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CME CEO警告:米国パーペチュアル先物に潜む税制リスクとは
パーペチュアル先物·8分で読める

CME CEO警告:米国パーペチュアル先物に潜む税制リスクとは

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-07-31

📋 この記事のポイント

  • 1CMEのダフィーCEOが、米国で承認されたパーペチュアル先物が「スワップ」と判定された場合の税務上の不確実性を警告。
  • 2Section 1256との関係やCFTCとの訴訟の争点を解説します。
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米CME Group会長兼CEOのテリー・ダフィー氏は、米国で承認されたパーペチュアル(無期限)先物契約が最終的に「先物」ではなく「スワップ」と判定された場合、トレーダーが予期しない税務・規制上の不確実性に直面する可能性があると警告しました。争点は、資金調達手数料(ファンディングレート)の定期的な授受がある無期限先物を、米国法上どう分類するかにあります。分類次第で、機関投資家が受けられる税制優遇(内国歳入法Section 1256)の適用可否が変わり得ます。本稿では、この「誰も語っていない」税制リスクの構造と背景を、公式ソースをもとに整理します。

ダフィーCEOが指摘する「誰も語っていない」リスク

CoinDeskのインタビューで、ダフィー氏は「誰も話していない帰結がある」「今、すべての米国の市場参加者にとって、税務上の観点で曖昧さがそこに存在している」と述べました。この発言は、CME GroupがCFTC(米商品先物取引委員会)による米国内でのパーペチュアル先物承認をめぐって法廷闘争を続けているタイミングで出たものです。

両者は連邦裁判所の判断を待っている状態であり、その結論は米国が急成長するパーペチュアル先物という領域にどう向き合うかを大きく左右し得ます。ダフィー氏が特に強調するのが、内国歳入庁(IRS)が最終的にこれらの契約をどう課税するかという論点です。

パーペチュアル先物は、暗号資産デリバティブの中でも取引量が非常に大きい商品カテゴリーです。海外の暗号資産取引所では以前から主力商品となってきましたが、米国の規制枠組みの中で正式に扱われるようになると、従来の伝統的な先物とは異なる法的・税務的な扱いが問題として浮上します。ダフィー氏の指摘は、この「制度と商品のミスマッチ」に警鐘を鳴らすものです。

パーペチュアル先物とは何か

パーペチュアル先物(無期限先物)は、その名の通り満期(決済期日)を持たない先物型のデリバティブです。伝統的な先物には必ず限月(げんげつ)と呼ばれる期限があり、期日が来れば決済・ロールオーバーが必要になります。一方、パーペチュアル先物には期限がなく、ポジションを無期限に保有し続けることができます。

では、満期がないのにどうやってデリバティブの価格を原資産(現物)の価格に近づけるのか。ここで使われる仕組みが「ファンディングレート(資金調達率)」です。ロング(買い)ポジションとショート(売り)ポジションの間で、一定間隔ごとに手数料を授受することで、無期限契約の価格が原資産価格から大きく乖離しないよう調整します。

たとえば契約価格が現物より高い(プレミアムがついている)状態では、通常ロング側がショート側にファンディングを支払い、買い持ちを抑制する方向に働きます。逆に契約価格が現物より低ければ、ショート側がロング側に支払います。このロング・ショート間の定期的な支払いの交換こそが、後述する法的分類の争点の核心になっています。

「先物」か「スワップ」か──分類をめぐる法的争点

ダフィー氏の主張は、パーペチュアル先物はCFTCが分類する「先物(futures)」ではなく、米国法上の「スワップ(swap)」の定義に当てはまるべきだ、というものです。その根拠がまさにファンディングの仕組みです。

「二者が互いに支払いを交換する場合、それはスワップとみなされる」とダフィー氏はファンディングレートの仕組みを念頭に語っています。伝統的な先物と異なり、パーペチュアル契約は満期を迎えることがなく、その代わりにトレーダーが定期的にファンディングを授受する。この反復的な支払いの交換が、米国法上のスワップの法定定義を満たす、という論理です。

米国では2010年のドッド・フランク法以降、「スワップ」は法令上明確に定義され、CFTCの規制対象として体系化されてきました。ダフィー氏の議論は、この既存のスワップ定義にパーペチュアル先物のファンディング構造が該当するという解釈に基づいています。

もっとも、独立した法律専門家によれば、この問題は依然として未解決だとされています。ファンディングの授受をもって直ちにスワップと断定できるのか、それとも価格調整メカニズムを備えた先物の一種と見るべきなのかは、最終的に裁判所や規制当局の判断に委ねられる論点です。CMEとCFTCの訴訟の帰趨が、この解釈に大きな影響を与えることになります。

