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韓国中銀、9月CBDC実証実験拡大へ:デジタルウォンの商業化に向けた動向
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韓国中銀、9月CBDC実証実験拡大へ:デジタルウォンの商業化に向けた動向

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-07-21

📋 この記事のポイント

  • 1P2P(個人間)送金: 個人間でデジタルウォンを直接送金する機能。
  • 2生体認証: 生体情報を用いた決済や認証の利便性向上。
  • 3自動化された預金トークン機能: スマートコントラクトを利用した、条件付きの自動支払いなど、先進的な機能の検証。
  • 4KB国民銀行
  • 5新韓銀行
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はじめに

韓国銀行(BOK)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「デジタルウォン」の商業化に向け、2026年9月に主要9行を巻き込んだ実証実験の第2段階を開始します。これは単なる技術検証にとどまらず、韓国の金融システム全体に広範な影響をもたらし、将来的には分散型金融(DeFi)市場にも間接的な影響を与える可能性を秘めた、極めて重要なステップです。

近年、世界各国の中央銀行がCBDCの研究・開発を進める中、韓国は実用化に向けた具体的な道筋を示すことで、デジタル経済におけるリーダーシップを発揮しようとしています。今回の実証実験では、実生活での取引を想定した様々なシナリオが検証され、デジタルウォンが国民の生活にどのように統合されていくかの青写真が描かれることになります。

韓国銀行(BOK)CBDC実証実験「Project Hangang」の概要と第2段階の狙い

韓国銀行が推進するCBDC実証実験は「Project Hangang(プロジェクト漢江)」と名付けられています。このプロジェクトは、段階的にデジタルウォンの実用性を検証し、最終的な商業化を目指すものです。

第1段階(2025年3月〜6月実施)

第1段階では、最大10万人規模の一般市民を対象としたパイロットプログラムが実施されました。この段階では、参加者は銀行預金から変換された「預金トークン」を利用し、実生活での少額決済を体験しました。具体的には、KB国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリ金融グループ、農協銀行、中小企業銀行、釜山銀行が参加し、CBDCの基本的な機能と利用者の受容性が検証されました。韓国銀行は卸売型CBDCを発行し、銀行はそのCBDCを利用して預金トークンの決済を行うという仕組みが構築されました。

第2段階(2026年9月開始)の目的

そして2026年9月には、今回のテーマである第2段階が開始されます。この段階の最大の目的は、デジタルウォンの「商業化に向けた基盤構築」にあります。韓国銀行の関係者によると、「韓国銀行は機関向けCBDCのインフラを提供し、各銀行は預金トークンを使用して独自のビジネスを行う」とされています。これにより、実取引を伴うより高度な検証が行われ、以下のような機能が試される予定です。

  • P2P(個人間)送金: 個人間でデジタルウォンを直接送金する機能。
  • 生体認証: 生体情報を用いた決済や認証の利便性向上。
  • 自動化された預金トークン機能: スマートコントラクトを利用した、条件付きの自動支払いなど、先進的な機能の検証。

第2段階では、従来の参加銀行に加えて、慶南銀行とiM銀行が新たに加わり、合計9つの主要銀行が参加することで、より広範な金融エコシステムでの検証が可能となります。政府は「時間や場所を問わずウォンが自由に取引できる環境を創出すること」を目標として掲げており、デジタルウォンが未来の韓国経済において不可欠なインフラとなることを目指しています。

参加する主要銀行と協力体制

今回の実証実験の第2段階には、韓国の金融業界を牽引する主要銀行が多数参加します。具体的には、既存の参加銀行に加え、慶南銀行とiM銀行が新たに加わり、合計9行がデジタルウォンの商業化に向けた取り組みに貢献します。

参加銀行例:

  • KB国民銀行
  • 新韓銀行
  • ハナ銀行
  • ウリ金融グループ
  • 慶南銀行
  • iM銀行

これらの銀行は、韓国銀行が提供する機関向けCBDCインフラを基盤として、それぞれが独自の預金トークンを発行し、管理することになります。これにより、預金トークンを用いた決済サービスや送金サービスなど、多岐にわたる金融サービスが開発・検証される見込みです。各銀行が競争原理の中で革新的なサービスを模索することで、デジタルウォンの利用シーンが拡大し、国民の利便性が向上することが期待されます。

この協力体制は、単に技術的な側面だけでなく、中央銀行と商業銀行が一体となって新しいデジタル金融インフラを構築していく上で、非常に重要な意味を持ちます。特に、地方銀行である慶南銀行やiM銀行の参加は、デジタルウォンが都市部だけでなく、地方においても広く普及する可能性を示唆しています。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは?ステーブルコインとの違い

CBDC(Central Bank Digital Currency)とは、中央銀行が発行・管理するデジタル形式の法定通貨です。物理的な現金と同じく、国の債務として中央銀行によって裏付けられており、法的根拠を持つという点で、既存のデジタル決済とは一線を画します。

CBDCの主な特徴:

  • 中央銀行発行・管理: 中央銀行が直接発行し、価値を保証します。

  • 法定通貨: 物理的な現金と同様に、法的強制力を持つ決済手段です。

  • ブロックチェーン技術の活用: 多くのCBDCプロジェクトで分散型台帳技術(DLT)が利用され、取引の透明性や効率性を高めることが期待されています。

一方で、暗号資産の一種である「ステーブルコイン」とは根本的な違いがあります。ステーブルコインは、米ドルや金などの特定の資産に価値がペッグ(固定)されるように設計された暗号資産であり、主に民間の企業や団体によって発行・管理されます。例としては、USDTやUSDCなどが挙げられます。

CBDCとステーブルコインの主な違い:

