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Dinari、米国株トークンをアメリカ投資家に解禁|RWA競争激化
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Dinari、米国株トークンをアメリカ投資家に解禁|RWA競争激化

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-08-05

📋 この記事のポイント

  • 1トークン化米国株企業Dinariが、S&P500全銘柄を含む724銘柄の米国株トークン「dShares」を米国内投資家に解禁。
  • 2USDCで売買可能な仕組みと、激化するRWA競争の最前線を解説します。
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トークン化米国株を手がけるDinariが、S&P500の全構成銘柄を含む724銘柄の米国株トークン「dShares」を、適格な米国内投資家向けに提供開始した。投資家はCircleのステーブルコイン「USDC」を使い、セルフカストディ(自己管理)ウォレット経由で株式トークンを売買できる。トークン化された米国債ファンドに続き、株式(エクイティ)がリアルワールドアセット(RWA)の次の主戦場となりつつあることを示す動きだ。

Dinariの米国内展開とは何か

Dinariは2026年8月4日、これまで米国外を中心に提供してきたトークン化株式サービスを、適格な米国内投資家に拡大したと発表した。同社はカリフォルニア州サンマテオに拠点を置き、元Appleエンジニアでバイオテック企業Freenomeの前CEOでもあるGabe Otte氏が率いる。

今回の展開の核となるのが、株式トークン「dShares」だ。公式サイトによれば、dSharesは現物株式によって1対1で裏付けられており、投資家がdSharesを購入すると、Dinariが規制対象のカストディ・ブローカー口座で対応する原資産(現物株)を取得する仕組みになっている。つまりトークン自体が実際の株式所有を反映する設計で、価格連動型の合成資産とは異なる。

重要なのは、Dinariが自ら大規模なリテール証券会社になることを目指しているわけではない点だ。同社はフィンテック企業・ウォレット・証券会社(ブローカー・ディーラー)が、自社の顧客に対してトークン化株式を提供できるようにする「インフラ」の提供を狙っている。

dSharesの仕組みと対応チェーン

dSharesは複数のブロックチェーンに対応している。現時点でEthereum、Arbitrum、Base、Avalancheの4チェーンで利用でき、SolanaとSeiへの対応も「近日中」に予定されているという。マルチチェーン展開により、各エコシステムのユーザーが慣れた環境で米国株トークンにアクセスできる。

決済にはCircleのUSDCが使われる。米ドルにペッグされたステーブルコインで株式を売買できるため、従来の銀行送金や証券口座を介した入金プロセスを経由せずに、オンチェーンで完結した取引が可能になる。

株主としての権利面では、Dinariは配当をステーブルコイン「USD+」で支払い、株式分割(ストックスプリット)の自動反映や、市場価値に基づく償還(リデンプション)オプションを提供している。またトークンレベルでKYC(本人確認)ゲーティング、地域制限、AML(マネーロンダリング対策)モニタリングが組み込まれており、コンプライアンスを技術的に担保する設計だ。

規制対応のインフラと提携パートナー

トークン化株式が実際の証券を扱う以上、規制面のクリアが最大の関門となる。Dinariは、規制対象のブローカー・ディーラーおよび移転代理人(トランスファー・エージェント)のインフラを通じてサービスを運営している。組織構造としては、技術・移転代理業務を担うDinari Inc.と、ブローカー・ディーラー子会社であるDinari Securitiesに分かれている。

米国内展開にあたっては、テスト段階として各種の安全策(セーフガード)を設けた上での提供となっている。米国は証券規制が特に厳格であり、こうした「規制の配管(regulatory plumbing)」を整えたことが、今回の米国内解禁を可能にした背景にある。

ローンチのパートナーには、USDCを発行するCircle(CRCL)のほか、Stripe傘下のウォレットインフラ企業Privy、Para、Monacoが名を連ねる。これらのパートナーは、ウォレット接続や決済、ユーザー体験の各レイヤーを支える役割を担う。