税制上の分岐点──Section 1256とは

この分類論争がなぜ税務リスクにつながるのか。鍵を握るのが、米国内国歳入法(Internal Revenue Code)のSection 1256です。

ダフィー氏が問題視するのは、パーペチュアル契約が「先物」と認められれば、多くの機関投資家がSection 1256に基づくブレンド課税(blended tax treatment)の恩恵を受けられる点です。Section 1256の対象となる契約では、損益が一般に「長期キャピタルゲイン60%、短期キャピタルゲイン40%」として扱われます。米国では通常、長期キャピタルゲインの税率が短期より低いため、この「60/40ルール」は保有期間にかかわらず一部を長期扱いにできる優遇措置として機能します。

一方、これらの契約が「スワップ」に分類された場合は、Section 1256の優遇は適用されず、「通常所得(ordinary)」としての課税になります。通常所得課税では、60/40のブレンド優遇が使えず、より高い税率が適用され得るため、機関投資家にとって税負担が変わる可能性があります。

つまり、「先物かスワップか」という法的分類は、単なる規制上のラベルの問題にとどまらず、実際の税負担を左右する実務上の重大論点なのです。

IRSガイダンス不在がもたらす報告の不確実性

さらに問題を複雑にしているのが、IRS(内国歳入庁)がパーペチュアル先物の税務上の取り扱いについて、明確なガイダンスをまだ発行していないという事実です。パーペチュアル先物は比較的新しいイノベーションであるため、IRSはこれを特定的に対象とした指針を示していません。

この空白が意味するのは、規制当局または裁判所が最終的にパーペチュアル契約を「先物ではなくスワップ」と結論づけた場合、これまで税務上「先物」として扱ってきた市場参加者が、IRSへのポジション報告方法について不確実性に直面し得るということです。

ダフィー氏は、確定申告を提出した後にこの判断が下された場合、すでに申告した内容と実際の法的分類が食い違うリスクがあると示唆しています。納税者が善意でSection 1256扱いとして申告していたポジションが、後から通常所得課税の対象と判断されれば、修正申告や追徴の可能性が生じ得ます。ガイダンスが存在しない現状では、市場参加者は自ら解釈判断を迫られ、その判断が後に覆されるリスクを負うことになります。

日本の投資家・市場関係者への示唆

この議論は直接には米国の税制・規制をめぐるものですが、日本の暗号資産関係者にとっても示唆に富みます。

第一に、パーペチュアル先物という商品が世界的に主流化する中で、その法的性質(先物かスワップか、あるいは日本法上どのカテゴリーか)が国ごとに異なる整理をされ得るという点です。商品設計そのものが規制・税務の分類論争を内包していることを、プロダクトを利用・提供する側は認識しておく必要があります。

第二に、規制当局のガイダンス不在下で新商品が広がると、事後的な分類変更が納税リスクとして跳ね返ってくるという構造的な教訓です。これは米国固有の話ではなく、新しいデリバティブ商品全般に共通する論点といえます。

なお、日本国内における暗号資産デリバティブの税務・会計上の取り扱いは、米国のSection 1256とは制度が根本的に異なります。本稿は米国の議論の紹介であり、日本での具体的な税務判断については必ず税理士等の専門家および国税庁の公式情報を確認してください。

まとめ

CME Groupのテリー・ダフィーCEOは、米国で承認されたパーペチュアル先物が最終的に「スワップ」と判定されれば、税務・規制上の不確実性が生じると警告しました。争点は、ファンディングレートによるロング・ショート間の定期的な支払い交換を、米国法上のスワップ定義に当てはめるべきか否かにあります。

分類が「先物」ならSection 1256の60/40ブレンド課税の恩恵を受け得る一方、「スワップ」なら通常所得課税となり、機関投資家の税負担が変わり得ます。IRSが専用ガイダンスを出していないため、市場参加者は報告方法をめぐる不確実性に直面しています。

この論点は、CMEとCFTCの訴訟に対する連邦裁判所の判断を待って決着に向かいます。独立系の法律専門家も「未解決」とする通り、結論は出ていません。パーペチュアル先物を扱う投資家・事業者は、商品の法的性質が規制・税務の分類論争を内包していることを念頭に、今後の司法判断とIRSの動向を注視する必要があります。

(本稿は海外報道の翻訳・編集であり、投資助言や税務助言を目的とするものではありません。)

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