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イーサリアム、過去最高の取引量:3年間の復活劇
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イーサリアム、過去最高の取引量:3年間の復活劇

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-04-18

📋 この記事のポイント

  • 12026年第1四半期にイーサリアムが過去最高の2億件超のトランザクションを記録。
  • 2レイヤー2とステーブルコインが牽引するその復活の背景とDeFiへの影響を深掘り。
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イーサリアムネットワークは2026年第1四半期に、基盤レイヤーでのトランザクション処理数が2億400万件に達し、史上最高を記録しました。これは2023年の低迷期からの3年間にわたる回復を締めくくるものであり、分散型金融(DeFi)エコシステムの活性化を明確に示しています。ネットワーク活動が急増する一方で、イーサリアムのネイティブトークンであるETHの価格は、2025年8月のピークから50%以上低い水準にあり、ファンダメンタルズと市場価格の間に乖離が生じています。

イーサリアム、過去最高の取引量を記録:3年間の復活劇

世界最大のスマートコントラクトブロックチェーンであるイーサリアムは、2026年第1四半期に驚異的なネットワーク活動を記録しました。ArtemisのデータによるとCoinDeskが報じたところでは、基盤レイヤーでの総トランザクション数は2億400万件に上り、単一四半期としては過去最高を更新しました。これは、2023年に約9,000万件まで落ち込んだ四半期トランザクション数が、約2年間で2倍以上に増加したことを意味します。この「U字型」の回復は、イーサリアムエコシステムの持続的な成長と、その上で構築されるアプリケーションへの需要の高まりを如実に表しています。

特に注目すべきは、この成長がレイヤー2(L2)ソリューションとステーブルコインの利用拡大によって大きく牽引されている点です。これらの技術は、イーサリアムの基盤レイヤーのスケーラビリティと効率性を向上させ、より多くのユーザーがDEXやDeFiプロトコルを低コストで利用できる環境を提供しています。

2026年第1四半期の驚異的なオンチェーン活動とその背景

イーサリアムのオンチェーン活動は、2025年半ばから顕著な回復基調にあり、それ以降、各四半期で前四半期を上回る活動量を示してきました。そして2026年第1四半期には、2025年第4四半期の1億4,500万件から43%もの大幅な増加を記録し、その成長の勢いを決定づけました。この急増は、単に取引件数が増えただけでなく、DeFi分野におけるイノベーションと実用的なアプリケーションの普及が背景にあります。

具体的には、NFT市場の再活性化、分散型アプリケーション(dApps)の多様化、そして特にDEXにおける取引活動の活発化が、トランザクション数の増加に寄与しています。これらの活動は、イーサリアムの強力なセキュリティと分散性を基盤としつつ、レイヤー2ソリューションによってトランザクションコストの課題が緩和されたことで、よりアクセスしやすくなっています。

レイヤー2ソリューションが牽引するトランザクションブーム:BaseとArbitrum

イーサリアムのトランザクション急増の最大の要因の一つは、レイヤー2ソリューションの目覚ましい発展と普及です。レイヤー2は、イーサリアムのセキュリティを継承しつつ、オフチェーンでトランザクションを処理し、その結果をまとめてメインチェーンに記録することで、スケーラビリティとトランザクション速度を劇的に向上させます。

主要なレイヤー2ソリューションとして、CoinDeskの報道では特にBaseArbitrumが挙げられています。これらはユーザーがより低い手数料でDEX取引やその他のDeFi活動を行うことを可能にし、その結果として、これらのレイヤー2上での活動がイーサリアムの基盤レイヤーに決済やブリッジングの形で反映され、全体のトランザクション数を押し上げています。

例えば、BaseやArbitrum上のDEXでは、UniswapやSushiSwapのような主要プロトコルが展開されており、ユーザーは高速かつ低コストでトークンのスワップや流動性提供を行っています。これにより、イーサリアムエコシステム全体の利用が促進され、分散型アプリケーションのユースケースが拡大しています。

ステーブルコイン決済の急増とDeFiエコシステムへの貢献

ステーブルコイン、すなわち米ドルなどの法定通貨に価値がペッグされた暗号資産も、イーサリアムのネットワーク活動を牽引する重要な要素です。Token Terminalのデータによると、イーサリアム上のステーブルコインの総供給量は増え続けており、これはDeFiエコシステムにおけるステーブルコインの需要の高まりを示しています。

