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ECB、ステーブルコイン利回り禁止をDeFi融資・ステーキングへ拡大提案
ステーブルコイン規制·8分で読める

ECB、ステーブルコイン利回り禁止をDeFi融資・ステーキングへ拡大提案

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-23

📋 この記事のポイント

  • 1ECBとEU各国中央銀行が、MiCAのステーブルコイン利回り禁止を暗号資産レンディングやステーキングにも広げるよう提案。
  • 2現行規制との違い、AaveなどDeFiへの影響、利用者が確認すべき点を解説します。
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欧州中央銀行(ECB)とEU各国の中央銀行は、ステーブルコインに対する直接的な利息だけでなく、レンディングやステーキングなどを通じた間接的な利回りも規制対象にするよう提案しました。

ただし、これは2026年9月時点で成立済みの新規制ではありません。欧州中央銀行制度(ESCB)が、EUの暗号資産規制MiCAの見直しに向けて示した政策提言です。

ECBがステーブルコインの間接利回り禁止を提案

CoinDeskの報道によると、ECBとEU加盟国の中央銀行で構成されるESCBは、欧州委員会によるMiCA見直し協議への回答書を公表しました。

ESCBが問題視しているのは、ステーブルコイン発行者や暗号資産サービスプロバイダーが名目上は利息を支払わなくても、別の商品を組み合わせれば保有者へ経済的なリターンを提供できる点です。

具体的には、暗号資産の貸し借り、ステーキング、流動性マイニング、ロイヤルティプログラム、手数料割引、複数サービスを束ねた報酬などが挙げられています。ESCBは、こうした仕組みが直接的な利息禁止を迂回する可能性があると指摘しました。

例えば、取引所がUSDCやEURCを保有している利用者へ直接利息を付けなくても、提携先のレンディング商品へ自動的に振り分け、そこから報酬を還元すれば、利用者から見た経済的効果は利息に近くなります。ESCBは、このような三者間の構造や階層化された商品も含めて規制すべきだと主張しています。

重要なのは、現時点では「ECBがEU域内のDeFi利回りを全面禁止した」という話ではないことです。MiCAをどのように改正するかについて、中央銀行側が優先事項を提示した段階です。

現行MiCAはどこまで利息を禁止しているのか

EUのMiCAでは、法定通貨の価値を参照する電子マネートークン(EMT)について、発行者が利息を付与することを禁止しています。暗号資産サービスプロバイダー(CASP)がEMT関連サービスの提供に伴って利息を付けることも禁止対象です。

MiCA第50条は、保有期間に関連して提供される報酬や利益を広く「利息」として扱います。発行者から直接受け取る金銭だけでなく、第三者からの純補償、割引、他商品の価格設定を通じた同等の利益も含み得る構造です。

一方、暗号資産レンディング、借入、ステーキングは、現行MiCAで独立したサービスとして明示的かつ包括的に規制されているわけではありません。ここにESCBが問題視する規制上の隙間があります。

たとえばAaveでは、利用者がUSDCなどの対応資産を流動性プールへ供給すると、その資産は借り手に利用され、供給者は利用率などに応じて変動する利息を受け取ります。これはステーブルコイン発行者が支払う利息ではなく、レンディング市場から発生するリターンです。

ESCBの提案は、この違いを形式だけで判断せず、ステーブルコインの保有と実質的に結び付いた報酬であるかを重視しようとするものです。実現すれば、Aaveのような非カストディ型プロトコルそのものだけでなく、利用者とプロトコルを仲介する取引所、ウォレット、運用サービスの設計にも影響する可能性があります。

なぜ中央銀行はDeFi利回りを問題視するのか

ESCBの基本的な考え方は、電子マネーは決済手段であり、貯蓄商品ではないというものです。利回りが付くステーブルコインが銀行預金に近い商品として普及すれば、電子マネーと商業銀行預金の境界が曖昧になるとしています。

銀行預金を受け入れる金融機関には、自己資本、流動性、預金者保護、監督などの制度が適用されます。これに対し、ステーブルコインをDeFiレンディングへ供給した場合、利用者はスマートコントラクト、不良債権、オラクル、流動性不足、仲介事業者の信用といった別のリスクを負います。

Aaveの公式説明でも、供給資産の引き出しはプール内に未借入の流動性が残っていることが前提です。また、担保を使って借入を行う利用者には清算リスクがあります。銀行預金と見た目が似ていても、法的権利や損失発生時の保護は同じではありません。

ESCBは、CASPがレンディングやステーキングを付帯サービスとして提供すると、銀行に近い信用仲介を行いながら、銀行と異なる規制の下で競争できる可能性も問題視しています。そのため、活動の名称ではなく、誰が資産を管理し、誰が信用リスクを負い、返済義務がどこにあるのかを基準に分類する考え方を示しました。

