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FRBがGENIUS法実施案、ステーブルコイン規制の焦点
ステーブルコイン規制·7分で読める

FRBがGENIUS法実施案、ステーブルコイン規制の焦点

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-25

📋 この記事のポイント

  • 1米FRBがGENIUS法を実施するための規則案を公表。
  • 2準備資産、資本要件、銀行の発行申請、利回り・報酬プログラムへの影響を、USDCやCoinbase、DeFi利用者の視点から解説します。
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米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国の決済用ステーブルコイン規制を具体化する2本の規則案を公表した。中心となるのは、発行残高を裏付ける準備資産、資本・リスク管理、銀行による発行申請、利回りや報酬の扱いである。

現時点では最終規則ではなく、Federal Register掲載後の60日間に意見を募集する段階だ。ただし、USDCのようなドル連動型ステーブルコインだけでなく、Coinbaseなどの取引所、UniswapやAaveを利用するDeFi参加者にも影響し得る重要な制度設計となる。

FRBが公表した2本のGENIUS法規則案

CoinDeskが2026年9月24日に報じたところによると、FRBはGENIUS Act(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)に基づく監督体制を整えるため、2本の規則案を提示した。

第1の規則案は、FRBの監督対象となる決済用ステーブルコイン発行者に対し、準備資産、償還、資本、流動性、リスク管理、監査、情報開示などの基準を設けるものだ。準備資産を保管するFRB監督下の企業に関する規定や、監督対象銀行が実施できるステーブルコイン関連業務の整理も含まれる。

第2の規則案は、州法銀行のうち連邦準備制度に加盟する銀行が、子会社を通じて決済用ステーブルコインを発行する場合の申請手続きを定める。申請者は事業計画、財務情報、経営体制、リスク管理、準備資産の管理方法などを提出しなければならない。

FRBは、申請が実質的に完全かどうかを受領後30日以内に通知し、完全な申請については原則120日以内に判断する枠組みを示している。却下時の不服申立て、審理、最終判断の手続きも規則案に盛り込まれた。

GENIUS Actとは何か

GENIUS Actは2025年7月18日に成立した、米国の決済用ステーブルコインに関する連邦法である。米国内で決済用ステーブルコインを発行できる主体を、認可された発行者に限定し、準備資産、償還、開示、監督、マネーロンダリング対策などの基本原則を定めた。

法律上の決済用ステーブルコインは、支払いや決済に利用され、発行者が一定額の通貨価値で償還する義務を負い、その価値を安定的に維持すると合理的に期待されるデジタル資産を指す。銀行預金、各国の法定通貨、一定の有価証券は、この定義から除外される。

認可発行者には、発行残高を少なくとも1対1で裏付ける識別可能な準備資産が求められる。対象には米ドル、適格な銀行預金、短期米国債、一定のレポ取引、要件を満たすマネー・マーケット・ファンドなどが含まれる。

CircleのUSDCやPaxosが関与するステーブルコイン事業のように、すでに準備資産と償還制度を運営している企業も、最終規則の内容に応じて管理・報告体制を調整する必要がある。GENIUS Actは法律として枠組みを示し、今回のFRB案は実務上の運用方法を具体化する位置付けだ。

準備資産と資本要件はどう変わるのか

FRB案では、発行済みステーブルコインを適格資産で完全に裏付けることに加え、準備資産の信用リスクや発行事業のオペレーショナルリスクに対応する資本要件が提案されている。

例えば、預金保険の対象外となる適格銀行預金を準備資産として保有する場合、そのエクスポージャーに対して2%の資本要件を課す案が示された。FRBは、2023年にSilicon Valley Bankが破綻した際、CircleがUSDC準備資産の一部を同行に預けていたことでUSDCが一時的なストレスに直面した事例を挙げ、銀行預金にも信用リスクがあると説明している。

新規発行者については、認可後3年間の新設期間に、通常のリスクベース資本要件と500万ドルの最低資本基準のうち高い方を適用する案も含まれる。500万ドルの基準は名目GDPに連動して調整する設計だ。

これは「準備資産が1対1で存在すれば十分」という単純な制度ではない。発行者自身の運営障害、サイバー事故、取引先の破綻、償還集中などに耐えられる資本と管理体制まで確認する考え方である。

