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ERC-20とは?イーサリアムのトークン規格を徹底解説
ERC-20·6分で読める

ERC-20とは?イーサリアムのトークン規格を徹底解説

DDEX.jp編集部公開日: 2025-04-06

📋 この記事のポイント

  • 1totalSupply: トークンの総発行量を取得する機能。市場に存在するトークンの全体像を把握できます。
  • 2balanceOf: 特定のアドレスが保有するトークンの残高を照会する機能。個人の資産を確認する際に使われます。
  • 3transfer: トークンをあるアドレスから別のアドレスへ直接送金する機能。最も基本的な送金処理です。
  • 4approve: 自分の保有するトークンを、第三者(主にスマートコントラクト)が一定量まで動かすことを許可する機能。DEXでのスワップ(交換)の際に不可欠です。
  • 5allowance: approveによって第三者が動かすことを許可されたトークンの残量を確認する機能。
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ERC-20とは、イーサリアムブロックチェーン上で、代替可能な(Fungible)トークンを発行・作成するための技術的な統一規格(ルール)のことです。この共通ルールがあることで、様々な開発者が作成したトークンが、DEX(分散型取引所)やウォレットなどのアプリケーションでスムーズに連携できます。今日のDeFi(分散型金融)エコシステムの根幹を支える重要な技術です。

H2: ERC-20とは?イーサリアムの「共通言語」

ERC-20は「Ethereum Request for Comments 20」の略称で、2015年にヴィタリック・ブテリン氏らによって提案されたイーサリアムの改善案の一つです。これが公式に採用されたことで、イーサリアム上で新しいトークンを作る際の「標準仕様」が確立されました。

これを「共通言語」と考えると分かりやすいでしょう。世界中の開発者がERC-20という共通言語でトークンを作ることで、特定のウォレット(例:MetaMask)やDEX(例:Uniswap)は、一度ERC-20に対応すれば、その規格に準拠した無数のトークンを自動的にサポートできるようになります。もしこの規格がなければ、開発者はトークンごとに専用の連携コードを書く必要があり、エコシステムの発展は大幅に遅れていたでしょう。2017年頃に起きたICO(Initial Coin Offering)ブームも、このERC-20規格があったからこそ可能になりました。

H2: ERC-20が定める主要な機能

ERC-20規格では、トークンが持つべき基本的な機能(関数)が定義されています。これにより、どのトークンも同じ方法でやり取りができます。主要な機能は以下の通りです。

  • totalSupply: トークンの総発行量を取得する機能。市場に存在するトークンの全体像を把握できます。
  • balanceOf: 特定のアドレスが保有するトークンの残高を照会する機能。個人の資産を確認する際に使われます。
  • transfer: トークンをあるアドレスから別のアドレスへ直接送金する機能。最も基本的な送金処理です。
  • approve: 自分の保有するトークンを、第三者(主にスマートコントラクト)が一定量まで動かすことを許可する機能。DEXでのスワップ(交換)の際に不可欠です。
  • allowance: approveによって第三者が動かすことを許可されたトークンの残量を確認する機能。
  • transferFrom: approveで許可された範囲内で、第三者がトークンを代理で送金する機能。例えば、Uniswapでトークンを交換する際、ユーザーはUniswapのスマートコントラクトに自分のトークンを動かす許可(approve)を出し、スマートコントラクトがこのtransferFrom機能を使ってユーザーのウォレットからトークンを引き出し、交換処理を実行します。

これらの標準化された機能があるからこそ、安全で予測可能なトークンのやり取りが実現しています。

H2: なぜERC-20はDeFiエコシステムで重要なのか?

