取引するための、暫定的かつ条件付きの免除措置を公表しました。NMS株式は、米国の主要な証券市場制度の対象となる上場株式を指します。

今回の制度では、Tokenized Securities Venue(TSV)と呼ばれる運営主体が、許可された参加者向けの自動マーケットメーカー(AMM)と流動性プールを提供します。スマートコントラクトは監査可能かつ公開され、パブリックなパーミッションレス型分散台帳へ配置されなければなりません。一方、誰でも無条件に取引へ参加できる制度ではなく、取引参加者の管理は必要です。

免除期間はSEC命令の公表から5年間です。対象銘柄数と取引量には上限が設けられ、原株の発行会社には異議を申し立てる機会が与えられます。原株が主要取引所で売買停止になれば、対応するトークンの取引も同時に止めなければなりません。

つまり、SECが全面的に「株式のDEX取引」を解禁したわけではありません。投資家保護と市場監視を維持しながら、AMMを使った株式取引を限定環境で検証する制度と理解するのが適切です。

Coinbaseは発行・保管・取引基盤を横断できる

CoinDeskによると、Goldman SachsとCitizensのアナリストはCoinbaseを有力な受益企業として挙げました。理由は、同社が単なる暗号資産交換所ではなく、トークン発行支援、機関投資家向けカストディ、ステーブルコイン関連サービス、Base上のオンチェーン市場を横断できるためです。

Coinbase Tokenizeは、資産の発行、ライフサイクル管理、移転、流通、取引を支援する統合基盤です。同社が海外向けに展開するトークン化証券は、裏付けとなる株式を保有し、配当や議決権などを投資家へ反映する設計を掲げています。この方向性は「原株と同じ権利・特典」を要求するSECの条件と整合しやすいと分析されています。

また、Base上で発行されたトークンは、対応するウォレットやDeFiアプリへ接続できます。株式トークンの保管だけでなく、適法な範囲で担保利用や流動性供給まで発展すれば、Coinbaseは取引手数料以外にも、発行管理、カストディ、決済基盤から収益機会を得られます。

ただし、直接TSVを運営する場合には技術的な変更が必要です。Coinbaseの既存取引所は売買注文を価格順に突き合わせる中央指値注文板を採用していますが、今回の免除制度はAMM流動性プールを前提としています。既存取引システムをそのまま転用できるとは限りません。

Robinhoodには商品設計の作り直しが必要

Robinhoodは、証券口座と暗号資産サービスを同じ利用者基盤へ提供できる点が強みです。さらに同社はEthereum系のレイヤー2であるRobinhood Chainを展開し、UniswapなどのDEXを通じてStock Tokensを取引できる環境を海外の対象地域で提供しています。

しかし、Robinhoodの既存Stock TokensとSEC制度が求めるトークン化株式には重要な違いがあります。同社の公式説明によると、現行商品はRobinhood Assets(Jersey)が発行するトークン化債務証券であり、原株への経済的なエクスポージャーを提供する一方、原株発行会社に対する法的・受益的権利を投資家へ直接付与しません。議決権など、通常の株主が持つ権利も含まれません。

これに対してSECのTSVは、トークン保有者が同等クラスの原株と同じ権利・特典を受けられることを求めています。Robinhoodが米国で制度を利用するには、議決権、配当、企業行動への対応、所有権記録などを見直す必要があります。

それでも、Robinhood Chain、ウォレット、証券業務、個人投資家向けアプリをすでに持つことは大きな利点です。商品設計を適合させられれば、オンチェーン株式を一般利用者へ届ける窓口として先行できる可能性があります。

CircleはUSDC決済と担保需要の拡大が追い風

Circleは株式トークンを発行する証券会社ではありません。それでもアナリストが同社を受益候補に挙げたのは、トークン化株式の売買にはオンチェーン上の決済資産が必要になるためです。

AMMでは、株式トークンと交換されるデジタルドルが流動性プールへ組み込まれます。USDCが決済通貨や担保として採用されれば、株式トークン市場の拡大に伴ってUSDCの利用場面も増えます。証券と資金を同じブロックチェーン上で同時に移転できれば、片方だけが引き渡される決済リスクを抑えるアトミックな交換も設計しやすくなります。

Circleは、USDCに加えてトークン化マネーマーケットファンドのUSYCも展開しています。USYCはUSDCへの迅速な償還を通じ、オンチェーン市場における待機資金や担保の効率化を狙う商品です。トークン化株式、USDC、USYCが接続されれば、取引、決済、担保管理を同じインフラ上で処理する市場が形成される可能性があります。

ただし、USDCが必ず標準決済資産になると決まったわけではありません。TSVごとの採用方針、対応チェーン、規制要件、銀行との入出金経路によって、実際の利用規模は変わります。

従来型取引所が直ちに置き換わる可能性は低い

今回の制度はNYSEやNasdaqに対する全面的な代替市場を作るものではありません。Goldman Sachsの分析では、対象銘柄数と取引量の制限、発行会社の異議申立て、AMMの技術的制約があるため、既存取引所から大規模な出来高を奪う可能性は当面低いとされています。

AMMは暗号資産市場で普及していますが、大口注文を扱う株式市場では、価格インパクト、オラクルの信頼性、流動性提供者の損失、原市場との価格差といった課題があります。原株の取引時間外にも株式トークンを動かす場合、参照価格が更新されにくい時間帯のリスク管理も必要です。

さらに、トークンを自己管理型ウォレットへ移せるとしても、株主名簿、本人確認、制裁対応、秘密鍵紛失、誤送信、スマートコントラクト障害といった新しい実務が発生します。ブロックチェーンを使うだけで、証券規制や投資家保護上の責任が消えるわけではありません。

DEX・DeFi事業者にとって重要なのは、単純に株価へ連動する合成トークンを増やすことではなく、法的な権利、原株との裏付け、企業行動、売買停止を一体で処理することです。

投資家とDeFi利用者が確認すべきポイント

株式トークンを検討する際は、名称や価格連動性だけでなく「何を所有しているのか」を確認する必要があります。Coinbase型の原株に裏付けられた証券と、Robinhoodの既存商品のような債務証券では、投資家が取得する権利が異なります。

最低限確認したいのは、原株の保管主体、トークンと原株の交換可否、配当の受取方法、議決権、株式分割や買収時の処理、発行体破綻時の扱い、利用可能な国・地域です。DeFiで担保や流動性として使う場合は、スマートコントラクト監査、オラクル、清算条件、流動性の厚さも確認対象になります。

また、SECの免除措置は恒久ルールではなく、実験から得られるデータを将来の制度設計へ生かすための暫定措置です。Coinbase、Robinhood、Circleが有利という見方もアナリストによる事業機会の評価であり、各社の収益増加や株価上昇を保証するものではありません。

まとめ

SECのイノベーション免除は、米国株をパブリックブロックチェーン上のAMMで取引するための、限定的ながら具体的な道を開きました。Coinbaseはトークン発行、カストディ、Baseを備え、Robinhoodは証券顧客基盤と独自チェーンを持ちます。CircleはUSDCを通じて決済・担保需要を取り込める可能性があります。

一方、同じ株価へ連動するだけでは制度要件を満たしません。原株と同等の株主権、発行会社への通知、取引停止連携、監査可能なスマートコントラクトなどが必要です。今後の焦点は、各社が既存商品をどう適合させ、制限された実証市場で安全性と流動性を示せるかにあります。

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