ステーブルコインの利回り・報酬はどう扱われるか

市場関係者が特に注目しているのが、ステーブルコイン保有者に対する利息、利回り、報酬の扱いだ。GENIUS Actは、発行者がステーブルコインの保有、利用または保持だけを理由として、現金、トークンその他の形で利息や利回りを支払うことを禁止している。

FRB案は、発行者が関連会社や一定の第三者を経由して実質的な利回りを支払う仕組みにも目を向ける。発行者が関連会社などへ対価を支払い、その第三者が対象ステーブルコインの保有者へ利回りを支払う契約関係がある場合、禁止された支払いに該当すると推定する仕組みだ。ホワイトラベル型のステーブルコインや、発行者に代わって報酬を提供するサービスも検討対象となる。

一方、CoinDeskは、暗号資産プラットフォームがクレジットカードのポイントに似た限定的なインセンティブを提供できる余地は残る可能性があると報じている。ただし、どこまでが利用促進キャンペーンで、どこからが保有残高に対する実質的な利回りなのかは、最終規則が確定するまで明確ではない。

CoinbaseがUSDC利用者に提供する報酬のようなサービスは、支払主体、資金の流れ、発行者との契約、報酬の算定基準が重要になる。「発行者ではなく取引所が支払っている」という形式だけで、規制対象外になるとは限らない。

DEX・DeFi利用者への実務的な影響

Uniswap、Curve、Aave、CompoundなどのDeFiでは、USDCをはじめとするステーブルコインが取引、流動性供給、担保、貸借の基盤として使われている。今回の規則案が直ちにスマートコントラクト上の利回りを禁止するわけではないが、利回りの発生源を区別する必要性は高まる。

AaveやCompoundのレンディング金利は、一般に借り手が支払う金利をプロトコルが供給者へ配分する市場ベースの仕組みである。CurveやUniswapの流動性提供収益は、取引手数料や外部インセンティブに由来する。これらは、発行者が単なる保有に対して直接支払う利回りとは構造が異なる。

しかし、発行者、取引所、関連会社、DeFiフロントエンドの間に報酬契約がある場合、規則案の第三者経由に関する推定が問題になる可能性がある。利用者は「年率表示」だけを見るのではなく、報酬の支払主体、原資、条件、ロック期間、スマートコントラクトリスクを確認すべきだ。

また、規制準拠を重視する取引所やDEXフロントエンドでは、取り扱うステーブルコインの選定基準が厳しくなる可能性がある。米国外の発行者によるUSDTなどについても、米国内での提供にはGENIUS Act上の外国発行者要件が関係するため、アクセス地域や取扱方針が変わる可能性に注意したい。

今後確認すべきポイント

今回の文書はあくまで規則案であり、最終決定ではない。パブリックコメントはFederal Registerへの掲載後60日間受け付けられ、FRBは市場参加者、銀行、消費者団体、技術事業者などの意見を踏まえて内容を修正できる。

GENIUS Actは、成立から1年以内に関係当局が実施規則を策定するよう求めていた。成立日は2025年7月18日であるため、CoinDeskは関係機関が法定期限を過ぎていると指摘している。ただし、OCCやFDICなども個別の規則案を公表しており、制度整備そのものは進行している。

今後は、利回り禁止に関するセーフハーバーや少額例外が設けられるか、第三者報酬の範囲がどこまで広がるか、準備資産の償還期限と流動性基準がどう確定するかを確認する必要がある。銀行による発行事業では、申請審査が既存の暗号資産企業との競争条件にどのような差を生むかも重要だ。

利用者にとっては、特定のステーブルコインが「ドル連動」を名乗っているだけで安全と判断せず、発行主体、認可状況、準備資産の月次開示、償還条件、利用チェーンを確認する姿勢が引き続き欠かせない。

まとめ

FRBの2本の規則案は、GENIUS Actを実際の監督制度へ移すための重要な一歩である。準備資産の完全な裏付けだけでなく、信用・運用リスクに対応する資本、銀行子会社の申請、第三者を介した利回り支払いまで対象にしている点が特徴だ。

USDCなどの発行者、Coinbaseのような取引所、UniswapやAaveを利用するDeFi参加者への具体的な影響は、最終規則と各サービスの契約構造によって変わる。現段階では報酬サービスの全面禁止と断定せず、規則案への意見、最終文書、事業者からの正式発表を順に確認することが重要である。

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