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Circle格下げ:モルガンS目標株価38ドルへ
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Circle格下げ:モルガンS目標株価38ドルへ

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-08-04

📋 この記事のポイント

  • 1モルガン・スタンレーがCircle(CRCL)を「アンダーウェイト」に格下げし目標株価を106ドルから38ドルへ引き下げ。
  • 2USDC成長鈍化と競争激化の背景を解説。
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結論:モルガン・スタンレーがCircleを格下げ、目標株価を大幅に引き下げ

2026年8月3日、米モルガン・スタンレーはステーブルコイン発行大手Circle Internet(ティッカー:CRCL)の投資判断を「イコールウェイト」から「アンダーウェイト(弱気)」へ引き下げ、目標株価を従来の106ドルから38ドルへと大幅に下方修正しました。理由は、主力ステーブルコイン「USDC」の成長鈍化と、それに伴う準備金運用収益(リザーブ収益)の減少見通しです。同社株はこの報道を受けて約6%下落し、2026年の年初来では約30%下げています。本記事では、格下げの根拠と、Circleを取り巻く競争環境の変化を整理します。

格下げの概要:目標株価106ドルから38ドルへ

モルガン・スタンレーのアナリスト、James Faucette氏はリサーチノートの中で、Circleの投資判断を引き下げた理由を次のように述べています。「USDCの縮小はリザーブ収益の感応度(金利・残高への依存度)を露呈させ、より利幅の薄いトランザクション収益への移行を示唆する」。

Circleの収益構造は、USDCの裏付けとして保有する米国債などの準備資産から得られる運用益(リザーブ収益)に大きく依存しています。これはCircleにとって最大の収益源です。つまりUSDCの流通残高が減れば、その分だけ運用対象となる準備資産も減り、収益に直接響く構造になっています。目標株価の38ドルへの引き下げは、この収益源に対する市場の懸念を反映したものといえます。

USDC供給予測の下方修正とEPSへの影響

モルガン・スタンレーは、USDCの供給(流通残高)予測を2027年で約33%、2028年で約44%引き下げました。この結果、同行が試算するGAAPベースの1株当たり利益(EPS)は、2027年でウォール街のコンセンサス(市場平均予想)を約3%下回り、2028年では約20%下回る水準になるとしています。

注目すべきは、2028年に向けて下方修正幅が拡大している点です。これは、短期的なショックというよりも、Circleの中長期的な収益力そのものに対する構造的な懸念を示しています。ステーブルコイン発行体のビジネスモデルは、金利環境と流通残高という2つの変数に強く左右されるため、両者が同時に悪化するシナリオでは収益が想定以上に落ち込む可能性があります。

競争激化:トークン化MMFとトークン化預金の台頭

格下げのもう一つの柱が、競合商品の台頭です。モルガン・スタンレーは、トークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)やトークン化預金の拡大が、USDCの残高とCircleが準備金から得る収益の双方を圧迫しうると指摘しました。

トークン化MMFは、短期の米国債などで運用されるMMFをブロックチェーン上でトークン化した商品で、保有者に利回りが分配される点がステーブルコインとの大きな違いです。USDCは原則として保有者に利回りを支払わないため、利回りを求める資金がトークン化MMFへ流れれば、USDCの残高が伸び悩む要因になります。

実際、同じ8月3日にはBlackRock(ブラックロック)が、伝統的な投資家とステーブルコイン業界の双方に対応する2つのブロックチェーンベースのマネー・マーケット商品を発表し、トークン化金融への取り組みを拡大しました。世界最大級の資産運用会社が本格参入することは、この市場が実験段階から実用段階へ移りつつあることを示しています。

エージェント決済(Agentic Payments)への懐疑

モルガン・スタンレーは、Circleが注力する「エージェント決済(agentic payments)」についても慎重な見方を示しました。エージェント決済とは、AIエージェントが自律的に少額決済を実行するユースケースを指し、ステーブルコインの新たな用途として期待されている分野です。

しかし同行の試算によれば、この領域の取引額は1日あたり約41,900ドルまで落ち込んでおり、1件あたりの平均取引額はおよそ24セントと推定されます。これは商業的な普及がまだ限定的であることを示唆しており、短期的な収益貢献は見込みにくいという評価につながっています。将来性のあるテーマではあるものの、現時点では株価を支える材料になりにくい、というのがモルガン・スタンレーの立場です。

新モデル「Open USD」がもたらす構造変化

ステーブルコイン市場の競争環境を変える要素として、モルガン・スタンレーは「Open USD」という新しいステーブルコインのモデルにも言及しています。Open USDは、ガバナンス(意思決定権)と準備金から生じる経済的利益(リザーブ・エコノミクス)を関係者間で共有する構造を特徴とするとされています。

従来、準備金の運用益は発行体が独占的に得る形が一般的でしたが、こうした利益を分配・共有する仕組みが広がれば、発行体単独の収益性は低下します。モルガン・スタンレーは、このような構造が広まることで、CircleがUSDCの流通を維持するための「配布インセンティブ(取引所やパートナーへの手数料など)」のコストがかさむ可能性があると指摘しています。つまり、USDCを普及させ続けるためのコストが上がり、利幅がさらに圧迫されるというシナリオです。

日本の投資家・DeFi利用者が押さえるべき視点

このニュースは、単一銘柄の格下げにとどまらず、ステーブルコイン業界全体のビジネスモデルが問い直されている点で重要です。第一に、ステーブルコイン発行体の収益は金利水準と流通残高に強く依存しており、金利低下局面や競争激化局面では収益が想定以上に減りうるという構造的リスクがあります。

第二に、利回りを分配するトークン化MMFやトークン化預金の台頭は、「利回りを払わないステーブルコイン」から「利回りを払うオンチェーン資産」への資金シフトを促す可能性があります。DeFiでUSDCを担保や決済手段として利用するユーザーにとっては、こうした代替商品の選択肢が増えること自体はメリットにもなり得ます。

なお、本記事は投資判断を推奨するものではありません。アナリストの目標株価はあくまで一機関の見解であり、前提条件が変われば評価も変わります。実際の投資にあたっては、Circleの決算資料や公式開示、複数の情報源を確認することが重要です。

まとめ

モルガン・スタンレーによるCircleの格下げ(目標株価106ドル→38ドル)は、USDCの成長鈍化とリザーブ収益への依存という構造的な弱点、そしてトークン化MMF・トークン化預金・Open USDといった新たな競合の登場を背景としています。2027年・2028年のEPS予測がコンセンサスを下回るという試算は、ステーブルコイン発行体のビジネスモデルが転換期を迎えていることを示唆します。今後は、利回りを提供するオンチェーン商品との競争の中で、各発行体がどのように収益源を多様化していくかが焦点となるでしょう。DEX・DeFiの利用者としても、ステーブルコインを取り巻く経済圏の変化を継続的に注視していく価値があります。

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