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SEC株式トークン化制度に企業反発、OKXICE計画の論点を詳説
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SEC株式トークン化制度に企業反発、OKXICE計画の論点を詳説

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-10-19

📋 この記事のポイント

  • 1SECの株式トークン化特例を使うOKXICE計画にBroadcomやVerizonなどが異議。
  • 2仕組み、Nasdaqの懸念、DeFi利用者が確認すべき権利・価格・カストディの実務論点を詳しく整理します。
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米SECの「Innovation Exemption」は、一定条件下で米国株をトークン化し、許可制AMMで取引できる暫定制度です。 OKXICEの計画にはBroadcomやVerizonなど9社が異議を申し立て、Nasdaqも自社株を対象外にする意向を表明しました。焦点はブロックチェーン技術の是非ではなく、発行企業の同意、価格発見、株主権、保管・破綻時保護を既存市場と同水準で設計できるかです。

BroadcomやVerizonなど9社が異議

CoinDeskが2026年10月18日に報じたところによると、OKXICEの10月15日付公開通知には、Cerebras Systems、AppLovin、Applied Digital、Rocket Lab、CoreWeave、Verizon、Applied Optoelectronics、Broadcom、UnitedHealth Groupの9社が「Issuer Objection」を提出したと記載されています。新たに開示された8社に、先に対象外を選んだCerebras Systemsを加えた形です。

ただし、公開通知は各社が異議を申し立てた理由や提出日を示していません。そのため、BroadcomやUnitedHealthが価格形成、ブランド管理、法的責任のどれを問題視したかは確認できません。報道から分かるのは、対象企業がトークン化そのものを全面否定したということではなく、少なくともOKXICEという特定のTokenized Securities Venue(TSV)で自社株を扱うことに異議を示した、という範囲です。

この区別は重要です。SECの制度では、発行企業のオプトアウトはTSVごとに効力を持ちます。ある企業がOKXICEを拒否しても、将来の別事業者による提案まで一括して拒否したことにはなりません。

SECのInnovation Exemptionとは

SECは2026年9月17日、トークン化されたNMS株式を許可制のAMM流動性プールで取引するTSVに対し、取引所登録などの一部要件を条件付きで免除する命令を公表しました。免除は恒久規則ではなく、官報掲載から5年後に失効する暫定措置です。SECは同時に制度への意見募集も行っています。

主な条件には、取扱銘柄数と出来高の上限、原株と同等の権利・特典の確認、第三者がトークン化する場合の発行企業への書面通知と異議申立て機会、監査可能で公開されたスマートコントラクトの使用、公開型・パーミッションレス台帳への展開が含まれます。原株が主要取引所で売買停止になれば、対応するトークン化株式も同時に停止しなければなりません。

つまり、Uniswap型のAMMを株式に持ち込める一方、Uniswap上の一般的な暗号資産ペアと同じ自由参加市場ではありません。参加者確認、銘柄制限、株主権の同等性、売買停止連動など、証券市場固有の制約が組み込まれます。

OKXICEは株式をどうオンチェーン化するのか

OKXICEは、OKX側企業とニューヨーク証券取引所の親会社Intercontinental Exchange側企業による合弁会社です。公開通知によれば、XLayer上のUniswap v4流動性プールと「OKXICE TSV Hook」を使い、参加資格をスマートコントラクト側で制御します。取引参加者は本人・法人確認や制裁スクリーニングを経て、譲渡できないSoulbound Tokenを保有する必要があります。

トークン1単位は原株1株に対するセキュリティ・エンタイトルメントを表し、配当、議決権、清算時の残余財産への持分、委任状資料など、原株と同等の権利を付与すると説明されています。原株はSEC登録ブローカーディーラーかつFINRA会員を通じて第三者のTokenizerが保有し、発行済みトークンに対して1対1で裏付けます。

取引は24時間・週7日を想定し、USDC、USDG、USDTのいずれかと組み合わせ、XLayer上でアトミックに実行・決済されます。中央清算機関、中央カウンターパーティー、ネッティングはなく、部分約定もありません。これは決済を短くできる一方、既存株式市場と同じ清算・取消しの仕組みではないことを意味します。

