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Velocity、シリーズA総額4800万ドルに拡大|Visaら出資
ステーブルコイン決済·7分で読める

Velocity、シリーズA総額4800万ドルに拡大|Visaら出資

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-16

📋 この記事のポイント

  • 1ステーブルコイン決済基盤を開発するVelocityがシリーズAを総額4800万ドルへ拡大。
  • 2Visa、Circle、Rippleの出資背景と、国際決済や企業財務、DeFi市場への影響を解説します。
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ステーブルコイン決済基盤を開発するVelocityは、Visa Ventures、Circle Ventures、Rippleなどから追加で1000万ドルを調達し、シリーズAの総額を4800万ドルへ拡大した。

今回の評価額はポストマネーで2億ドル。投資の焦点は消費者向けウォレットではなく、決済事業者や銀行が既存システムを維持したまま、精算・流動性・財務管理へステーブルコインを組み込むためのバックエンド基盤にある。

VelocityがシリーズAを4800万ドルへ拡大

CoinDeskの報道によると、ロンドンを拠点とするVelocityは、シリーズAの追加ラウンドで1000万ドルを調達した。これにより、2026年7月に発表された3800万ドルと合わせ、同ラウンドの調達総額は4800万ドルとなった。

追加出資にはVisa Ventures、USDC発行企業CircleのCircle Ventures、国際送金・デジタル資産インフラを展開するRippleが参加した。このほか、Haun Ventures、Translink Capital、Mirana Venturesも名を連ねる。Velocityのエリック・クイーサムCEOはCoinDeskに対し、今回の取引による評価額がポストマネーで2億ドルになったと説明している。

重要なのは、決済、ステーブルコイン、ブロックチェーン投資をそれぞれ異なる立場から進めてきた企業が、同じインフラ企業を支援した点だ。Visaはカードネットワークと既存金融、CircleはUSDC、Rippleはブロックチェーンを利用した企業間送金との接点を持つ。今回の顔ぶれは、ステーブルコインが暗号資産市場内部の送金手段から、企業決済の基盤へ移りつつあることを示している。

Velocityは何を提供する企業なのか

Velocityが狙うのは、利用者が直接操作する取引アプリではなく、金融機関や決済会社の裏側で動く「決済配管」だ。同社の公式サイトでは、法定通貨とステーブルコインを横断し、決済、残高、流動性、外国為替、トレジャリー業務を一つの基盤で扱うエンタープライズ向けプラットフォームとして説明されている。

具体的な用途には、ステーブルコインによる入出金、ステーブルコインを経由した法定通貨送金、企業のTMSやERPとの連携、規制対応を前提としたウォレット、精算・財務処理のルールベース自動化などが含まれる。銀行や決済会社が既存の会計・財務システムを全面的に置き換えずに導入できる点が中核となる。

例えば、国際的な決済会社は複数地域に資金を事前配置し、営業時間、締め時間、銀行休業日を考慮しながら残高を管理している。Velocityは、必要なタイミングでステーブルコインを利用して価値を移転し、受取側では法定通貨として処理する構成を想定する。ブロックチェーンを利用者に意識させるのではなく、既存金融の運用負担を減らす部品として使う発想だ。

Worldpayで見えた決済インフラの課題

クイーサムCEOは以前、年間2兆ドル超の決済を精算するWorldpayに勤務していた。そこで得た問題意識がVelocityの事業構想につながったという。

スマートフォン決済やチェックアウト画面など、消費者が触れるフロントエンドは大きく進歩した。一方、その裏側ではカード発行会社、カードネットワーク、加盟店契約会社、銀行、加盟店の間で、資金移動、照合、外貨交換、残高調整が行われる。国や通貨をまたぐほど関係者が増え、処理時間や事前資金の負担も生じやすい。

Velocityが改善しようとしているのは、このバックエンド領域である。ステーブルコインを使えばブロックチェーン上で残高と移転記録を確認でき、銀行営業時間外にも処理可能な設計を構築できる。ただし、ブロックチェーン送金だけで企業決済が完成するわけではない。本人確認、制裁リスト確認、資産保全、秘密鍵管理、会計処理、法定通貨への交換、取引の取消不能性への対応まで含めて運用する必要がある。

同社は公式サイトで、銀行、外国為替事業者、デジタル資産ネットワークを接続し、法定通貨とステーブルコインの双方を扱う方針を掲げている。Velocityの価値は新しい通貨を発行することより、複数の金融レールを企業が利用できる形にまとめる点にある。

