dex.jp
CFTCが大規模トークン化に備え、24時間市場を推進へ
資産トークン化·7分で読める

CFTCが大規模トークン化に備え、24時間市場を推進へ

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-23

📋 この記事のポイント

  • 1CFTCのセリグ委員長が、大規模な資産トークン化と24時間取引への対応を表明。
  • 2SECの株式トークン化制度やステーブルコイン担保、DEX・DeFi利用者への影響を解説します。
ポストLINE

CFTCのマイケル・セリグ委員長は、金融市場が「大規模なトークン化」とオンチェーン金融、24時間取引に備える必要があると表明した。 これは全面的な規制緩和の決定ではなく、既存の市場制度をブロックチェーン時代に適応させるという政策方針である。SECも条件付きでトークン化株式のオンチェーン取引を認め始めており、米国市場は実証段階へ入りつつある。

CFTC委員長が「大規模トークン化」への準備を要請

The Blockの報道によると、米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長は、ニューヨーク連邦準備銀行で開かれた米国債市場会議において、金融市場を「大規模なトークン化」に対応させる必要があると述べた。

セリグ氏は、トークン化、オンチェーン金融、24時間取引の進展によって、今後の金融市場は過去数十年を上回る変化を経験する可能性があるとの見方を示した。さらに、ブロックチェーンやAIを大規模に採用できるよう、従来の規制枠組みを技術に合わせて調整する必要があると説明している。

ここでいうトークン化とは、株式、債券、ファンド持分、担保資産などに関する権利や記録を、ブロックチェーン上のトークンとして表現することだ。ただし、資産をトークン化しただけで証券法や商品先物法の適用が消えるわけではない。CFTCの発言も、UniswapやAaveのような既存DeFiプロトコルを一括して承認する内容ではなく、規制対象市場の将来像を示したものと読むべきだ。

SECはトークン化株式の限定的な実証を開始

米証券取引委員会(SEC)はセリグ氏の講演に先立ち、「Innovation Exemption」と呼ばれる期限付き・条件付きの適用除外を公表した。対象となるTokenized Securities Venue(TSV)は、許可された参加者向けのAMM型流動性プールを通じ、トークン化された米国上場株式をオンチェーンで取り扱える。

これはUniswapのようなパーミッションレスDEXで、あらゆる米国株を自由に売買できる制度ではない。TSVには銘柄数や取引量の制限、取引情報の開示、記録保存、技術上の安全対策などが求められる。トークン化株式は元の株式と同等の権利を保有者へ提供する必要があり、原株が主要取引所で売買停止になった場合、TSV側も同時に取引を止めなければならない。

また、第三者が企業の許可なく株式をトークン化する場合、TSVは発行企業へ事前通知し、異議を申し立てる機会を与える必要がある。したがって今回の措置は、トークン化株式を無条件で解禁するものではなく、SECが管理された環境でAMMや公開ブロックチェーンの実用性を観察する制度といえる。

24時間取引では清算とリスク管理が課題になる

暗号資産市場では、UniswapなどのDEXやAaveなどのレンディングプロトコルが、銀行や証券取引所の営業時間に依存せず稼働している。この利用体験が、先物や証券を含む伝統的市場にも常時取引を求める背景の一つとなっている。

しかし、注文を24時間受け付けることと、清算、決済、担保管理、銀行送金、障害対応まで常時稼働させることは同じではない。CFTCスタッフが公表した助言では、取引所、スワップ執行施設、清算機関、先物取引業者に対し、24時間化しても既存の規制義務が継続すると明記された。

特に重要なのが、夜間や休日に急変が起きた場合の証拠金計算、追加担保の受け入れ、ポジション移管、サイバー攻撃への対応である。Aaveではスマートコントラクトに基づく担保管理を自動化できるが、規制市場には参加者保護や最終的な法的責任も必要になる。CFTCも、暗号資産デリバティブはデジタル基盤と世界的な利用者層から常時取引に適し得る一方、農産物など地域性の強い市場には同じ設計をそのまま適用できないと説明している。

