ビットコイン(BTC)は2026年9月18日、8万ドル台を回復した。Solana(SOL)とHyperliquid(HYPE)も約10%上昇し、主要暗号資産に買いが広がった。
背景には、米上院でCLARITY Actが停滞する一方、SECとCFTCが既存の権限に基づく暗号資産関連の制度整備を進めていることがある。ただし、規制報道だけで相場上昇の原因を説明することはできず、短期的な価格回復と長期的な制度確立は分けて考える必要がある。
ビットコインが8万ドル台を回復
The Blockによると、ビットコインは9月18日朝に5%以上上昇し、8万ドル台を回復した。それ以前は、おおむね7万5,000〜7万8,000ドル付近で推移していたと報じられている。
同日の上昇はBTCだけに限られなかった。主要暗号資産の中ではSolanaとHyperliquidが約10%上昇し、HYPEは過去最高値となる90ドル超を記録。記事掲載時点では約91.60ドルで取引されていた。
ただし、これらの価格や騰落率は報道時点のスナップショットである。24時間取引される暗号資産市場では、記事を読む時点で状況が変化している可能性が高い。DEXで売買する場合は、過去の価格ではなく、利用する取引画面の板、スプレッド、流動性、資金調達率を確認する必要がある。
今回の値動きを「CLARITY Actの失速を市場が完全に無視した」と単純化するのも適切ではない。法案の停滞は長期的な規制リスクとして残る一方、短期市場ではSECやCFTCによる個別施策、金融環境、ポジション調整など複数の材料が同時に評価されるためだ。
CLARITY Actの停滞と市場の受け止め
CLARITY Actは、米国における暗号資産市場の監督枠組みやSECとCFTCの役割分担を明確にすることを目指す法案である。The Blockは、同法案が上院で前進できなかった後も、暗号資産市場が反発したと伝えている。
法案による包括的なルールと、行政機関が既存法の範囲で実施する規則・適用除外は同じものではない。議会立法には、将来の政権や規制当局が方針を変更しても維持されやすいという意味で、より強い制度的な安定性がある。一方、行政機関の解釈や期限付き措置は、比較的迅速に導入できる反面、対象範囲や存続期間が限定される場合がある。
SECのポール・アトキンス委員長も、2026年8月の声明で、長期的かつ将来に耐えるルールを整備するうえで議会立法は不可欠だとの立場を示していた。したがって、SECとCFTCが施策を進めているからといって、CLARITY Actの必要性が消えたわけではない。
市場が今回重視したのは、法案の停滞後も制度整備が全面停止しなかった点だと考えられる。ただし、これは値動きとニュースの時間的な一致に基づく解釈であり、価格上昇の単独原因が規制対応だったと断定できるものではない。
SECはトークン化株式の実証に道を開く
SECは9月17日、Innovation Exemptionと呼ばれる期限付き・条件付きの適用除外を発表した。これは、一定のTokenized Securities Venue(TSV)が、米国の主要取引所に上場する株式をオンチェーンで取り扱うための実証的な経路を設けるものだ。
SECの公式声明によると、対象事業者には公開通知、取引透明性、売買停止時の連携、帳簿・記録の保存、技術的な安全対策などの条件が課される。取引データについても、ドル建て価格、数量、時刻、流動性プールのアドレス、日次出来高などを公開する枠組みが示されている。
これは、UniswapやJupiterのような既存DEXすべてが米国株を自由に上場できるという意味ではない。対象となる証券、取引場所、流動性提供者には条件があり、一般的な暗号資産のパーミッションレス取引とは異なる。
それでも、株式のような伝統的資産をオンチェーン市場へ接続する試みが米国で制度化されれば、DEX、ウォレット、カストディ、ステーブルコイン決済などのインフラに新たな利用機会が生まれる可能性がある。今回の相場では、こうした「議会を待たずに限定的な実装が進む」という期待が、センチメントを下支えしたとみられる。
CFTCも暗号資産ルールの整備を継続
The Blockは、CFTCが9月18日に暗号資産関連の規則案をホワイトハウスの審査へ送ったと報じた。法案が停滞する中でも、SECとCFTCがそれぞれの権限内で制度整備を続けている構図である。
両機関は2026年3月にも、特定の暗号資産と取引に連邦証券法をどう適用するかについて共同の解釈・ガイダンスを公表した。この文書では、デジタル・コモディティ、デジタル・コレクティブル、デジタル・ツール、ステーブルコイン、デジタル証券などの分類が整理されている。
ただし、行政機関のルールだけでは、議会にしか解決できない管轄権や法的権限の問題が残る可能性がある。DEX運営者やDeFi開発者にとっては、「規制が前進したか」だけでなく、どの資産、機能、利用者、フロントエンドが対象になるのかを確認することが重要だ。
