Bitmine Immersion Technologiesは、1週間で28,086 ETHを追加取得し、保有量を5,929,198 ETHへ拡大した。 同社顧問のTom DeMark氏は、8月の持ち合いと独自指標を根拠に、ETHの上昇トレンドが再開する可能性を指摘している。 ただし、これは企業と分析家による見通しであり、将来の価格上昇を保証するものではない。
Bitmineが28,086 ETHを追加取得
CoinDeskが2026年9月8日に報じたところによると、米上場企業Bitmine Immersion Technologiesは、直近1週間で28,086 ETHを取得した。CoinDeskは9月8日時点のETH価格を基に、取得分の価値を約6,940万ドルと算定している。
今回の購入によって、BitmineのETH保有量は5,929,198 ETHに増加した。同社が公表資料で使用した1 ETH当たり2,495ドルという参照価格では、ETH保有分だけで約148億ドルに相当する。
Bitmineは2025年6月30日にETHトレジャリー戦略を開始して以降、毎週ETHを取得してきたと説明している。前週の取得量は53,501 ETHだったため、今回の購入ペースは前週を下回ったものの、ETHを継続的に蓄積する基本方針は変わっていない。
企業が暗号資産を財務資産として保有する「デジタル資産トレジャリー」は、Strategyによるビットコイン保有で広く知られるようになった。BitmineはこのモデルをEthereumへ応用し、単なる保有だけでなく、ステーキングによる収益獲得も組み合わせている点が特徴だ。
「Alchemy of 5%」目標まで残りわずか
Bitmineは、Ethereum供給量の5%を取得する「Alchemy of 5%」を掲げている。同社発表では、2026年9月7日時点のEthereum供給量を1億2,200万ETH、Bitmineの保有比率を4.9%としており、目標の97%まで到達したとしている。
CoinDeskの計算では、5%目標までに必要な追加取得量はおよそ171,000 ETHとなる。直近1週間と同じ28,086 ETHのペースが続くと仮定した場合、7週間未満で目標へ到達し得る計算だ。ただし、Ethereumの供給量は固定されておらず、Bitmineの購入量も週ごとに変動するため、これは確定した達成時期ではない。
大規模な企業保有は、市場で流通するETHの構成を変える可能性がある。一方で、保有量の増加だけを価格上昇材料とみなすのは早計だ。新株発行などによる資金調達、保管方法、売却方針、ステーキング解除時の流動性といった条件も併せて見る必要がある。
BitmineはETH以外にも211 BTC、現金および市場性証券5億9,300万ドル、Beast Industriesへの1億8,000万ドル相当の持分、Eightco Holdingsへの9,100万ドル相当の持分を公表している。暗号資産、現金、証券、戦略投資を合わせた総資産額は、同社発表ベースで157億ドルとなっている。
Tom DeMark氏が上昇再開を予測した理由
DeMark Analytics創業者で、Bitmineの資本市場アドバイザーを務めるTom DeMark氏は、ETHが今後数週間で大きく上昇する可能性を示した。
同氏の説明によると、ETHは8月に下値を明確に割り込まず横ばいで推移し、その間に独自の「12日指標」が終了した。これを、直前まで続いていた上昇トレンドが再開する可能性を支持する動きと評価している。また、前週に発生した1日単位の急騰についても、今後の上昇を先取りした動きである可能性に言及した。
CoinDeskは、ETHが8月中旬に数日間で35%上昇した後、記事掲載前の約2週間は2,400〜2,500ドル付近で推移していたと報じている。DeMark氏の見方は、この横ばい局面を上昇後の調整と捉えるものだ。
ただし、テクニカル指標は過去の値動きから市場の状態を分析する手法であり、将来を確定させるものではない。Bitmine自身も公式発表の注意事項で、過去の価格変動やテクニカル分析が再現されないリスク、暗号資産価格の予測困難性を明記している。
さらに、DeMark氏はBitmineの顧問であり、今回の見通しは完全に独立した第三者分析ではない。読者は予測だけを見るのではなく、予測者と企業との関係も確認する必要がある。
500万ETH超をステーキングするBitmine
Bitmineが保有するETHの多くは、保管されているだけではない。同社によると、2026年9月7日時点で5,067,309 ETHがステーキングされており、総保有量の85%に相当する。
