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再ステーキング特需終焉、利益なき市場で進む事業転換
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再ステーキング特需終焉、利益なき市場で進む事業転換

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-29

📋 この記事のポイント

  • 1再ステーキング市場で利回りと収益性が低下するなか、ether.fiがEigenLayer依存を解消へ。
  • 2市場失速の理由、LRTのリスク、利用者が確認すべき指標を解説します。
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再ステーキングとは、ステーキング済みの暗号資産を別のネットワークやサービスの経済的安全性にも利用する仕組みです。

2026年9月時点では、預かり資産の規模に対して追加報酬とプロトコル収益が伸びず、代表的なLRT事業者ether.fiもEigenLayerとの構造的な接続を解消しようとしています。市場の論点は「預入額の拡大」から「追加リスクに見合う実収益を生み出せるか」へ移りました。

ether.fiが再ステーキング中心モデルから離脱

CoinDeskの報道によると、ether.fiは2026年第3四半期末までに、同社のステーキングトークンとEigenLayerを結び付けていた最後の構造的な接続を外す方針です。2026年8月時点で再ステーキングされていた資産は全体の1%未満で、EigenPodに設定された出金資格情報も年末までに解除される予定とされています。

2024年のサービス開始時、ether.fiへ預けられたETHはEigenLayerで自動的に再ステーキングされていました。しかし同社は2026年8月、DeFiで担保として広く利用されるweETHから再ステーキング機能を分離しました。現在のweETHは、基本的にEthereumのステーキング収益を反映するリキッドステーキングトークンとして位置付けられています。

再ステーキングを希望する利用者には、競合基盤Symbioticを利用する別トークンが用意され、標準商品と追加リスクを負う商品が分けられました。ether.fiのマイク・シラガゼCEOはCoinDeskに対し、意味のある追加利回りがなく、ステーカーがリスクを意識していたことが撤退判断につながったと説明しています。

再ステーキングが期待された仕組み

通常のEthereumステーキングでは、ETHをバリデーター運用に参加させ、Ethereumの合意形成を支える対価として報酬を受け取ります。EigenLayerが広めた再ステーキングは、そのステーキング済み資産をオラクル、データ可用性、ブリッジなどの外部サービスにも割り当て、追加報酬を得る構想でした。

リキッド・リステーキング・トークン(LRT)は、この仕組みへの参加証明を譲渡可能なトークンにしたものです。ether.fiのweETHなどを保有すれば、資産をロックしたまま待つ代わりに、DEXで交換したり、Aaveなどのレンディング市場で担保として使ったりできます。

しかし、同じ担保を複数の用途に利用できることは、収益源が自動的に増えることを意味しません。EigenLayer上のサービスが支払う報酬は、Ethereumの基礎ステーキング報酬に上乗せする追加収益です。購入側であるサービスに継続的な需要と売上がなければ、LRT保有者、オペレーター、再ステーキング基盤の全参加者を満足させる報酬は生まれません。

預かり資産と収益が釣り合わない

再ステーキング市場は一時、急速に拡大しました。CoinDeskによれば、EigenLayerの預かり資産はピーク時に197億ドルへ達し、LRT市場は2024年の最初の6週間で1,000%以上成長しました。エアドロップ期待やポイント制度も、ether.fi、Renzo、Kelp DAOなどへの資金流入を後押ししました。

ところが2026年には、規模と実収益の乖離が明確になっています。CoinDeskが参照した市場データでは、再ステーキング基盤全体で約100億ドルを保護していた一方、ある1週間に発生した手数料は9万9,977ドルでした。預かり資産1ドル当たりで比較すると、通常のリキッドステーキングは再ステーキングのおよそ53倍の収益を得ていたとされています。

さらに、残存する大手LRT上位5銘柄の四半期合計粗利益は95万3,350ドルでした。3四半期前の218万ドルから半分以下に減少しています。ここでいう粗利益は、運営費、人件費、監査費、インセンティブ、トークン報酬などをすべて差し引いた最終利益とは限りません。「黒字」と表示されても、持続可能な事業であることを直ちに意味しない点には注意が必要です。

