dex.jp
Kamino新CEO就任、NY拠点から米国RWA融資を本格拡大
DeFiレンディング·7分で読める

Kamino新CEO就任、NY拠点から米国RWA融資を本格拡大

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-16

📋 この記事のポイント

  • 1Solana最大級の融資プロトコルKaminoがMichael Weisz氏をCEOに起用。
  • 2ニューヨーク進出、PRIME市場、トークン化資産を担保とする融資戦略の狙いとリスクを解説します。
ポストLINE

Kaminoは、Solana上で暗号資産の貸し借りや担保融資を提供するDeFiプロトコルです。同社はYieldstreet共同創業者のMichael Weisz氏をCEOに迎え、ニューヨークを拠点に米国市場と機関投資家向け事業を拡大します。

今回の人事が示すのは、単なる利用者獲得ではありません。Kaminoは、住宅担保ローンなどの現実資産をトークン化し、DeFiで融資や担保として活用する「オンチェーン信用市場」の構築を本格化させようとしています。

KaminoがMichael Weisz氏をCEOに起用

CoinDeskが2026年9月15日に報じたところによると、Solana上の融資プロトコルKaminoは、Michael Weisz氏を新CEOに任命しました。Weisz氏は、オルタナティブ投資プラットフォームYieldstreetの共同創業者です。同社は現在、Willow Wealthの名称で事業を展開しています。

Kaminoの発表によれば、YieldstreetではGoldman Sachs、Carlyle、KKR、Aresなどの金融機関と連携し、複数の資産分野に60億ドル超を展開しました。Weisz氏は、この伝統金融とフィンテックの経験をKaminoへ持ち込み、米国での事業構築や資産運用会社との提携を主導します。

KaminoはSolana上で、暗号資産の預け入れ、借り入れ、流動性運用、レバレッジ戦略などを提供しています。公式ドキュメントによると、独立した融資市場を作成し、資産ごとにLTV、清算基準、金利曲線、オラクルなどを設定できる仕組みも備えています。

今回のCEO起用は、暗号資産ネイティブなプロトコルを、資産運用会社や金融プラットフォームも利用できる信用インフラへ発展させるための人事と位置付けられます。

ニューヨーク進出で狙う機関投資家との接点

Kaminoはニューヨークに新本社を設置する方針です。CoinDeskによれば、約2万平方フィートのオフィスを検討し、最高財務責任者と法務責任者の採用も計画しています。

ニューヨークには、銀行、証券会社、資産運用会社、プライベートクレジット企業、金融規制や法務に詳しい専門家が集まっています。Kaminoにとって現地拠点は、営業所を増やすだけでなく、トークン化商品の組成、販売、リスク管理、コンプライアンスを担う人材や企業へ接近する意味を持ちます。

DeFiでは、スマートコントラクトだけで市場を完成させることはできません。とりわけ住宅ローンや企業向け融資を扱う場合、原資産の審査、債権管理、法的権利、回収、情報開示、適格投資家規制など、オフチェーンの実務が重要です。

Weisz氏の役割は、Kaminoの技術をウォール街へ売り込むだけではなく、伝統金融の資産をオンチェーン市場で安全に扱うための組織と提携網を作ることだと考えられます。

PRIME市場が住宅ローンとDeFiを接続

KaminoのRWA戦略を具体化した事例が、Figure TechnologiesおよびHastraと構築したPRIME市場です。

Figureの公式発表によると、PRIMEはHastra上に構築された流動性商品で、Figureが組成したトークン化RWAローンのプールと接続されています。KaminoはSolana上の融資パートナーとして、PRIMEの貸借市場や関連機能を提供します。

原資産には、米国の住宅資産を担保とするHELOCが含まれます。利用者が受け取る収益の源泉は、暗号資産価格の上昇そのものではなく、住宅所有者が支払うローン金利です。これはSOLや暗号資産を担保とする従来型DeFi融資とは、収益源とリスク構造が異なります。

Kaminoによれば、PRIME市場の預金は提供開始から107日で6億ドルを超えました。ただし、この規模は安全性や将来の収益を保証するものではありません。住宅市場、借り手の返済、トークンの換金性、オラクル、クロスチェーン接続など、複数の要素が市場の健全性を左右します。

