dex.jp
CLARITY法案は未織り込み?Bernsteinが見る暗号資産市場
暗号資産規制·6分で読める

CLARITY法案は未織り込み?Bernsteinが見る暗号資産市場

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-15

📋 この記事のポイント

  • 1米CLARITY法案を巡り、Bernsteinが暗号資産市場に政策サプライズが織り込まれていないと分析。
  • 2上院採決の意味、DeFi規制、投資家が確認すべき論点を解説します。
ポストLINE

CLARITY Actは、米国の暗号資産についてSECとCFTCの役割を整理し、取引所やDeFiに適用するルールを明確化する市場構造法案です。 Bernsteinは、法案が予想以上に前進する可能性を暗号資産市場が十分に織り込んでいないと指摘しました。ただし、予定されているのは最終成立ではなく、上院審議を進めるための重要な手続きです。

Bernsteinが指摘した「織り込まれていない」サプライズ

Decryptによると、調査会社Bernsteinのアナリスト、Gautam Chhugani氏は、CLARITY Actを巡る前向きな政治展開が暗号資産価格に「明確に織り込まれていない」と分析しました。市場参加者が法案の停滞や党派対立を前提にしている一方、超党派で審議が進めば政策面のサプライズになり得る、という見方です。

ここでいう「織り込み」は、法案成立による将来の利益が、BitcoinやEthereum、Coinbaseなどの価格へすでに反映されているかを意味します。規制の明確化は、暗号資産そのものだけでなく、UniswapのようなDEX、AaveのようなDeFiプロトコル、米国でサービスを提供する中央集権型取引所にも影響します。

ただし、Bernsteinのコメントは市場予測であり、法案成立や価格上昇を保証するものではありません。同氏には暗号資産関連銘柄をロング保有しているとの開示もあるため、読者は利益相反を含めて分析を評価する必要があります。

9月15日の採決は最終可決ではない

米上院の公式日程では、2026年9月15日に予定されているのは、H.R.3633について審議入りする動議に対するcloture、すなわち討論終結のための手続き採決です。これは法案そのものを最終可決する投票ではありません。

上院で一般的な法案のclotureを成立させるには、原則として上院議員の5分の3の賛成が必要です。そのため、共和党だけでなく民主党側からも一定の支持を得られるかが重要になります。手続き採決を通過した場合も、本会議での審議、修正案、最終採決、下院との文言調整、大統領署名といった段階が残ります。

市場にとってのサプライズは「9月15日に法律が成立すること」ではなく、超党派の支持によって上院審議が予想以上に前進することです。BitcoinやEthereumの短期価格だけを見て判断せず、採決の対象と立法段階を区別することが欠かせません。

CLARITY Actは何を変えようとしているのか

H.R.3633の中心的な目的は、デジタル資産に対するSECとCFTCの管轄を整理することです。議会調査局の解説では、法案はデジタルコモディティとその仲介業者に対してCFTCへ中心的な役割を与える一方、資金調達を含む一次取引ではSECの権限を一部維持する構造とされています。

例えば、Coinbaseのような取引所やブローカーがデジタルコモディティを扱う場合、登録、顧客資産の管理、情報開示、市場監視などの基準が設けられます。トークン発行者についても、ネットワークや保有構造に関する開示制度が重要になります。

一方、法案はすべての暗号資産を一律にコモディティと認定するものではありません。証券、デリバティブ、ステーブルコインなどは別の法制度との関係が残ります。Ethereum上のトークンであっても、発行方法や運営主体、取引の性質によって扱いが変わる可能性があるため、「CLARITY Actが成立すれば全トークンが合法になる」という理解は正確ではありません。

UniswapなどDeFiへの影響

2026年9月に公表された更新内容では、非分散型のDeFiプロトコルがどのような場合にCFTCへ登録し、銀行秘密法の対象となるかが論点になっています。法案は単なるソフトウェア開発と、利用者資産や取引を実質的に支配する仲介行為を区別しようとしています。

UniswapのスマートコントラクトやAaveのレンディング市場のように、パーミッションレスで稼働する仕組みでは、「誰が管理権限を持つのか」「フロントエンドが取引を仲介しているか」「手数料やアップグレードを誰が制御するか」が重要です。名称にDAOやDeFiを含むだけで、自動的に規制対象外になるわけではありません。

上院銀行委員会は、ソフトウェア開発者とピア・ツー・ピア活動を保護しつつ、中央集権的な仲介者にはリスク管理、サイバーセキュリティ、コンプライアンス上の基準を適用する方針を説明しています。一方、同委員会の少数党スタッフは、分散型ミキサーに対する法執行権限が弱まる可能性を問題視しており、DeFi条項は成立まで修正される余地があります。

地域銀行とステーブルコインを巡る政治的争点

CLARITY Actの審議では、暗号資産業界だけでなく、地域銀行や信用組合への影響も焦点になっています。特にステーブルコインに付随する報酬が銀行預金から資金を流出させるのではないかという懸念は、法案への支持を左右する論点です。

USDCを発行するCircleや、USDTを発行するTetherにとっては、ステーブルコイン自体の法制度に加えて、取引所やウォレットが利用者へ提供する報酬の扱いも重要です。更新案には信用組合によるデジタル資産業務を明確化する内容も含まれています。

また、議員や政府関係者の暗号資産取引を巡る倫理規定も政治交渉の対象です。業界に有利な規制整備だけを切り取るのではなく、利益相反対策、違法金融への対応、銀行システムへの影響を含む妥協案として法案を読む必要があります。

投資家が採決前後に確認すべきポイント

第一に確認すべきなのは、投票結果の見出しではなく採決の種類です。「cloture可決」と「法案の最終可決」では意味が大きく異なります。米上院Daily PressやCongress.govで、審議段階と正式な法案文を確認しましょう。

第二に、最終的な修正条項です。Uniswap、Aave、Coinbase、Circleなどへの影響は、登録義務、支配の定義、銀行秘密法、ステーブルコイン報酬に関する文言で変わります。採決前の案と成立版が同一とは限りません。

第三に、市場反応と事業上の効果を分けて考えることです。BitcoinやEthereumが採決直後に上昇しても、規制対応費用や実際の資金流入が確定したとはいえません。反対に短期的な価格反応が小さくても、Coinbaseなどの米国事業者にとって長期的な法的予見可能性が改善する可能性はあります。

まとめ

Bernsteinの見方は、CLARITY Actの前進が暗号資産市場にとって予想外の好材料になり得るというものです。9月15日の手続き採決を通過すれば、米国のデジタル資産市場構造法制が重要な段階へ進むことになります。

しかし、手続き採決は最終成立ではありません。SECとCFTCの管轄、非分散型DeFiの登録義務、銀行秘密法、ステーブルコイン報酬、政治家の倫理規定など、調整すべき争点は残っています。

DEXやDeFiの利用者は、価格予測だけでなく、UniswapやAaveの運営・フロントエンド、Coinbaseなどの仲介業者に最終条文がどう適用されるかを確認することが重要です。政策サプライズの可能性と、立法が未完了である事実を同時に捉える必要があります。

ポストLINE

関連記事