世界最大級の資産運用会社フランクリン・テンプルトン(運用資産額1.7兆ドル)が、現実資産(RWA)のトークン化を手がけるOndo Financeとの提携を発表しました。この提携により、株式やETF(上場投資信託)といった伝統的な金融商品がブロックチェーン上でトークン化され、24時間365日取引可能になります。これは、伝統金融(TradFi)と分散型金融(DeFi)の融合を象徴する画期的な出来事です。
巨大資産運用会社フランクリン・テンプルトンがRWA市場に本格参入
2026年3月25日、運用資産総額1.7兆ドル(約255兆円)を誇るフランクリン・テンプルトンは、Ondo Financeとの戦略的提携を発表しました。この提携の目的は、フランクリン・テンプルトンが提供する金融商品を、Ondoの技術を用いてブロックチェーン上でトークン化し、世界中の投資家に提供することにあります。
フランクリン・テンプルトンは以前からデジタル資産分野に関心を示しており、米国で初めてブロックチェーン上で取引・管理される投資信託「Franklin OnChain U.S. Government Money Fund (FOBXX)」を立ち上げるなど、業界のパイオニアとして知られています。今回の提携は、その動きをさらに加速させ、トークン化された証券という巨大な潜在市場へ本格的に参入する意思表示と言えるでしょう。
トークン化証券のプラットフォーム「Ondo Global Markets」とは?
今回の提携の要となるのが、Ondo Financeが提供する「Ondo Global Markets」プラットフォームです。このプラットフォームは、株式やETFなどの現実世界の資産(RWA)を裏付けとして、ブロックチェーンベースのトークンを発行します。
これらのトークンは、原資産となる証券の価値と連動しており、投資家は証券会社の口座を開設することなく、自身のデジタルウォレットでトークンを保有・管理することができます。Ondoの発表によると、2025年9月のローンチ以来、Ondo Global Marketsは以下の目覚ましい成果を上げています。
- 総ロック資産額(TVL): 6億2,000万ドル以上
- 総取引量: 120億ドル以上
- ユーザー数: 60,000人以上
この数値は、国境や取引時間、通貨の壁といった伝統金融が抱える摩擦を解消したいという、デジタル投資家の強い需要を浮き彫りにしています。
投資家にもたらす3つのメリット
トークン化証券は、投資家に対して主に3つの大きなメリットをもたらします。
- 24時間365日の市場アクセス: 従来の証券取引所は、平日の日中など限られた時間しか開いていません。しかし、ブロックチェーンは24時間365日稼働しているため、投資家はいつでも好きな時に資産を取引できます。
- ボーダーレスな投資機会: 海外の証券に投資する場合、これまでは複雑な口座開設手続きや高額な為替手数料が障壁となっていました。トークン化により、世界中の誰でもインターネットさえあれば、米国の優良株などに簡単にアクセスできるようになります。
- 仲介者を排した直接保有: 投資家は、証券会社や保管銀行といった仲介者を経由せず、自身のウォレットで資産を直接管理できます。これにより、カウンターパーティリスクが低減され、資産の透明性も向上します。
BlackRockも追随、加速する金融のトークン化
フランクリン・テンプルトンの動きは単独のものではありません。世界最大の資産運用会社であるBlackRockもまた、トークン化ファンド「BUIDL」を立ち上げるなど、この分野への進出を加速させています。
BUIDLは、米ドルや米国財務省短期証券に投資するMMF(マネー・マーケット・ファンド)をトークン化したもので、ローンチからわずか数ヶ月で資産額が数十億ドル規模に達するなど、大きな成功を収めています。こうした大手金融機関の相次ぐ参入は、資産のトークン化がもはや実験的な取り組みではなく、金融の未来を形作る主流のトレンドであることを示しています。
規制と競争 - トークン化証券が直面する課題
トークン化証券の未来は明るい一方で、解決すべき課題も残されています。最も大きなハードルは規制の不確実性です。国境を越えてウォレット間で直接やり取りされるトークンを、各国の規制当局がどのように法的に位置付け、監督していくのか、まだ明確な指針は示されていません。
また、既存の銀行、証券会社、資産運用会社との競争も激化が予想されます。トークン化という新たなテクノロジーが、既存の金融システムの構造をどのように変革していくのか、業界全体が大きな転換点を迎えています。
まとめ
フランクリン・テンプルトンとOndo Financeの提携は、伝統金融の巨大な資産とブロックチェーン技術の革新性が融合する歴史的な一歩です。これにより、これまで一部の投資家に限られていた金融市場へのアクセスが民主化され、より効率的でグローバルな資産運用の新時代が幕を開ける可能性があります。規制などの課題は残るものの、資産のトークン化という大きな潮流は、今後さらに加速していくことは間違いないでしょう。