トークン化から「担保として使う」段階へ

RWAの初期段階では、国債、社債、不動産関連債権などをブロックチェーン上で表現すること自体が注目されました。Kaminoが目指しているのは、その次の段階です。

トークン化された資産を保有するだけでなく、融資の担保として差し入れたり、流動性を確保したり、別の金融商品へ組み込んだりする市場を作ろうとしています。たとえばPRIMEを担保にステーブルコインを借りられれば、保有者は原資産からの収益を維持しながら資金を調達できます。

Kaminoの融資市場では、資産ごとに担保価値や清算条件が設定されます。暗号資産の場合は市場価格の急落が主要リスクですが、RWAでは原債権の信用状態、償還条件、発行体、法的請求権、価格更新の頻度も確認しなければなりません。

つまり、RWAをオンチェーン化しても、信用リスクは消えません。スマートコントラクトは取引や清算を自動化できますが、住宅ローンの借り手による延滞や、オフチェーン資産に対する権利関係まで自動的に解決するわけではない点が重要です。

6500億ドルの取引実績とRWA市場の成長性

Kaminoは、過去4年間の累計取引量が6500億ドルを超えたと発表しています。CoinDeskは、今回のCEO就任時点でKaminoが約14億ドルの資産を抱えるSolana最大級の融資プロトコルだと報じました。

一方、Citi Instituteは2026年6月に公表した「Tokenization 2030」で、トークン化金融資産の市場規模が2030年に基本シナリオで5兆5000億ドルへ達する可能性を示しました。同レポートは、米国株や国債など流動性の高い資産、規制下のステーブルコイン、トークン化預金、金融市場インフラによる採用を成長要因に挙げています。

ただし、5兆5000億ドルは将来予測であり、確定した市場規模ではありません。Citi自身も、既存システムとオンチェーン基盤が並存する移行期間を想定しています。

Kaminoがこの成長領域で優位性を確立するには、預金額だけでなく、RWAの審査、安定した流動性、透明な情報開示、清算時の実効性、規制対応を継続的に証明する必要があります。

利用者が確認すべき主なリスク

KaminoやPRIMEを利用する前には、表示利回りだけでなく、収益の源泉と損失経路を分けて確認する必要があります。

第一は信用リスクです。Figureの住宅関連ローンから収益が生まれる場合、借り手の返済状況や担保価値が結果に影響します。発行体やローンプールの情報開示も重要です。

第二は流動性リスクです。PRIMEの市場規模が大きくても、売却や償還を希望するタイミングで十分な買い手や流動性が存在するとは限りません。

第三はスマートコントラクトとオラクルのリスクです。Kamino、Hastra、Figureの基盤、価格情報、クロスチェーン通信など、複数のシステムが関与します。一つの障害が他の市場へ波及する可能性があります。

第四はレバレッジと清算です。KaminoのMultiplyなどを使って担保と借り入れを繰り返せば、収益を拡大できる一方、価格変動や借入金利の上昇によって清算される危険も増します。

利用時には、Kaminoの市場画面で担保資産、借入資産、LTV、清算基準、金利、利用可能な流動性を確認し、発行体の公式資料まで読むことが実用的な第一歩です。

まとめ

KaminoによるMichael Weisz氏のCEO起用とニューヨーク進出は、Solana DeFiが暗号資産中心の融資から、住宅ローンやトークン化証券を扱う機関向け信用市場へ進もうとしていることを示します。

FigureおよびHastraと展開するPRIMEは、住宅関連ローンのキャッシュフローをSolana上の貸借市場へ接続する代表例です。Kaminoは今後、資産のトークン化そのものではなく、トークン化資産を担保、融資、流動性運用に利用するインフラとしての地位を狙います。

一方で、RWAには信用、流動性、法的権利、オラクル、スマートコントラクトといった複合的なリスクがあります。ニューヨーク拠点や金融業界出身CEOの存在だけで、それらが解消されるわけではありません。利用者は市場規模や利回りだけで判断せず、原資産、発行体、清算条件、資金の引き出し方法まで確認する必要があります。

ポストLINE

関連記事