トークン化株式がRWAの次の主戦場に

今回の動きは、トークン化株式(エクイティ)がリアルワールドアセットの次なる激戦区として浮上している状況を象徴している。RWAの分野では、まずトークン化された米国債ファンドが最初の大型機関投資家向けユースケースとして急成長した。その次のフロンティアとして、各社が公開株式のトークン化に注目している。

ブロックチェーン技術を使えば、取引・決済(セトルメント)・株主名簿の管理といった従来の証券インフラを近代化できるという期待がある。特に、24時間365日の取引や、決済の即時化、オンチェーンでの透明な記録管理といった利点が指摘されている。

市場規模の予測も強気だ。米金融大手Citiは、トークン化証券市場が2030年までに5.5兆ドル規模に成長する可能性があると予測している。まだ黎明期にある市場に対し、大手金融機関が長期的な成長を見込んでいることがうかがえる。

競争の激化とDinariのポジション

Dinariの米国内展開は、Ondo Financeがトークン化株式向けのSEC(米証券取引委員会)に整合したフレームワークを発表した直後のタイミングで行われた。トークン化株式のセクターでは、複数のプレイヤーが規制対応と市場シェア獲得を巡って競争を繰り広げている。

もっとも、Dinari自身は現時点でセクター内の小規模プレイヤーの一つにとどまる。RWA.xyzのデータによれば、トークン化株式市場全体が約22億ドル規模であるのに対し、Dinariのトークン化株式残高は約1000万ドルにすぎない。市場全体に占めるシェアはまだ限定的だ。

一方で、資金調達面では一定の支持を集めている。Dinariはこれまでに、Hack VC、Blockchange Ventures、VanEck Ventures、F-Prime、そしてAvalancheエコシステムのファンドであるBlizzardなどの投資家から、2200万ドル超を調達している。VanEckのような伝統的資産運用会社系のベンチャー部門が名を連ねている点は、トークン化株式に対する既存金融側の関心を示している。

Dinariのインフラ提供型モデルは、自社ブランドでのリテール獲得を競うのではなく、多数のフィンテックやウォレットを通じて間接的に利用を広げる戦略だ。市場シェアが小さい現状でも、パートナー経由での拡大余地は残されている。

日本の投資家が押さえるべきポイント

今回のDinariの発表は米国内投資家向けの解禁であり、日本を含む他国の投資家がそのまま利用できるわけではない点には注意が必要だ。dSharesにはトークンレベルで地域制限とKYCが組み込まれており、対象外の地域からのアクセスは制限される。

それでも、この動きが持つ意味は大きい。米国という世界最大の証券市場でトークン化株式の規制対応が進むこと自体が、RWA全体の信頼性とインフラ成熟を後押しするからだ。ステーブルコイン決済とオンチェーン株式が組み合わさることで、DeFi(分散型金融)と伝統的資本市場(TradFi)の境界はさらに曖昧になっていく。

投資家としては、こうしたトークン化株式が「現物裏付け型(カストディ型)」なのか「合成型」なのか、どの規制枠組みの下で発行されているのか、原資産の保管とコンプライアンスがどう担保されているのかを見極めることが重要になる。トークン化されているからといってリスクが消えるわけではなく、発行体の規制ステータスや裏付け資産の実在性を確認する姿勢が欠かせない。

まとめ

Dinariによる米国内でのトークン化米国株解禁は、RWA市場の焦点が米国債から株式へと移りつつあることを明確に示す出来事だ。S&P500全銘柄を含む724銘柄をUSDCで売買できる仕組みは、ブロックチェーンと伝統的証券インフラの融合を体現している。

一方で、Dinariの市場シェアはまだ約1000万ドルと小さく、Ondo Financeをはじめとする競合との競争は激化している。Citiが予測する2030年の5.5兆ドル市場という将来像に向けて、規制対応・裏付けの透明性・パートナーエコシステムのいずれで優位に立つかが、勝者を分ける鍵となるだろう。日本の投資家にとっては、直接利用可能になるのは先の話でも、トークン化株式という新しい資産クラスの動向を注視する価値は十分にある。

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