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北朝鮮系ハッカーがHyperliquidで巨額資金移動、米国進出に影
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北朝鮮系ハッカーがHyperliquidで巨額資金移動、米国進出に影

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-01

📋 この記事のポイント

  • 1北朝鮮のラザルス・グループ関連ウォレットがHyperliquidで巨額の暗号資産を移動。
  • 2資金経路、取引所各社の対応、米国市場参入を巡る規制課題、一般ユーザーが注意すべき点を公式資料と報道に基づき解説します。
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北朝鮮の国家支援型ハッカー集団「ラザルス・グループ」に関連するとされるウォレットが、分散型取引基盤Hyperliquidを通じて3,000万ドル超のビットコインを売却したことが分かった。

今回の動きは、米政権がHyperliquidを規制下の米国市場へ取り込む道を探るなかで発覚した。オンチェーン取引の透明性だけでは、制裁対象者による利用を完全には防げないというDeFiの課題が改めて浮上している。

ラザルス関連ウォレットがHyperliquidで資金を移動

CoinDeskがブロックチェーン分析企業Arkhamに検証を依頼したデータによると、ラザルス・グループに関連するとされる複数のウォレットは、直近3週間にHyperliquidで3,000万ドルを超えるビットコインを売却した。

売却後の資金はイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)に交換され、その後Kraken、LBank、KuCoinなどの中央集権型取引所へ送られたという。Arkhamが分析したウォレットは、オンチェーン調査者ZachXBTが2024年にラザルスとの関連を指摘したアドレス群に含まれる。

ただし、ブロックチェーン上で確認できるのは、アドレス間の送金や資産交換といった公開データまでだ。送付先となった取引所アカウントの実際の所有者や、入金後に口座制限・凍結・当局への報告が行われたかどうかは、公開台帳だけでは判断できない。したがって「取引所へ着金した」という事実と、「取引所が資金の換金を許した」という評価は分けて考える必要がある。

CoinDeskの取材に対し、Hyperliquidは記事公開時点でコメントしていない。

Hyperliquidはどのような取引基盤か

Hyperliquidは、独自のレイヤー1ブロックチェーン上に構築されたオンチェーン取引基盤だ。中核となるHyperCoreには、無期限先物と現物のオーダーブックが実装されており、注文、キャンセル、約定、清算がブロックチェーン上で処理される。

AMM型のUniswapが流動性プールを利用するのに対し、Hyperliquidのオーダーブックは価格優先・時間優先で注文を照合する。利用者はDeFiウォレットを接続し、対応資産を入金して取引を始められる。無期限先物ではUSDCなどを証拠金として、対象資産を直接保有せずにロングまたはショートのポジションを取る。

こうした構造は、従来型の証券会社や中央集権型取引所に近い操作性と、オンチェーン決済の透明性を組み合わせる。一方、ウォレットから直接アクセスできる仕組みでは、口座開設時の本人確認を全利用者へ一律に適用することが難しい。制裁対象アドレスが別のウォレットや複数チェーンを経由した場合、リスク判定はさらに複雑になる。

Krakenなど受取先取引所の説明

KrakenはCoinDeskに対し、ブロックチェーン分析企業との提携を含む監視体制を運用し、制裁対象ウォレットに関連する資産を特定・遮断するための管理策を設けていると説明した。

LBankも業界標準のコンプライアンスツールを用いて継続的な監視を行っていると回答した一方、暗号資産の資金移動は複数のプラットフォーム、チェーン、法域にまたがるため、単独の事業者だけでは特定・対処できない場合があるとの認識を示した。

KuCoinは、CoinDeskから分析対象データの提供を受けていないため、該当する制裁関連活動を確認できないとした。また、公開ブロックチェーン上の送金記録には、着金後の口座制限、規制当局への届け出、その他の内部対応は反映されないと説明している。

この点は利用者にとっても重要だ。エクスプローラー上で取引が成功していても、受取先サービスで自由に売買・出金できるとは限らない。AMLや制裁スクリーニングによって、入金後に資金が保留される可能性がある。