たとえば、現物交換のみを提供するプロトコルと、レバレッジ取引や証券性のあるトークンを扱うサービスでは、規制上の論点が異なる。Uniswap、Hyperliquid、dYdXなどを一括して同じカテゴリーと考えるべきではない。
Solana上昇をどう見るべきか
今回、SOLは主要暗号資産の中でも強い値動きを示した。Solanaは、Jupiter、Raydium、OrcaといったDEXや流動性プロトコルを抱え、トークン交換、永久先物、レンディングなどのオンチェーン活動に利用されている。
規制当局がオンチェーン取引やトークン化資産を制度の外側に置くのではなく、条件付きで既存金融市場へ取り込もうとしていることは、高スループット型ブロックチェーンにとって中長期的な材料になり得る。ただし、今回の約10%上昇がSolana固有の技術更新や利用増加によって生じたと、The Blockの記事だけから結論づけることはできない。
DEX利用者が確認すべきなのは、SOLの価格だけではない。Jupiterなどで取引する場合、ルートごとの価格差、プライスインパクト、MEV対策、トークンのミントアドレスを確認したい。流動性の薄いトークンでは、SOL相場が上向いていても、不利な約定や急激な価格反転が起こり得る。
また、SOLを担保に借り入れたり、永久先物でレバレッジをかけたりすると、現物保有より清算リスクが高くなる。市場全体が上昇している局面ほど、担保価値の上昇を前提にポジションを拡大しすぎないことが重要である。
HYPE最高値とHyperliquidの借入機能
HYPEの上昇には、市場全体の反発に加えて、Hyperliquidの機能拡張という個別材料もあった。The Blockは、HYPEやBTCを担保としてUSDCやUSDTなどのステーブルコインを借りる手動借入機能が始まったと報じている。
Hyperliquidの公式資料では、Portfolio Marginが現物と永久先物の残高を統合し、対象資産を担保として資本効率を高める仕組みとして説明されている。公式ドキュメント上、この機能は段階的に導入されており、利用可能な担保、借入資産、上限などは運用フェーズによって変わる。
利便性の向上は、同時に新しいリスクも生む。HYPEやBTCの価格が下落すれば担保余力が減少し、借入残高やデリバティブの損失と組み合わさって清算に近づく可能性がある。ポートフォリオ全体で証拠金が統合される場合、利用者が想定した順序で個別ポジションだけが清算されるとは限らない。
Hyperliquidの公式資料も、Portfolio Marginを複雑な技術アップグレードと位置づけ、少額の新規アカウントまたはサブアカウントで試すよう注意を促している。HYPEが最高値を更新したことと、借入機能を安全に利用できることは別問題である。
DEX・DeFi利用者が確認すべきポイント
今回のニュースを実際の取引判断へ落とし込む際は、少なくとも三つの時間軸を分けたい。第一はBTC、SOL、HYPEの短期的な価格変動、第二はSEC・CFTCによる行政ルールの導入、第三はCLARITY Actのような議会立法による長期的な制度確立である。
短期売買では、価格だけでなく出来高、板の厚さ、スプレッド、永久先物の資金調達率を確認する。レバレッジを利用する場合は、清算価格と最大損失を取引前に把握しなければならない。
中長期では、各プロジェクトの収益構造や実需を見る必要がある。SolanaならJupiterやOrcaなどの利用状況、HyperliquidならHyperCore、永久先物、Portfolio Marginの安全性と利用条件が確認対象になる。規制ニュースだけを根拠に、すべてのDEX関連トークンを同じ方向へ評価するのは危険だ。
さらに、米国の適用除外や規則案は、日本居住者に対する法的・税務上の扱いを決めるものではない。日本からDEXを利用する場合は、国内法、所得計算、利用規約、地域制限も別途確認する必要がある。
まとめ
2026年9月18日の暗号資産市場では、ビットコインが8万ドル台を回復し、SolanaとHyperliquidが主要銘柄の上昇を主導した。HYPEは90ドルを超えて過去最高値を更新し、Hyperliquidの借入機能も注目材料となった。
市場はCLARITY Actの停滞だけでなく、SECのInnovation ExemptionやCFTCの規則策定が続いている点も評価したとみられる。ただし、期限付きの適用除外や行政機関の規則は、議会による包括的な市場構造法制の代替とは限らない。
DEX・DeFi利用者にとって重要なのは、上昇率を追うことではなく、制度の対象範囲、プロトコルの仕様、担保と清算の仕組みを個別に確認することである。今回の反発は規制環境が一方向に確定したことを意味せず、価格変動と制度整備の双方を継続的に追う必要がある。