ステーブルコインは、DeFiプロトコルにおいて流動性提供、レンディング、イールドファーミング、そしてDEXでの取引ペアとして不可欠な存在です。ボラティリティの高い暗号資産市場において、ステーブルコインは価値の安定性を提供し、ユーザーが安心してDeFi活動に参加できる基盤を築いています。イーサリアム上でテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)などの主要ステーブルコインが活発に利用されることで、その決済トランザクションがイーサリアムの基盤レイヤーに記録され、全体の取引量の増加に貢献しています。

Dencunアップグレードがもたらしたネットワーク効率の変化

2024年に実施されたDencunアップグレードは、イーサリアムのレイヤー2エコシステムに大きな影響を与え、ネットワーク全体の効率性を向上させました。このアップグレードは「EIP-4844」(Proto-Danksharding)を導入し、レイヤー2ソリューションがデータをメインチェーンに保存するコストを大幅に削減しました。

Dencunアップグレードにより、レイヤー2からのトランザクションバンドル(Blob)の保存がより安価になったことで、レイヤー2のトランザクション手数料がさらに低下しました。これにより、レイヤー2を利用したDeFi活動は一層アクセスしやすくなり、結果としてイーサリアムの基盤レイヤーへの決済トランザクションが増加しました。CoinDeskの報道では、このアップグレードがL1トランザクション数を押し上げる一方で、手数料収入やトークンバーン、ホルダー価値に直接的な影響を与えていない可能性が指摘されています。これは、ネットワーク利用の効率化が、必ずしもイーサリアムの経済モデルに直接的な恩恵をもたらすわけではないという複雑な側面を示しています。

ファンダメンタルズと市場価格の乖離:投資家への示唆

イーサリアムネットワークが過去最高の活動レベルを享受しているにもかかわらず、ETHの市場価格は、2025年8月に記録した約5,000ドルのピークから50%以上低い水準である約2,328ドル(2026年4月17日CoinDesk報道時点)で取引されています。このファンダメンタルズ(ネットワークの利用状況)と市場価格の顕著な乖離は、投資家にとって重要な示唆を与えています。

通常、ネットワークの利用増加はトークンの需要増につながり、価格上昇の要因となります。しかし、Dencunアップグレードによる手数料構造の変化や、L2での活動が必ずしもL1の手数料収入に直結しない現状が、この乖離の一因となっている可能性があります。一部のアナリストやトレーダーは、この乖離を、イーサリアムの長期的な成長を信じる投資家にとっての「機会」と捉える見方もあります。ネットワークの基盤が強化され、利用が拡大しているにもかかわらず、価格が追いついていない状況は、将来的な価格是正の可能性を秘めていると解釈できるでしょう。

DEX・DeFiユーザーにとってのイーサリアムエコシステムの未来

イーサリアムの今回の記録的な活動は、DEXやDeFiユーザーにとって非常にポジティブな兆候です。レイヤー2ソリューションの成熟とDencunアップグレードの効果により、トランザクションの高速化と手数料の低減が進んでいます。これにより、これまでコストを懸念してDeFi市場への参入をためらっていた新規ユーザーも、より気軽にDEX取引や各種DeFiプロトコルを利用できるようになります。

例えば、高速な取引が求められるDEXでのアービトラージや、頻繁なトランザクションが必要なイールドファーミング戦略において、レイヤー2の利点は計り知れません。また、ステーブルコインの安定した基盤としての役割は、DeFi市場全体の信頼性を高め、より広範な金融活動を可能にします。

イーサリアムエコシステムは、技術的な進化とユーザー体験の向上を通じて、今後もDeFiの中心としての地位を維持し、さらに多くのイノベーションを生み出すことが期待されます。ユーザーは、自身のニーズに合わせた最適なレイヤー2を選択し、拡大し続けるDeFiの機会を探求することができるでしょう。

まとめ

2026年第1四半期にイーサリアムが過去最高のトランザクション数を記録したことは、その堅牢なネットワークと活発なエコシステムの強力な証です。レイヤー2ソリューション(Base、Arbitrumなど)とステーブルコインの普及が、この成長を強力に牽引しています。Dencunアップグレードはネットワーク効率を向上させ、ユーザーがより安価にDEXやDeFiを利用できる環境を整備しました。

一方で、ネットワーク活動の急増とETH価格の間に見られる乖離は、市場の複雑なダイナミクスを示していますが、これは長期的な視点を持つ投資家にとって魅力的な機会となる可能性も秘めています。今後もイーサリアムエコシステムの進化は、DEXとDeFiの未来を形作る上で中心的な役割を果たすことでしょう。

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