dex.jp

AMM(自動マーケットメーカー)

編集部公開日: 2026/3/19最終更新: 2026/3/26

AMMとは

AMM(Automated Market Maker / 自動マーケットメーカー)とは、暗号資産の分散型取引所(DEX)で広く採用されている、取引を自動的に執行するためのプロトコルです。従来の中央集権的な取引所が用いる「オーダーブック(板取引)」形式とは異なり、数学的な計算式に基づいて資産の価格を決定し、取引を成立させます。

この仕組みの中核をなすのが「流動性プール」です。ユーザーは、2種類以上の暗号資産をペアでこのプールに預け入れることで「流動性提供者(Liquidity Provider)」となり、その見返りとして取引手数料の一部を受け取ることができます。取引を行いたいユーザーは、このプールに対して直接トークンを交換(スワップ)します。AMMは、この一連のプロセスを仲介者なしに、スマートコントラクトを通じて自律的に実行します。

AMMの基本的な仕組み

現在最も広く普及しているAMMのモデルは、Uniswapが採用した「定数積マーケットメーカー(Constant Product Market Maker)」です。これは「x × y = k」という非常にシンプルな数式に基づいています。

  • x: プール内のトークンAの数量
  • y: プール内のトークンBの数量
  • k: 定数(不変量)

このモデルでは、取引が行われてプール内のトークン量が変化しても、2つのトークンの数量の積「k」が常に一定に保たれるように価格が自動調整されます。

例えば、ETHとUSDCの流動性プールを考えてみましょう。あるトレーダーがこのプールで大量のETHをUSDCに交換すると、プール内のETHの量(x)は増加し、USDCの量(y)は減少します。このとき「k」の値を一定に保つためには、ETHの相対的な価値(価格)が下がり、USDCの価値が上がらなければなりません。このように、AMMは需要と供給のバランスに応じて、アルゴリズムによってリアルタイムで価格を決定します。

AMMの代表的なプロトコルと事例

1. Uniswap (ユニスワップ)

AMMをDEXの主流に押し上げた代表的なプロトコルです。特に2020年にリリースされたUniswap V2で「x × y = k」モデルを普及させ、DeFi(分散型金融)市場の爆発的な成長を牽引しました。2024年現在、Uniswap V3では「集中流動性」という新しい概念を導入し、流動性提供者が指定した価格範囲に資金を集中させることで、資本効率を大幅に向上させています。

その総ロック資産額(TVL)は数十億ドルに達し、日々の取引高も中央集権的な取引所に匹敵する規模を誇ります。一般的なトークンペアの取引手数料は0.3%で、その大部分が流動性提供者に還元されます。

2. Curve Finance (カーブ・ファイナンス)

ステーブルコイン(USDCやDAIなど)や、価値が連動する資産(wETHとstETHなど)の交換に特化したAMMです。Curveは、ステーブルコイン同士のように価格変動が非常に小さいペアの取引において、スリッページ(想定価格と約定価格の差)を極限まで抑える独自の数式(Stableswap Invariant)を採用しています。

これにより、ユーザーは非常に効率的に大量のステーブルコインを交換できます。DeFiエコシステムにおいて重要な役割を担っており、そのTVLはDEXの中でも常にトップクラスを維持しています。

AMMのメリットと注意点

メリット

  • パーミッションレスな参加: 誰でも流動性提供者になることができ、取引手数料による収益(インカムゲイン)を目指せます。
  • 常時取引可能: スマートコントラクトによって24時間365日、自動的に取引が執行されるため、取引所の営業時間を気にする必要がありません。
  • アクセスの容易さ: ウォレットを接続するだけで誰でも利用でき、本人確認(KYC)が不要な場合がほとんどです。

注意点(デメリット)

  • 変動損失(インパーマネント・ロス): 流動性提供における最大のリスクです。預け入れた2つのトークンの価格比が大きく変動した場合、トークンを単に保有し続けた場合と比較して資産価値が減少する可能性があります。
  • スリッページ: 流動性が低いプールで大量の取引を行うと、価格が大きく変動し、不利なレートで約定してしまう可能性があります。
  • スマートコントラクトのリスク: プロトコルのコードに脆弱性があった場合、ハッキングにより資産が失われるリスクが常に存在します。