Ethereumのプルーフ・オブ・ステークでは、バリデーターがETHをステークして取引やブロックの検証に参加し、その対価として報酬を受け取る。Bitmineは、自社のMAVAN(Made in America Validator Network)および提携先を通じて、この仕組みを企業規模で活用している。
同社は、直近7日間の年率換算利回りを2.61%とし、現在のステーキング収益を年率換算で約3億3,000万ドルと予測している。さらに、保有ETHを全面的に運用した場合の報酬を年率換算で約3億8,600万ドルと試算した。
これらは確定収益ではない。Ethereumの報酬率、バリデーターの稼働状況、ETH価格、手数料、規制環境によって実績は変動する。また、不適切なバリデーター運用に対するスラッシング、秘密鍵やカストディの管理、プロトコル変更などの技術的リスクもある。
Bitmineは2026年9月8日付のSEC提出書類で、MAVANのステーキング事業に関する契約変更も開示した。新たなサービス契約では、American Validator LLCへ、BitmineがステークするETHの報酬の1.50%を手数料として支払う条件が示されている。表面上の利回りだけでなく、運用コストを確認することが重要だ。
DeFi・DEX利用者が注目すべき影響
Bitmineのような企業による大規模なETH保有は、Ethereum上のDeFiやDEXにも間接的な影響を与え得る。
第一に、UniswapやCurveなどのDEXでは、ETHやリキッドステーキングトークンが主要な流動性資産として利用されている。企業が現物ETHを取得し、その大部分をネイティブステーキングへ回す場合、市場で直ちに売買できるETHの構成が変化する可能性がある。ただし、今回の発表だけからDEXの流動性が実際に減少したとは判断できない。
第二に、LidoのstETHやRocket PoolのrETHなど、ステーキングされたETHをDeFiで利用可能にするリキッドステーキングとの比較が重要になる。BitmineはMAVANと提携先を利用しているが、保有資産がどの程度トークン化され、外部のDeFiプロトコルで利用されているかは今回の発表では明らかにされていない。
第三に、企業の大量保有には集中リスクがある。Ethereumのコンセンサス参加が特定企業や事業者へ偏れば、バリデーター運用、規制対応、障害時の影響範囲が注目される。保有比率と、実際のバリデーター運営主体や投票権の集中度は同じではないため、両者を分けて分析すべきだ。
DEX利用者は企業の購入ニュースだけで売買を判断せず、オンチェーンの流動性、ステーキング入出金、デリバティブ市場の資金調達率、ETH/BTC比率など複数のデータを確認したい。
今後確認すべきリスクと材料
最大の注目点は、Bitmineが5%目標を達成した後もETH購入を続けるのか、それとも取得ペースを落とすのかである。継続購入には追加資金が必要であり、その調達方法はBMNR株主とETH市場の双方に影響する可能性がある。
次に、MAVANの運用実績を確認する必要がある。公表された2.61%は7日間の実績を年率換算した値で、長期収益を保証しない。実際のステーキング収益、運用費用、スラッシングの有無、カストディ体制が今後のSEC提出書類でどこまで開示されるかが焦点となる。
相場面では、DeMark氏が示した上昇再開シナリオだけでなく、横ばい相場から下方向へ抜けるケースも想定したい。Bitmineの資産価値はETH価格への依存度が高く、ETH下落時には同社の純資産価値や資金調達条件も悪化し得る。
また、Bitmine会長のTom Lee氏は、トークン化やAIエージェントによるブロックチェーン利用をEthereumの追い風として挙げている。しかし、これらは中長期的な事業仮説であり、短期的なETH価格やDEX取引量へ直結するとは限らない。
まとめ
Bitmineは28,086 ETHを追加取得し、保有量を5,929,198 ETHまで増やした。Ethereum供給量の5%を取得する目標に近づく一方、保有ETHの85%をステーキングし、MAVANを中心とする収益モデルも拡大している。
Tom DeMark氏は、8月の横ばい推移と独自指標を根拠に上昇トレンドの再開を予測した。ただし、この見通しはBitmineの公式発表に含まれる将来予測であり、価格上昇を保証するシグナルではない。
DeFi・DEX利用者にとって重要なのは、企業の購入額だけでなく、ステーキングによる流通構造の変化、バリデーターの集中、資金調達、オンチェーン流動性を継続的に確認することだ。Bitmineの5%目標達成と、その後の購入・運用方針が次の焦点となる。