ERC-20の最大の功績は、トークン間の「相互運用性」を確立した点にあります。この相互運用性がDeFiエコシステムに与えた影響は計り知れません。

第一に、DEXの発展です。UniswapやSushiSwapといったDEXは、ERC-20規格を基盤としています。流動性プールは様々なERC-20トークンのペアで構成されており、ユーザーはあらゆるトークンをシームレスに交換できます。これは、全トークンが同じルールで動くからこそ可能な仕組みです。

第二に、ウォレットとdAppsの利便性向上です。MetaMaskやTrust Walletのようなウォレットは、ERC-20に対応することで、手動で設定を追加せずとも何千種類ものトークンを管理できます。同様に、レンディングプロトコル(Aave, Compound)やブロックチェーンゲームなども、ERC-20トークンを容易に統合できます。

第三に、開発の簡素化です。開発者はトークンの基本的な機能をゼロから設計する必要がなく、規格に沿って本質的なアプリケーションのロジック開発に集中できます。これにより、イノベーションのスピードが飛躍的に向上しました。

H2: 代表的なERC-20トークンの事例

現在、イーサリアム上には100万種類以上のERC-20トークンが存在すると言われています。その中でも特に代表的な事例をいくつか紹介します。

  • ステーブルコイン: 米ドルなどの法定通貨の価値に連動するように設計されたトークンです。

    • Tether (USDT): 時価総額が最も大きいステーブルコイン。多くの取引所で基軸通貨として利用されています。
    • USD Coin (USDC): Circle社が発行するステーブルコインで、透明性の高さを売りにしています。
    • Dai (DAI): 特定の管理主体を持たない分散型のステーブルコインで、暗号資産を担保に発行されます。
  • DEX・DeFi関連トークン: プロトコルの運営方針を決める投票(ガバナンス)や、手数料収入の分配などに利用されます。

    • Uniswap (UNI): 世界最大級のDEXであるUniswapのガバナンストークン。
    • Aave (AAVE): 大手レンディングプロトコルAaveのガバナンストークン。
  • ユーティリティトークン: 特定のサービスや機能を利用するための権利として機能します。

    • Chainlink (LINK): ブロックチェーン外の現実世界の情報を、ブロックチェーン上に安全に取り込む「オラクル」ネットワークで利用されるトークン。
  • ミームコイン: インターネット上のジョーク(ミーム)から生まれたトークン。

    • Shiba Inu (SHIB): Dogecoinに触発されて登場し、巨大なコミュニティを形成しています。

H2: ERC-20の課題と注意点

ERC-20は非常に便利な規格ですが、いくつかの課題や利用する上での注意点も存在します。

一つは、誤送金のリスクです。ERC-20トークンを、トークンの受け取りに対応していないスマートコントラクトのアドレスに送金してしまうと、そのトークンは永久に取り出せなくなる可能性があります。この問題を解決するために、ERC-223などの新しい規格も提案されていますが、依然としてERC-20が主流です。

もう一つは、approve機能のセキュリティリスクです。DEXなどを利用する際、利便性のためにapproveの上限を「無制限」に設定することがよくあります。しかし、もしそのDEXのスマートコントラクトに悪意のあるコードや脆弱性が存在した場合、ウォレット内の全トークンが抜き取られるリスクに繋がります。信頼できるdAppsのみを利用し、定期的にapproveの設定を見直すことが重要です。

最後に、イーサリアムの**ガス代(取引手数料)**の問題です。ERC-20トークンの全ての取引はイーサリアムブロックチェーン上で行われるため、ネットワークが混雑するとガス代が高騰し、少額の送金が困難になることがあります。

H2: まとめ

ERC-20は、イーサリアムブロックチェーンにおけるトークンの標準規格であり、今日のDeFiやdAppsのエコシステムを築き上げた基盤技術です。トークン間の相互運用性を確保することで、開発者は容易に新しいトークンやサービスを生み出し、ユーザーはウォレットやDEXでシームレスに多様な資産を管理・運用できるようになりました。

いくつかの課題は残されていますが、そのシンプルさと普及度の高さから、今後もイーサリアムエコシステムの中核であり続けることは間違いありません。DEXを利用する上で、ERC-20の仕組みを理解しておくことは、安全かつ効率的な資産運用の第一歩と言えるでしょう。

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