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元FTX欧州責任者、SEC新制度で米国株トークン取引市場へ再挑戦
トークン化株式·6分で読める

元FTX欧州責任者、SEC新制度で米国株トークン取引市場へ再挑戦

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-10-15

📋 この記事のポイント

  • 1Perpetuals.comがSECの新制度を使い、米国株トークンの取引市場を計画。
  • 2仕組み、FTX時代との違い、AMM・USDCを用いる設計、DeFi利用者が確認すべき株主権、流動性、技術面のリスクを整理します。
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トークン化株式とは、株式に連動する権利をブロックチェーン上のトークンとして移転・取引できるようにした証券です。 Perpetuals.comは、米SECの新たな「Innovation Exemption」を利用し、米国株トークンを扱う市場の開設を計画しています。重要なのは、暗号資産型の合成商品ではなく、配当や議決権を含む通常株と同等の権利が求められる点です。

Perpetuals.comが発表した計画の概要

CoinDeskによると、Nasdaq上場のPerpetuals.comは2026年10月14日、米国株をトークン化して取引するTokenized Securities Venue(TSV)の公開通知を掲載しました。運営主体はデラウェア州法人のKephas Corporationです。現時点では取引は始まっておらず、公式サイトも「Coming soon」と明記しています。したがって、これはサービス開始の発表ではなく、制度利用に向けた事前通知と理解する必要があります。

計画では、Perpetuals.comグループが開発するEthereum互換レイヤー2「Kronos X Public」上に市場を設けます。取引には、参加資格を確認した利用者だけがアクセスできる許可型AMMプールを採用し、各プールで米国株トークンと適格なデジタル資産を組み合わせます。決済側の資産には、当初USDCの一形態を想定しています。注文板やマッチングエンジンではなく、スマートコントラクトが価格形成と約定を担う設計です。

SECのInnovation Exemptionとは何か

米SECは2026年9月17日、トークン化されたNMS株式を扱うTSVに対し、「取引所」の定義から一時的・条件付きで除外する命令を公表しました。免除は恒久的な規制変更ではなく、公開から5年後に失効する暫定措置です。対象市場は米国法人でなければならず、アクセス基準を設けた許可型環境で運営されます。連邦証券法上の詐欺・相場操縦防止規定も引き続き全面適用されます。

SECが示した条件には、銘柄数と取引量の制限、通常株と同等の権利・特典の確認、第三者がトークン化する場合の発行企業への通知と異議申立て機会、公開・監査可能なスマートコントラクト、公開型かつ許可不要の分散型台帳の利用が含まれます。原株が主要上場市場で売買停止になれば、対応するトークンも同時に停止しなければなりません。Perpetuals.comの通知にも、TSVはSEC登録市場ではなく、Regulation NMSの対象外であることが明記されています。

2021年の株式トークンと何が違うのか

Patrick Gruhn氏は、スイスのDigital Assets AGを共同創業し、CM-EquityとともにBinanceやFTX向けの株価連動トークン開発に関わりました。Digital Assets AGは後にFTX Groupへ買収され、Gruhn氏はFTX Europeを率いました。今回の計画は、同氏のチームにとって株式トークン分野への再参入に当たります。

ただし、2021年にBinanceなどが扱った商品と、今回のSEC制度が想定する証券は同一ではありません。CoinDeskの整理では、当時のBinance株式トークンは原株の価格エクスポージャーを提供した一方、議決権は付与しませんでした。これに対し、Innovation Exemptionでは、配当受領や議決権の行使を含め、同じクラスの通常株と同等の権利を保有者に与えることが条件です。名称が「株式トークン」でも、価格連動だけの商品と、法的な株主権を伴う証券トークンは分けて確認すべきです。

AMMとUSDCを使う市場構造

Perpetuals.comのTSVは、Uniswapに代表されるAMMの考え方を証券取引へ取り込む一方、誰でも自由に売買できる通常のDEXとは異なります。Kronos X Public自体は公開型ネットワークとして説明されていますが、株式トークンのプールへ接続できるのは本人確認などを通過した適格参加者です。「公開チェーン上にあること」と「市場参加が無許可であること」は同義ではありません。

USDCはCircleが発行し、米ドルと1対1で償還可能と説明するデジタル通貨です。株式トークンとのペアに使えば、オンチェーン上で取引と決済を一体化しやすくなります。一方、プールの価格は流動性量、取引方向、手数料設計に左右されます。NYSEやNasdaqの注文板価格と自動的に一致するとは限らず、裁定取引、参照価格、取引停止の連動方法が実運用の焦点になります。流動性提供者にとっても、株価変動だけでなく、USDC側の発行体・償還・スマートコントラクトのリスクが加わります。

OKX・ICEの計画と競争の焦点

CoinDeskは、Perpetuals.comを同制度の利用を目指す2社目と報じています。先行例は、暗号資産取引所OKXとNYSE親会社Intercontinental Exchange(ICE)の合弁事業OKXICEです。これにより、競争軸は単に「株をブロックチェーンで売買できるか」から、どの事業者が十分な流動性、発行企業との調整、企業行動の処理、本人確認、監視体制を整えられるかへ移ります。

特に配当、株式分割、議決権、売買停止は、暗号資産の現物トークンにはない運用負荷です。Perpetuals.comは公開通知で非カストディアル設計を掲げていますが、自己管理ウォレットを使うことだけで株主名簿、権利行使、秘密鍵紛失時の扱いが解決するわけではありません。開始前に公開予定のスマートコントラクトアドレス、監査結果、対象銘柄、参加要件を確認する必要があります。

DeFi利用者が確認すべき実務ポイント

第一に、トークンが何を法的に表すかを確認します。Perpetuals.comのTSVで扱う予定の商品は、SEC条件上、通常株と同等の権利が必要です。しかし、Aaveなど外部DeFiプロトコルで担保として受け入れられるか、Uniswapなど別のDEXへ自由に移せるかは別問題であり、現時点の公開情報からは確認できません。TSV外での利用可能性を先回りして想定すべきではありません。

第二に、オンチェーンで24時間移転できることと、原株市場の価格形成や企業行動が24時間動くことを区別します。SEC条件では原株の売買停止に連動する必要があります。市場時間外に取引できる場合でも、参照価格が薄い時間帯は価格乖離やスリッページが広がる可能性があります。

第三に、コントラクト、チェーン、ステーブルコイン、本人確認事業者という複数の依存先を点検します。Kronos X Publicの停止、AMMの不具合、USDCの利用制限、ウォレットの秘密鍵喪失のいずれも、伝統的な証券口座とは異なる経路で取引不能を招き得ます。監査済みという表示だけでなく、監査対象のコード版、管理者権限、緊急停止、アップグレード方法まで確認するのが実務的です。

まとめ

Perpetuals.comの計画は、元FTX Europe責任者のチームが、米SECの新制度の下で株式トークン市場へ戻る動きです。Kephas CorporationがKronos X Public上で許可型AMMを運営し、米国株トークンとUSDC系資産の取引を想定しています。

今回のポイントは、単なる株価連動トークンではなく、配当や議決権を含む通常株と同等の権利が制度条件になったことです。ただし、TSVは登録証券取引所ではなく、取引もまだ始まっていません。読者は開始時期の見通しより、最終通知、対象銘柄、コントラクト、監査、流動性、権利処理を確認してから評価する必要があります。

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