特徴CBDCステーブルコイン
発行主体中央銀行民間企業、団体
法的地位法定通貨法定通貨ではない(暗号資産)
価値の裏付け中央銀行の信用、国の債務準備金(法定通貨、国債など)
安定性中央銀行が保証する究極の安定性発行体の信用、準備金の管理状況に依存

DEXやDeFiの世界ではステーブルコインが重要な役割を担っていますが、CBDCはそれとは異なる「究極的に安全なデジタルマネー」として、既存の金融システムに組み込まれることを目指しています。しかし、CBDCが普及することで、将来的にはDeFiプロトコルがCBDCをサポートする可能性も十分に考えられ、両者の関係性には注目が集まります。

世界のCBDC開発動向と韓国の立ち位置

世界中でCBDCの研究・開発が進められていますが、その進捗状況は国によって大きく異なります。アトランティック・カウンシルの「CBDCトラッカー」によると、2026年7月現在、一部の国では既にCBDCが導入されています。

導入済みの国:

  • バハマ(サンドドル、2020年10月)
  • ナイジェリア(eナイラ、2021年)
  • ジャマイカ(ジャムデックス、2022年)

これらの国々は主に小規模経済圏であり、デジタル決済の普及や金融包摂の推進を目的としています。一方、より多くの国々がCBDCのテスト段階や開発段階にあります。具体的には、41カ国がテストを実施中、33カ国が開発中、15カ国が非活動状態、9カ国がプロジェクトを中止しています。これは、CBDCの導入がもたらすメリットと課題について、各国が慎重に検討している状況を示しています。

特に主要経済圏では、米国が慎重な姿勢を見せています。米上院では、CBDCの4年間禁止法案が可決されましたが、ドナルド・トランプ大統領は現在、この法案への署名を保留しています。これは、CBDCがもたらすプライバシーへの懸念や、既存の金融システムへの影響に対する議論が続いていることを示しています。

このような国際的な動向の中で、韓国は「Project Hangang」を通じて、実用化に向けた具体的な進捗を見せています。小規模なパイロットから始め、徐々に規模を拡大し、商業銀行を巻き込む形で実証実験を進めるアプローチは、慎重かつ現実的な導入戦略として注目されます。韓国の取り組みは、他の主要経済圏におけるCBDC開発の方向性にも影響を与える可能性があります。

デジタルウォン商業化が韓国金融システムにもたらす影響

韓国におけるデジタルウォンの商業化は、単なる決済手段の追加にとどまらず、韓国の金融システム全体に多岐にわたる影響をもたらすことが予想されます。

利便性の向上と金融包摂:

  • 24時間365日取引: デジタルウォンは、時間や場所の制約なく取引が可能になるため、決済の迅速化と利便性の向上が期待されます。これは、特に国際送金や電子商取引において大きなメリットとなるでしょう。
  • 金融包摂の促進: 銀行口座を持たない人々や、従来の金融サービスにアクセスしにくい地域の人々も、スマートフォンなどを通じてデジタルウォンを利用できるようになることで、金融サービスへのアクセスが改善される可能性があります。

既存金融システムへの影響と課題:

  • 商業銀行の役割の変化: 韓国銀行がCBDCのインフラを提供する一方で、商業銀行は預金トークンの発行・管理を通じて、決済サービスや送金サービスの担い手として重要な役割を果たし続けます。しかし、CBDCの導入は、商業銀行の預金構造や収益モデルに影響を与える可能性があり、各銀行は対応を迫られるでしょう。
  • インフラ整備の必要性: 預金トークンシステムの拡大は、既存の銀行インフラに大きな調整を要求します。商業銀行からは、技術的な対応コストや時間軸に関する懸念も表明されています。

ウォン建てステーブルコインと暗号資産の動向:

今回のCBDC推進は、銀行によるウォン建てステーブルコインの準備や、政府が暗号資産を「国家資産」として分類する計画と並行して進められています。これは、韓国政府がデジタル資産全体に対する包括的な戦略を持っていることを示唆しています。

  • ウォン建てステーブルコインとの共存: CBDCとウォン建てステーブルコインは、それぞれ異なる目的と特性を持つため、将来的には共存する可能性があります。CBDCは基盤となる安全なデジタルマネーとして機能し、ステーブルコインはより多様なユースケースやリスクを伴う取引に利用されるかもしれません。
  • 暗号資産規制の明確化: 暗号資産を国家資産として分類する動きは、規制の枠組みを明確にし、市場の透明性と投資家保護を強化する狙いがあると見られます。これにより、DeFi市場を含む暗号資産エコシステム全体が、より健全な形で発展する基盤が作られる可能性があります。

まとめ

韓国銀行が2026年9月に開始するCBDC実証実験の第2段階は、デジタルウォンの商業化に向けた決定的な一歩となります。9つの主要銀行を巻き込んだこの取り組みは、単に技術的な検証に留まらず、韓国の金融システムに広範な変革をもたらす可能性を秘めています。

デジタルウォンが広く普及することで、決済の利便性向上、金融包摂の促進が期待される一方で、商業銀行は新たなビジネスモデルとインフラ整備への対応を迫られるでしょう。また、ウォン建てステーブルコインの進展や暗号資産の国家資産分類といった関連動向も併せて注視することで、韓国のデジタル経済の全体像が見えてきます。

DEXやDeFiの観点から見れば、CBDCは直接的な競合というよりは、新たな基盤通貨としての可能性を秘めています。デジタルウォンが既存の金融システムに統合され、安定したデジタル資産として確立されることで、将来的にはDeFiプロトコルにおける新たな流動性源や決済手段として採用される道も開かれるかもしれません。今回の実証実験の進捗は、韓国だけでなく、世界のデジタル金融の未来を占う上で、重要な指標となるでしょう。

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