暗号資産取引所CoinExは、2026年9月15日からサービスを段階的に縮小し、同年12月22日に取引所プラットフォームの運営を終了すると発表した。 背景として挙げたのは、暗号資産市場の長期低迷、取引量と流動性の縮小、規制要件およびコンプライアンスコストの増加だ。 利用者は、保有資産の種類や利用中のサービスを確認し、公式期限より十分早く出金を完了させる必要がある。
CoinExが9年間の運営に幕
The Blockは2026年9月15日、暗号資産取引所CoinExが約9年間の運営を経て事業を終了すると報じた。CoinExの公式発表によると、取引所は2017年12月22日に正式サービスを開始し、2026年12月22日にプラットフォームを閉鎖する予定だ。
CoinExが事業終了の理由として明示したのは、暗号資産市場の長期的な低迷、業界全体における取引量と流動性の大幅な縮小、主要な法域で強化される規制要件、コンプライアンス費用、そして運営上の不確実性である。同社は、これらが合理的な範囲を超えたと判断し、「秩序ある事業終了」に移行すると説明している。
今回の発表は、経営破綻を宣言して直ちに全サービスを停止する内容ではない。CoinExはサービスごとに終了日を分け、利用者がポジションを閉じたり資産を出金したりするための移行期間を設定している。ただし、期限を過ぎた資産には自動換金や保管手数料などが適用されるため、放置は避けたい。
なお、CoinExは中央管理者が利用者資産や注文を管理する中央集権型取引所、いわゆるCEXである。UniswapやCurve Financeのようにスマートコントラクトを介して利用者自身のウォレットから取引するDEXとは仕組みが異なる。
サービス終了までの重要な日程
最初の節目は2026年9月15日だ。この日から新規ユーザー登録と紹介報酬の配布が終了した。先物市場はReduce-Onlyモードへ移行し、既存ポジションの縮小または決済だけが可能となった。法定通貨サービス、マージン取引、ローン、Earn、ステーキング、現物・先物グリッドなどについても、新規注文や申込みが停止されている。
次の期限は9月22日である。この日には現物取引以外のサービスが終了し、先物の未約定注文は取り消される。残っている先物ポジションはインデックス価格を基準に強制決済されるため、利用者自身が価格や注文状況を確認して事前に整理することが望ましい。Earnやステーキングの商品はプラットフォームによって償還され、元本と利回りは現物口座へ入金される予定だ。
オンチェーン入金も9月22日に停止する。ただし、CoinExのネイティブトークンであるCETの入金は9月29日まで受け付ける。CoinExは、必要な資産操作を除き、発表日以降は新たな暗号資産を入金しないよう案内している。
9月29日には全現物取引が終了し、未約定の現物注文が取り消される。同時に、CoinEx Smart Chain(CSC)と分散型取引プロトコルOneSwapも運営を終了する。取引所の最終的な出金期限は12月22日02:00(UTC)である。
USDT以外の資産とCETはどうなるのか
CoinEx口座にあるUSDT以外の資産は、2026年9月29日02:00(UTC)から順次処理される。外部市場に流動性がある暗号資産については、CoinExが外部市場で売却し、実際の売却による純収益をUSDTへ換えて利用者の現物口座に反映する。
一方、外部市場に十分な流動性がない資産は段階的に上場廃止され、関連ウォレットの維持も終了する。公式発表では、このような資産を保有する利用者に対し、9月29日の処理開始前にオンチェーンウォレットへ出金するよう求めている。特定の銘柄をそのまま保有したい場合、USDTへの自動換金を待たず、対応ネットワークと受取先を確認したうえで出金する必要がある。
CETについては、9月15日から9月29日まで、CoinExが1 CETあたり0.005 USDTで買い注文を継続的に提示する。この期間のCET/USDT取引手数料は免除される。9月29日時点で口座に残るCETは、同じ価格で自動的に買い戻され、USDTが現物口座へ入金される。その後は追加の買い戻しや償還制度を設けないとしている。
CSC上でCETやその他の資産を保有している場合は、取引所口座内の残高だけでなく、CoinEx Smart Chain上のウォレットやOneSwapの流動性ポジションも確認したい。CSCの停止と同時にクロスチェーンブリッジの償還期間も終了するため、ブリッジ操作や入金確認に必要な時間を見込む必要がある。
