ステーキングとは
ステーキングとは、保有している暗号資産を特定のウォレットやプロトコルに預け入れ(ロック)することで、ブロックチェーンネットワークの運営に貢献し、その対価として報酬(リワード)を受け取る仕組みのことです。銀行預金が利息を生むように、暗号資産を預けておくことで新たな資産を得られるため、長期保有者にとって魅力的な運用手段の一つとされています。
その目的や仕組みによって、ステーキングは大きくいくつかの種類に分類することができます。
ネットワークセキュリティを支えるステーキング(PoS)
最も基本的なステーキングは、プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake: PoS)またはその派生コンセンサスアルゴリズムを採用するブロックチェーンのセキュリティを維持するために行われます。
PoSでは、暗号資産の保有量や保有期間に応じて、ブロックを生成・承認する権利(検証者=バリデーターになる権利)が与えられます。バリデーターは取引の正当性を検証し、ブロックチェーンに記録する役割を担い、その仕事への報酬として新規発行された暗号資産や取引手数料の一部を受け取ります。自身がバリデーターになるには大量の暗号資産が必要となる場合が多いため、多くの利用者は、バリデーターに自身の資産を委任(デリゲート)する形でステーキングに参加します。
代表的な例は、コンセンサスアルゴリズムをPoSに移行したイーサリアム(Ethereum)です。イーサリアムのステーキングでは、利用者はETHを預け入れることでネットワークの安全性に貢献し、年利3〜5%程度の報酬をETHで得ることができます。
資産の流動性を保つリキッドステーキング
従来のステーキングでは、資産をロックしている期間中は他の用途に利用できなくなるというデメリットがありました。この問題を解決するのがリキッドステーキングです。
Lido Financeなどのリキッドステーキング・プロトコルでは、ユーザーがETHなどを預けると、その価値を裏付けとした「stETH」のような派生トークン(Liquid Staking Token: LST)が発行されます。ユーザーはステーキング報酬を受け取りながら、このLSTをDeFi(分散型金融)レンディングやDEX(分散型取引所)での流動性提供などに活用し、さらなる収益機会を追求することが可能です。Lidoはリキッドステーキング市場で圧倒的なシェアを誇り、そのTVL(Total Value Locked、預かり資産総額)は数十億ドルに達しています。
DeFiプロトコルのステーキング
ブロックチェーン本体のセキュリティとは別に、特定のDeFiプロトコルのガバナンス(運営方針の決定)への参加や、プロトコルが稼いだ手数料の分配を目的としたステーキングも存在します。
例えば、DEX大手のCurve Financeでは、ガバナンストークンであるCRVを長期間(最大4年間)ロックすることで、投票権を持つ「veCRV」を受け取ることができます。veCRVの保有者は、流動性提供で得られるCRV報酬をブーストさせたり、プロトコルの手数料分配を受けたり、どの流動性プールにインセンティブを配分するかの投票に参加したりする権利を得られます。
ステーキングのメリットと注意点
メリット
- 受動的な収益: 暗号資産を保有しているだけで、安定した利回り(インカムゲイン)が期待できます。
- ネットワークへの貢献: PoSチェーンのステーキングに参加することで、そのブロックチェーンの分散性やセキュリティ向上に直接貢献できます。
- ガバナンス参加: プロジェクトによっては、ステーキング量に応じて運営に関する意思決定への投票権が得られます。
デメリットと注意点
- 価格変動リスク: ステーキング報酬は魅力的ですが、預けている暗号資産そのものの価格が下落するリスクは常に存在します。報酬額以上に資産価値が下落する可能性も考慮する必要があります。
- ロック期間と流動性: ステーキングには一定のロック期間や、引き出しを申請してから実際に資産が手元に戻るまでの待機期間(アンボンディング期間)が設けられている場合があります。
- スラッシングリスク: PoSのバリデーターが不正行為をしたり、ネットワークに損害を与えたりした場合、ペナルティとして預け入れた資産の一部が没収される「スラッシング」という仕組みがあります。信頼できるバリデーターを選ぶことが重要です。
- スマートコントラクトリスク: DeFiプロトコルを利用したステーキングでは、そのプロトコルのスマートコントラクトにバグや脆弱性があった場合、預けた資産を失うリスクがあります。