ステーブルコインがオンチェーン担保の接続点に

セリグ委員長は、ステーブルコインが将来の市場基盤で重要な役割を担うとの認識も示した。CFTCスタッフは、先物取引業者が一定の非証券型デジタル資産を顧客証拠金として受け入れる場合に関するノーアクション・ポジションを示しており、決済用ステーブルコインの発行者にはナショナル・トラスト・バンクも含まれ得るよう定義を更新している。

ただし、これはUSDCを含むすべてのステーブルコインが、あらゆる取引所や清算機関で無条件に担保として認められたという意味ではない。対象資産、保管方法、分別管理、評価方法などの条件を満たす必要があり、個々の事業者が採用するかどうかも別問題である。

ステーブルコインを担保に利用できれば、銀行営業時間外でも担保を移動させ、証拠金不足へ対応しやすくなる可能性がある。一方、Circleなど発行者に対する償還請求、準備資産、カストディ、ブロックチェーン障害、スマートコントラクトの安全性といったリスクは残る。価格が米ドルに連動していても、現金そのものと同一ではない点に注意が必要だ。

DEXとDeFiにとって何が変わるのか

今回の発言が示す大きな変化は、UniswapのAMM、Aaveのオンチェーン担保管理、Circleなどが発行する決済用ステーブルコインといった仕組みが、規制市場とは無関係な周辺技術ではなく、市場インフラの選択肢として検討され始めたことだ。

SECのTSV制度でAMM型流動性プールが採用されたことは象徴的である。ただし、パーミッションレスDeFiと規制対象TSVには明確な違いがある。TSVでは参加資格、対象銘柄、取引量、情報開示、売買停止への対応などが制度上管理される。一般的なDEXのトークンを購入すれば、規制市場の成長を直接取り込めると判断するのは早計だ。

今後は、伝統的な取引所や清算機関が公開ブロックチェーンを利用するケースと、DeFiプロトコルが本人確認やアクセス制御を備えるケースが並行して増える可能性がある。競争の焦点も、単なる取引速度から、法的権利、オラクル、カストディ、監査可能性、異なるネットワーク間の相互運用性へ移っていくと考えられる。

利用者が確認すべき実務上のポイント

トークン化資産を利用する際は、まずトークンが何を表しているのかを確認したい。発行企業の株式そのものに対する権利なのか、仲介事業者への請求権なのか、価格に連動する合成資産なのかで、配当、議決権、償還、破綻時の扱いは異なる。

次に、取引場所を確認する必要がある。SECの条件を満たすTSV、CFTC登録市場、UniswapのようなパーミッションレスDEXでは、運営主体、参加条件、資産保護、紛争処理が同じではない。名称に「tokenized stock」と書かれていても、SECのInnovation Exemptionに基づく商品とは限らない。

24時間市場では流動性にも注意が必要だ。取引画面が常時稼働していても、時間帯によって参加者が減ればスプレッドや価格への影響が大きくなり得る。Aaveなどを通じて借り入れた資金で取引する場合は、原資産価格だけでなく、担保価値、清算条件、オラクル更新、ガス代も事前に確認したい。

最後に、今回のニュースを個別トークンの投資材料へ短絡させないことが重要だ。CFTC委員長の講演は政策の方向性を示すものであり、個別プロジェクトへの認可、収益保証、トークン価格の上昇を意味しない。

まとめ

CFTCのセリグ委員長は、米国市場が大規模なトークン化、オンチェーン金融、24時間取引へ備える必要があると表明した。CFTCはステーブルコイン担保や常時取引の運用ルールを整え、SECは条件付きのTSV制度を通じてトークン化株式とAMMの実証を始めている。

一方、UniswapやAaveのような既存DeFiが、そのまま伝統金融へ組み込まれると決まったわけではない。今後の焦点は、技術的な実現可能性だけでなく、原資産に対する法的権利、清算体制、担保管理、流動性、サイバーセキュリティを常時運用できるかにある。利用者は「トークン化」という名称ではなく、発行構造と規制上の位置付けを個別に確認する必要がある。

ポストLINE

関連記事