利用者が出金前に確認すべきこと
まずCoinExの現物口座、先物口座、マージン口座、Earn、ステーキング、戦略取引、OneSwapを個別に確認する。資産が複数のサービスへ分散している場合、単に現物残高を見るだけでは全体を把握できない可能性がある。
出金先には、対象銘柄とネットワークの両方に対応する自己管理ウォレット、または利用可能な別の取引所を選ぶ。例えばUSDTには複数のネットワークが存在するため、CoinEx側で選択したネットワークと受取側の対応ネットワークが一致しているかを確認しなければならない。アドレスの入力ミスやネットワークの不一致は、資産を失う原因になり得る。
初めて使う出金先では、可能であれば少額を先に送って着金を確認し、その後に残りを移す方法が現実的だ。出金履歴、取引履歴、残高画面、トランザクションIDも保存しておくと、後日サポートへ問い合わせる際の資料になる。
CoinExは、ブロックチェーンの混雑、手数料の変動、確認時間の長期化が起こり得るとして、期限直前に出金を集中させないよう注意を促している。12月22日は最終期限であり、実務上の目標日として扱うべきではない。特に流動性の低い資産を元の銘柄のまま出金したい利用者にとっては、9月29日02:00(UTC)がより重要な期限となる。
出金期限後の資産と詐欺への注意
12月22日の出金期間終了後、未出金のUSDTはCoinExによる独立保管へ移される。公式発表では、期限終了時点の元の資産残高に対し、月額5%の保管手数料を請求するとしている。保管資産の請求期限は2028年8月22日だが、本人確認の再実施やセキュリティ審査が必要になる可能性がある。したがって、後日の請求手続きに頼らず、通常の出金期間中に対応することが重要だ。
事業終了に便乗したフィッシングにも警戒したい。CoinExは、秘密鍵、パスワード、認証コードを求めたり、「凍結解除」「補償」「エアドロップ」を理由に特定アドレスへ送金させたりすることはないと明記している。
また、今回の事業終了に関する公式発表は最終告知であり、CoinExを名乗る「追加規則」や「新しい救済手続き」は詐欺だとしている。検索広告、SNSの返信、非公式Telegramグループなどからリンクを開くのではなく、公式ドメインを直接確認するのが安全だ。
DEX・DeFi利用者への影響
CoinExの終了はCEXの事例だが、DEXやDeFiの利用者にも無関係ではない。第一に、CEXは法定通貨やステーブルコインとオンチェーン資産を結ぶ入口・出口として利用される。取引所が終了すれば、その経路に依存していた利用者は別の方法を準備しなければならない。
第二に、CSCとOneSwapの停止は、個別チェーンとそのDEXに固有の終了リスクを示している。UniswapやCurve Financeなど別のプロトコルを利用する場合でも、スマートコントラクトだけでなく、基盤チェーン、ブリッジ、フロントエンド、オラクル、流動性の継続性を分けて確認する必要がある。
第三に、自己管理ウォレットへ移せばすべてのリスクが消えるわけではない。秘密鍵の紛失、偽サイトへの接続、誤送金、スマートコントラクトの脆弱性といった別のリスクが生じる。MetaMaskなどのウォレットへ移す場合は、シードフレーズをオンラインサービスへ入力せず、公式URLやコントラクトアドレスを確認することが基本となる。
CoinEx WalletとCoinEx Vaultは取引所プラットフォームから独立したサービスであり、公式発表では今回の終了対象に含まれない。ただし、名称が共通しているため、取引所口座内の資産と自己管理型サービス上の資産を混同しないよう注意したい。
まとめ
CoinExは、暗号資産市場の長期低迷、取引量と流動性の縮小、規制・コンプライアンス負担の増加を理由に、9年間続けた取引所事業を終了する。9月22日に現物以外の主要サービス、9月29日に現物取引、CSC、OneSwapが終了し、12月22日に通常の出金期間が終わる。
利用者が優先すべきなのは、全サービスの残高とポジションを確認し、保有銘柄をそのまま出金するかUSDTへ交換するかを判断したうえで、公式期限より早く移動を完了することだ。特に非USDT資産、CET、CSC上の資産、OneSwapのポジションには9月29日より前の対応が求められる。
今回の事例は、取引所やDeFiサービスを長期間利用していても、その継続が保証されるわけではないことを改めて示した。資産の保管場所、ネットワーク、出金経路を定期的に把握し、単一の事業者やチェーンへ過度に依存しない運用が重要である。