Nasdaqが問題視する価格発見と市場分断

NasdaqはInnovation ExemptionのFAQで、Nasdaq, Inc.の自社株をTSVの対象から外す意向を明記しました。一方で、現実資産や米国株のトークン化には可能性があるとも述べており、技術そのものへの反対ではありません。発行企業を株式トークン化の中心に置き、既存の規制枠組みと株主の権利を守るべきだという立場です。

最大の懸念は市場の透明性です。Nasdaqによれば、TSVには最良気配の表示、統合テープへの気配報告、約定直後の公開が同じ形では求められず、約定情報の公表は最大10分後になり得ます。さらに相互運用性が必須ではないため、特定TSVでしか売買できないトークン設計も可能です。

この場合、同じVerizon株を参照していても、主要取引所とOKXICEのAMMで異なる価格が形成される可能性があります。裁定取引が価格差を縮めるとしても、誰が原株とトークンの発行・償還を行えるか、利用可能時間、送金・ガス・コンプライアンス制約によって裁定は無条件ではありません。利用者はテレビや証券アプリの株価と、自分がTSVで受ける価格が一致するとは限らない点を理解する必要があります。

DEX・DeFi利用者が確認すべき5つの実務論点

第1は、トークンの法的権利です。単に株価へ連動する合成資産なのか、OKXICEのように原株1株への権利、配当、議決権まで持つのかで性質は大きく異なります。「株式トークン」という名称だけで現物株と同じと判断してはいけません。

第2は、発行・償還と裏付け確認です。1対1の説明があっても、誰が原株を保管し、トークン総量と原株残高をどう照合し、破綻時に誰へ請求できるかを確認する必要があります。OKXICE自身は参加者資産を保管せず、利用者はセルフカストディ型ウォレットを使う設計です。

第3は、AMM価格と流動性です。Uniswap v4のプールを使っても、流動性の厚さや売買価格が主要取引所と自動的に同じになるわけではありません。流動性提供者には証券トークンとステーブルコインの価格変動に加え、インパーマネントロス、スマートコントラクト、Hookの管理権限というリスクがあります。

第4は、取引停止と時間外取引です。24時間取引でも、原株が主要市場で停止すればトークンも止める条件があります。米国市場の通常時間外は参照できる新しい企業情報や原株側の流動性が限られ、AMM価格が急に動く可能性があります。

第5は、破綻時保護です。OKXICEの通知は、ブローカーディーラーが破綻した場合、セルフカストディ・ウォレット内のトークン化株式がSIPC保護を受けるか不確実だと警告しています。オンチェーンで自己保管できることと、原株に対する法的請求が破綻手続きで保護されることは別問題です。

企業の異議が制度普及に与える影響

発行企業の反発が広がれば、TSVが技術的に稼働しても、投資家が求める銘柄を十分にそろえられない可能性があります。BroadcomやCoreWeaveのようなAI関連企業、Verizonのような通信企業、UnitedHealthのような医療保険企業が対象外になることは、単なる銘柄数の減少以上に、業種分散や流動性形成へ影響します。

また、5年間の暫定免除である点は、OKXICE、マーケットメーカー、カストディ事業者が長期投資を判断する際の不確実性になります。反対に、SECの条件と発行企業の異議申立て制度は、無断トークン化を抑え、権利の不一致を早期に検出する安全弁でもあります。短期的な銘柄拡大より、原株との権利同等性、価格情報、監査、破綻隔離を検証できるかが制度の信頼性を左右します。

まとめ

OKXICEへの9社の異議とNasdaqのオプトアウト方針は、米国株のオンチェーン取引が技術実証から市場制度の調整段階へ入ったことを示しています。SECのInnovation Exemptionは、Uniswap v4型AMM、ステーブルコイン決済、セルフカストディを証券取引へ持ち込む道を開きましたが、恒久規則ではありません。

読者が見るべきなのは「24時間取引」という利便性だけではなく、発行企業の同意、原株と同等の権利、主要市場との価格差、裏付け資産の保管、取引停止、破綻時保護です。BroadcomやVerizonの異議理由は公開されていないため、各社の意図を推測せず、今後のOKXICE通知、SECの追加措置、発行企業自身の開示を確認する必要があります。

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