利回り低下だけではないLRTのリスク

再ステーキングには、Ethereumのバリデーターに関するリスクに加えて、EigenLayerなどの基盤、個別サービス、LRT発行体、DeFi統合先のスマートコントラクトリスクが重なります。LRTをレンディング市場の担保にすると、価格乖離や流動性低下による清算リスクも加わります。

EigenLayerやSymbioticは、担保を外部サービスへ割り当て、条件違反時にペナルティーを科せる経済的保証を提供します。この設計はサービスの安全性を高める一方、利用者から見ると、どのサービスへ資産が配分され、どの条件で損失が発生するかを把握する必要があります。

ether.fiがweETHを通常のリキッドステーキング商品に近づけた判断は、追加利回りが小さい局面でリスク層を減らす動きと解釈できます。同社はweETHのガバナンスや出金経路も強化し、DeFi担保としての安全性を重視しています。これは「高い利回りを追加する商品」から「広く利用できる堅牢な担保」への方向転換です。

ether.fiが目指す暗号資産ネオバンク

ether.fiは再ステーキング専業から、ステーキング、運用、決済、借り入れをまとめて提供する暗号資産ネオバンク型サービスへ軸足を移しています。同社のLiquidは、ETHやステーブルコインなどを複数のDeFi戦略へ配分し、自動リバランスと報酬の再投資を行う商品です。

Borrowでは、weETHやLiquidの保有資産などを担保にUSDCやETHを借りられます。融資は過剰担保型で、利用者ごとのスマートコントラクト口座に資産を置く非カストディアル設計と説明されています。

この転換は、再ステーキングの技術が消えることを意味しません。EigenLayerは共有セキュリティー基盤を、Symbioticは用途ごとに条件を設定できるプログラマブルな担保市場を構築しています。ただし、利用者向け事業者にとっては、再ステーキング単体より、決済、運用、融資など収益源を複数持つモデルのほうが経済性を作りやすくなっています。

利用者が確認すべき実務的な指標

LRTを選ぶ際は、表示APYだけでなく報酬の内訳を確認する必要があります。Ethereumの基礎ステーキング報酬、外部サービスからの実報酬、トークン配布、ポイントなどを分け、期限付きインセンティブを恒久的な利回りとして扱わないことが重要です。

次に、ether.fiやEigenLayerの画面・公式文書で、資産が実際に再ステーキングされるのか、オプトインなのかを確認します。同じweETHという名称でも、過去の記事や古い説明と現在の構造が一致するとは限りません。

また、DEXでの交換流動性、貸付市場の担保条件、出金手順も事前に確認すべきです。ether.fiの案内では、Ethereumメインネット上のweETHを直接アンステークする場合、アンラップまたはDEXでの交換が必要です。LRTを担保に借り入れている利用者は、トークン価格だけでなくLTV、清算水準、利用先プロトコルのオラクル仕様も確認しなければなりません。

最後に、TVLではなく手数料、実収益、報酬支払者を確認します。DeFiLlamaなどの集計サイトは比較に便利ですが、Fees、Revenue、Gross Profitの定義は異なります。公式ダッシュボードやオンチェーンデータと照合し、誰が誰に対して何の対価を支払っているのかを追うことが重要です。

まとめ

再ステーキングのゴールドラッシュは、資金流入とポイント期待が主導した拡大局面を終え、実需と収益性を問われる段階に入りました。ether.fiがweETHからEigenLayerとの接続を外したことは、追加報酬が追加リスクに見合わなくなった市場環境を象徴しています。

EigenLayerやSymbioticの共有セキュリティー技術には用途が残る一方、TVLの大きさだけでは事業の健全性を判断できません。利用者は基礎ステーキング報酬と再ステーキング報酬を分け、実際の収益源、スマートコントラクト、流動性、清算、出金経路を確認する必要があります。2026年のLRT選びでは、名目利回りよりも「誰が報酬を支払い、その報酬が継続できるか」が中心的な判断材料になります。

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