Visa・Circle・Rippleが出資する意味

Visaはステーブルコインを既存決済と競合するだけの存在ではなく、自社ネットワークの精算手段としても利用している。Visaの公式発表では、米国の一部発行会社とアクワイアラーが、CircleのUSDCを使ってVisaへの債務を精算できる仕組みが示されている。消費者のカード利用体験を変えずに、金融機関側の精算と財務管理を更新する構図はVelocityの方向性と重なる。

Circleにとっては、USDCが取引所間の資金移動だけでなく、企業財務や国際決済で使われるほど利用領域が広がる。Velocityのような統合基盤が普及すれば、企業はブロックチェーン、ウォレット、交換事業者を個別に接続する負担を抑えられる可能性がある。

Rippleも、国境を越える価値移転や機関向けデジタル資産基盤を長く事業領域としてきた。もっとも、今回の出資だけからVelocityが特定のステーブルコインやブロックチェーンを独占的に採用すると判断することはできない。同社は複数資産・複数ネットワークを統合する立場を掲げており、個別の採用チェーンや対応通貨については正式発表を確認する必要がある。

DEX・DeFi市場への波及

VelocityはDEXそのものではないが、企業資金がオンチェーンへ入るための入口を整備する企業として、DeFi市場とも関係する。企業がステーブルコインを日常的な精算やトレジャリーに利用すれば、オンチェーンでの交換、流動性供給、資産管理、担保運用に対する法人需要が生まれやすくなる。

例えば、UniswapやCurve FinanceのようなDEXは、ステーブルコインやトークン化資産を交換する市場を提供する。一方、Velocityが担うのは、企業の銀行口座、社内会計、外国為替、ウォレット、ブロックチェーンを接続する業務レイヤーだ。両者は競合というより、企業資金が法定通貨圏とオンチェーン市場を行き来する際の異なる工程を担当する。

ただし、Velocityへの大手企業の出資を、そのまま特定のDEXトークンへの需要増加と結び付けるのは適切ではない。企業向け決済では、流動性だけでなく、規制対応、取引相手リスク、価格乖離、スマートコントラクト、ブロックチェーン障害、法定通貨への換金能力が評価される。実際の取引経路が公開されるまでは、DEXがどの範囲で利用されるかは未確認である。

読者が今後確認すべきポイントは、Velocityが対応するステーブルコインとチェーン、銀行・決済会社との導入事例、カストディ方式、法定通貨への入出金地域、流動性の調達先、障害時の責任分界だ。資金調達額よりも、これらの運用条件が実利用の規模を左右する。

ステーブルコイン決済の利点と注意点

ステーブルコイン決済の利点は、休日を含む資金移動、プログラムによる処理、オンチェーンでの追跡、複数地域間の財務管理を設計しやすいことにある。VisaもUSDC精算について、週7日の利用可能性や既存のカード体験を維持できる点を説明している。

一方で、「高速なブロックチェーンを使えば国際決済の問題がすべて解決する」わけではない。発行体への信用、準備資産、償還経路、各国規制、ウォレット管理、送金先審査、ネットワーク手数料、流動性不足といったリスクが残る。企業が利回り機能を利用する場合は、単純な決済よりもカウンターパーティーや運用商品のリスクが増える。

Velocityのような仲介基盤を評価する際は、送金速度だけでなく、どの法人が顧客資産を保有するのか、破綻時に資産が分別されるのか、取引記録を会計システムへ正確に反映できるのかを確認すべきだ。ステーブルコインは価格変動を抑える設計でも、銀行預金と同一の商品ではない。

まとめ

Velocityは追加で1000万ドルを調達し、シリーズAを総額4800万ドル、ポストマネー評価額2億ドルへ拡大した。Visa Ventures、Circle Ventures、Rippleなどの参加は、ステーブルコイン投資の重点が発行や取引だけでなく、精算、流動性、国際送金、企業財務を支える基盤へ広がっていることを象徴する。

同社の役割は、銀行や決済会社に暗号資産サービスを一から構築させることではなく、既存システムとステーブルコインの橋渡しをすることだ。DEX・DeFiにとっても法人資金の新たな入口になり得るが、具体的な利用チェーン、流動性経路、導入企業は公式発表に基づいて判断する必要がある。

今回のニュースで注目すべきなのは評価額だけではない。ステーブルコインが実際の企業決済へ定着するかどうかを測るうえでは、Velocityが今後公表する導入事例、対応地域、規制体制、精算実績がより重要な指標になる。

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