米政権が進める「オンショア化」と規制上の難題

CoinDeskによると、ドナルド・トランプ米大統領は2026年8月のホワイトハウスでのイベントで、CFTCのマイケル・セリグ委員長がHyperliquidを「完全に法令に準拠した合法的な形」で米国へ導入する道筋に取り組んでいると述べた。

この方針が実現する場合、無期限先物を米国の利用者へどのような法的枠組みで提供するかが焦点になる。デリバティブ市場の登録制度だけでなく、顧客資産の保護、市場監視、本人確認、マネーロンダリング対策、OFAC制裁への対応を同時に整理しなければならない。

米CFTCの公式情報によれば、セリグ氏は2025年12月に委員長へ就任した。これ以前にはSECのCrypto Task Forceで法務責任者を務め、デジタル資産市場に関するSECとCFTCの制度調整に携わっている。

CoinDeskはさらに、Krakenの親会社Paywardが、Hyperliquid Labsと米国向け無期限先物の提供について協議していると報じた。ただし、協議の存在はサービス開始や規制承認を意味しない。実際の提供主体、取引商品の構造、KYCの範囲などは正式発表を待つ必要がある。

制裁対象者とDeFiを巡る法的リスク

米財務省外国資産管理局(OFAC)は2019年、ラザルス・グループ、Bluenoroff、Andarielを北朝鮮政府の管理下にある組織として制裁対象に指定した。米財務省は、北朝鮮のサイバー活動による収益が同国政府の資金源になっていると説明している。

OFAC規制では、原則として米国人や米国内で行われる取引について、制裁対象者の財産または財産上の利益が関係する取引が禁止される。対象は中央集権型取引所だけに限定されない。このため、米国でHyperliquid関連サービスを展開する企業には、フロントエンドへのアクセス制御だけでなく、入出金アドレスの継続監視や高リスク資金への対応が求められる可能性がある。

Bitwise Hyperliquid ETFのSEC提出資料も、Hyperliquidでは開発者や運営主体がブロックチェーンへ直接アクセスする全利用者にKYC、AML、制裁スクリーニングを強制できないという趣旨のリスクを説明している。同ETFでは、カストディアンによるブロックチェーン分析や取引相手の審査を導入しているが、提出資料は、こうした調査でも不正資金をすべて発見できる保証はないと注意を促している。

つまり、プロトコル自体が停止していなくても、米国向けサービス、カストディ、ETF、法定通貨への交換口など、規制対象となる接点では別の管理措置が必要になる。

一般ユーザーが実践したいリスク管理

今回の報道は、Hyperliquidの一般利用者の資金が侵害されたことを示すものではない。また、特定ウォレットがプラットフォームを利用したことと、Hyperliquid自体がハッキングされたことも同義ではない。ただし、規制・制裁リスクがプロトコルや周辺サービスへ波及する可能性には備えるべきだ。

まず、Hyperliquid、Kraken、KuCoinなどを利用する際は、公式サイトの利用可能地域、本人確認、入出金ルールを確認する。ウォレットへ届いた資産の出所が不明な場合は、安易に移動・交換せず、トランザクション履歴を保存することが望ましい。

次に、SNSで共有されたアドレス情報だけを根拠に、個人や組織を犯罪者と断定してはならない。Arkhamのような分析サービスのラベルは調査に役立つが、誤判定や古い情報の可能性もある。重要な判断では、OFACの制裁リスト、取引所からの正式通知、複数の分析結果を照合する必要がある。

無期限先物には、制裁問題とは別にレバレッジと清算のリスクもある。Hyperliquidの公式ドキュメントを確認し、クロスマージンと分離マージンの違い、資金調達率、清算条件を理解してから利用することが重要だ。

まとめ

ラザルス関連と分析されたウォレットがHyperliquidで3,000万ドル超のビットコインを売却したとの報道は、オンチェーン市場の透明性と、参加者を事前に排除しにくい構造の両面を示している。

同時に米政権がHyperliquidの米国市場参入を模索しているため、今後はCFTCのデリバティブ規制、OFAC制裁、AML・KYC、市場監視をどのレイヤーで実施するかが重要になる。利用者は「オンチェーンだから安全」「取引が記録されているから問題ない」と単純化せず、プロトコル、フロントエンド、カストディ、中央集権型取引所を別々のリスク領域として評価する必要がある。

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