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ゲームストップ、BTC売却を否定。オプション取引で新収益化戦略
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ゲームストップ、BTC売却を否定。オプション取引で新収益化戦略

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-03-27

📋 この記事のポイント

  • 1権利行使価格: 105,000ドルから110,000ドルの間
  • 2満期日: 2026年3月下旬までの短期オプション
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ゲームストップ社(GME)は、保有するビットコイン(BTC)を売却したとの市場の憶測を否定し、実際には暗号資産取引所コインベース(Coinbase)を通じてカバードコール・オプション戦略を実行し、収益化を図っていることを明らかにしました。これにより、同社はBTCへのエクスポージャーを維持しつつ、オプションプレミアムによるインカムゲインを狙います。この戦略変更に伴い、会計上、BTCは直接保有資産から「債権」へと分類が変更されています。

憶測を呼んだ約4.2億ドル相当のBTC送金

2026年1月、ゲームストップが保有するビットコインのほぼ全てにあたる4,709 BTC(当時約4億2000万ドル相当)をコインベース・プライムのウォレットへ送金したことが確認され、市場では同社がBTCを売却準備しているのではないかとの憶測が広がりました。暗号資産市場の価格が下落傾向にあった当時、企業が財務リスクを軽減するために保有するデジタル資産を売却する動きも散見されたため、この憶測は特に注目を集めました。

しかし、同社が3月25日に提出した年次報告書により、この送金の真の目的が明らかになりました。売却ではなく、より高度な金融戦略への転換だったのです。

収益化の鍵「カバードコール戦略」とは?

今回ゲームストップが採用した「カバードコール戦略」は、オプション取引を用いた投資戦略の一種です。具体的な仕組みは以下の通りです。

  1. 原資産の保有: まず、原資産となる資産(今回はビットコイン)を保有します。
  2. コールオプションの売り: 次に、その原資産に対する「コールオプション(将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で買う権利)」を売却します。
  3. プレミアムの受領: オプションを売却することで、その対価として「プレミアム」と呼ばれる手数料収入を得ることができます。これが今回の戦略の主な収益源となります。

この戦略の最大のメリットは、原資産の価格が横ばい、または下落した場合でもプレミアム分の収益を確保できる点にあります。一方で、もしビットコインの価格がオプションの権利行使価格を大幅に上回った場合、保有するビットコインを権利行使価格で売却する義務が生じるため、その上昇分から得られるはずだった利益(キャピタルゲイン)は限定的になります。

ゲームストップの具体的な取引内容

報告書によると、ゲームストップは保有する4,710 BTCのうち4,709 BTCを担保としてコインベースに預け入れ、店頭(OTC)取引でカバードコール戦略を実行しました。具体的な内容は以下の通りです。

  • 権利行使価格: 105,000ドルから110,000ドルの間
  • 満期日: 2026年3月下旬までの短期オプション

この取引により、ゲームストップはオプションに関連する0.7百万ドルの負債と、2.3百万ドルの未実現利益を計上しました。また、1月31日の会計年度末以降、一部のオプション契約は権利を行使されることなく満期を迎え、担保資産は引き続きコインベース・クレジットに留め置かれていると報告されています。

会計上の変更点:直接保有から「債権」へ

この戦略のもう一つの重要な点は、ゲームストップの貸借対照表におけるビットコインの会計上の扱いの変更です。

契約上、コインベースは担保として預けられたビットコインを再担保設定(リハイポセケーション)したり、再展開したりする権利を有します。このため、ゲームストップはビットコインそのものを直接保有しているとは見なされなくなり、代わりに「同等額のBTCを将来取り戻す権利」、すなわち「債権」として記録されることになりました。

これにより、同社のビットコインへの経済的エクスポージャーは実質的に変わらないものの、資産はカウンターパーティ(コインベース)にあり、デリバティブに紐付けられた、制約のある状態となります。報告書では、この債権の会計年度末時点での評価額は3億6830万ドルであったと記載されています。また、ビットコイン価格の変動に伴い、5970万ドルの未実現損失も計上しています。

単純保有戦略からの転換が意味するもの

ゲームストップの今回の動きは、暗号資産を単に買って保有する「バイ・アンド・ホールド」戦略からの大きな転換を意味します。企業が財務資産として保有するビットコインを、インカムゲインを生み出すための「働く資産」として積極的に活用し始めた先進的な事例と言えるでしょう。

この戦略は、ビットコイン価格の大きな上昇局面では機会損失を生むリスクがある一方で、市場が停滞している局面でも安定した収益を生み出す可能性を秘めています。今後、他の企業が暗号資産をどのように財務戦略に組み込んでいくかを占う上で、注目すべき事例となりそうです。

まとめ

ゲームストップは、市場の売却観測とは裏腹に、保有するビットコインを活用したカバードコール戦略によって新たな収益源を模索しています。この戦略は、ビットコイン価格の将来的な上昇ポテンシャルを一部放棄する代わりに、オプションのプレミアム収入を確保するものです。会計上の資産分類が「直接保有」から「債権」へと変わるなど、企業による暗号資産保有のあり方が新たなフェーズに入ったことを示す象徴的な出来事と言えるでしょう。

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