レンディングとステーキングは一律禁止になるのか

ESCBの回答書は、暗号資産のレンディング、借入、ステーキングをEUレベルで規制すべきだと提言しています。しかし、すべてのステーキングやDeFi運用を同じ扱いにするとは書かれていません。

規制上は、仲介者が顧客資産を預かって運用するサービスと、利用者が自己管理ウォレットからAaveなどのスマートコントラクトを直接利用するケースを分ける必要があります。また、Ethereumのバリデーター運用に参加する本来のステーキングと、ステーブルコインを預けて報酬を得る商品が「ステーキング」という同じ名称で販売されるケースも区別しなければなりません。

ESCBは、代理サービス、投資サービス、銀行型の活動を実質に基づいて線引きする枠組みを求めています。運用プールの成績に収益が連動する場合、仲介者の裁量でリターンが変わる場合、譲渡可能な証券に近い請求権が発生する場合には、MiFID IIなど他のEU金融規制が関係する可能性も示しました。

さらに、完全に分散化されたサービスはMiCAの適用外となり得ますが、ESCBは多くのDeFiプロトコルが理論上の完全分散型とは異なるとも指摘しています。フロントエンド、管理者権限、ガバナンス、手数料受取人などの実態が、今後の判断材料になると考えられます。

したがって、Aave、Compound、Lidoなどの名称だけで規制対象かどうかを判断することはできません。対象資産、提供機能、仲介者の役割、利用者との契約関係、EU居住者への提供方法を個別に確認する必要があります。

ステーブルコイン準備資産の規制も見直しへ

今回の提案は利回りだけに限定されません。ESCBは、ステーブルコイン発行者に対する銀行預金の最低保有要件も見直すよう提案しました。

現行MiCAでは、準備資産の少なくとも30%を信用機関への預金として保有する仕組みがあり、重要と指定されたステーブルコインでは60%に引き上げられます。ESCBは、大口のステーブルコイン準備金が銀行にとって安定した資金源になるとは限らず、大量償還時に突然引き出されれば銀行側の流動性リスクになり得ると指摘しました。

代案は、保管場所よりも現金化できる速度を重視する「流動性バケット」です。ESCBが出発点として参照した欧州銀行監督機構(EBA)の技術基準案では、重要なステーブルコインについて準備資産の少なくとも40%を1日以内、60%を5営業日以内に満期が到来する資産とする水準が示されています。非重要トークンでは、それぞれ20%と30%です。

これは、発行者がCircleのUSDCやEURCのような償還可能なトークンを運営する際、単に銀行預金比率を満たすのではなく、ストレス時にどれだけ速く換金できるかを重視する方向です。ただし、具体的な比率を含め、最終的なMiCA改正内容は今後の立法手続きで決まります。

DEX・DeFi利用者が確認すべきポイント

EUの規制動向は、日本からDeFiを利用する人にも無関係とは言い切れません。グローバルな取引所やウォレットが、EU向け商品とその他地域向け商品を共通設計している場合、利回り商品の名称、提供主体、対応地域が変更される可能性があるためです。

利用者は、まず「ステーブルコインを保有するだけの報酬」なのか、「Aaveなどへの貸付から生じる利息」なのか、「流動性提供やガバナンストークンによるインセンティブ」なのかを確認すべきです。同じ年率表示でも、原資とリスクは異なります。

次に、資産の法的な保有者、引き出し条件、損失負担、スマートコントラクト監査、清算やスラッシングの可能性を確認します。CASPが裏側で運用する商品では、利用者が実際にどのプロトコルへ資産を供給しているのか分からない場合もあります。

また、今回のESCB文書は政策提言であり、施行済みの追加禁止措置ではありません。「EUがAaveを禁止した」「ステーブルコイン運用が直ちに違法になった」といった解釈は正確ではありません。欧州委員会の法案、欧州議会とEU理事会での審議、最終規則、適用開始日を順に追う必要があります。

まとめ

ECBとEU各国中央銀行は、MiCAのステーブルコイン利息禁止を、レンディング、借入、ステーキング、流動性マイニングなどの間接的な報酬へ広げるよう提案しました。狙いは、電子マネーと銀行預金の境界を維持し、規制の抜け道や金融機関との競争条件の差を抑えることです。

同時に、準備資産規制については銀行預金比率から、短期間で現金化できる資産の比率を重視する方式への転換を提案しています。

ただし、いずれも2026年9月時点ではESCBの提言です。AaveなどのDeFiプロトコル、CASP、ステーブルコイン発行者への具体的な影響は、MiCA改正案の文言と、分散型サービスや仲介者をどのように定義するかによって変わります。利用者は表示利回りだけでなく、その原資、契約関係、引き出し条件、規制上の提供地域を確認することが重要です。

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