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Hyperliquid創業者が示す米国規制の境界線とHIP-3の実像
米国暗号資産規制·6分で読める

Hyperliquid創業者が示す米国規制の境界線とHIP-3の実像

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-10-16

📋 この記事のポイント

  • 1Hyperliquid創業者ジェフ・ヤン氏が示した、ブロックチェーンではなく取引事業者を監督する構想を解説。
  • 2HIP-3とPaywardの米国向け計画、DEX利用者が確認すべき規制・清算・オラクルの論点を整理します。
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Hyperliquid創業者ジェフ・ヤン氏は、米国の規制は基盤ブロックチェーンそのものではなく、その上で取引市場を運営し、利用者を管理できる事業者に適用すべきだと主張しました。 この考え方の焦点は「DeFiを無規制にすること」ではなく、誰が市場設計、顧客管理、清算、リスク管理を担うのかを明確にすることです。 PaywardとBitnomialが進めるHyperliquid活用計画は、この役割分担を試す具体例として注目されます。

Hyperliquid創業者が提案した規制の考え方

2026年10月15日にCoinDeskが報じたBloombergインタビューで、Hyperliquid創業者のジェフ・ヤン氏は、米国当局が監督すべき対象はブロックチェーンではなく、その上で金融市場を運営する企業だと説明しました。規制は「制御できる層」に置くべきであり、実際に市場を展開する事業者がその制御権を持つ、という整理です。

これは、インターネット通信網そのものと、通信網を使って金融サービスを提供する企業を分けて考える発想に近いものです。Hyperliquidのネットワークは注文処理や状態記録の共通基盤を提供し、Bitnomialのような市場運営者は、参加資格、商品設計、顧客対応、法令順守を担うという構図になります。

重要なのは、ヤン氏の発言が米国でHyperliquidの既存パーペチュアル市場をそのまま開放するという意味ではない点です。CoinDeskは、既存市場は米国顧客に提供されていないと説明しています。提案の中心は、規制対象となる企業がHyperliquidの技術を使い、別の管理された市場を構築できるようにすることです。

HIP-3が市場運営者に与える権限と責任

この構想を技術面で支えるのが、Hyperliquidの「HIP-3」です。公式ドキュメントでは、HIP-3を外部のビルダーが独自のパーペチュアル市場を展開できる仕組みと説明しています。市場を展開するdeployerは、対象商品の定義、オラクルの設計、契約条件に加え、オラクル価格、レバレッジ上限、必要時の市場決済まで担当します。

つまり、Hyperliquid上のすべての市場が同じ運営主体に管理されるわけではありません。HIP-3では、各市場運営者が商品と運用の重要部分を決めるため、規制当局が「誰に義務を課せるのか」を特定しやすくなります。ヤン氏がいう「制御できる層」と、HIP-3のdeployerが担う役割は重なっています。

一方で、権限が分かれるほど責任の確認も重要です。オラクルの品質が低ければ不適切な価格で清算が起きる可能性があり、レバレッジ設定が過大なら急変時の損失が拡大します。Hyperliquidの公式文書も、deployerが市場定義と運用を担うことを明示しています。利用者は「Hyperliquidを使っている」という共通点だけで安全性を判断せず、どのdeployerが市場を運営し、どの担保、オラクル、清算規則を採用しているかを見る必要があります。

Payward・Bitnomialの計画が示す実装例

Krakenの親会社Paywardは、米国顧客向けのオンチェーン・パーペチュアル市場を、HyperliquidのHIP-3から始める意向を公表しました。公式発表によると、Hyperliquidの公開ブロックチェーン上で注文を照合・記録しつつ、Bitnomialが市場の作成、所有、管理、清算、決済を担う計画です。顧客口座はNinjaTrader Clearingが担当し、取引できるのは関係事業者の許可リストに登録された口座に限定されます。

この計画では、プロトコル、取引所、清算機関、顧客口座を扱う仲介事業者の役割が分けられています。Hyperliquidは共通のオンチェーン基盤を提供し、BitnomialとNinjaTrader Clearingが米国の規制上の義務を負う設計です。Paywardは、実施が規制上の承認を前提とすることも明記しています。したがって、計画の公表とサービス開始を同一視してはいけません。

この事例は、DEX技術と規制市場が必ずしも二者択一ではないことを示します。ただし、オンチェーンで注文や取引結果を確認できることと、顧客資産の保護、紛争処理、清算能力が保証されることは別問題です。読者は、利用開始前に提供主体、口座契約の相手方、対象地域、承認状況、清算機関を確認する必要があります。

ブロックチェーンと取引所を分ける利点と未解決点

基盤と市場運営者を分けるモデルには、共通インフラを複数の事業者が使える利点があります。HyperliquidのHyperCoreは、注文板、マージン、照合に関する状態をオンチェーンで扱います。そこへBitnomialのような規制事業者が独自市場を展開できれば、取引処理の透明性と、事業者単位の顧客管理を組み合わせられる可能性があります。

ただし、法的責任の境界が自動的に解決するわけではありません。たとえば、障害がネットワーク、deployerの設定、オラクル、フロントエンド、清算運用のどこで起きたかによって、対応主体は変わります。スマートコントラクトやバリデータによる技術的な安全策も、事業者の説明義務や顧客保護を代替しません。

さらに、同じHyperliquid上でも市場ごとに参加条件が異なる可能性があります。Paywardの計画は許可リスト型ですが、HIP-3自体は外部ビルダーによる市場展開のための一般的な仕組みです。したがって、「Hyperliquid上だから米国で利用できる」「規制事業者が一つ参加したから他の市場も規制済み」と判断するのは不適切です。市場単位、運営主体単位で確認する必要があります。

DEX・DeFi利用者が確認すべき実務ポイント

第一に、フロントエンド名ではなく契約主体を確認します。Krakenブランドの画面であっても、Paywardの発表ではBitnomialとNinjaTrader Clearingが具体的な役割を担います。利用規約、口座開設書類、商品説明で、取引所、清算機関、ブローカーの名称を照合することが大切です。

第二に、HIP-3市場の運営者と市場仕様を確認します。deployer、担保資産、オラクル、最大レバレッジ、資金調達、清算、取引停止や最終決済の条件は、損益だけでなくポジションを閉じられるかどうかにも関わります。特にオラクル障害や流動性低下時には、表示価格と実際の約定可能価格が離れることがあります。

第三に、オンチェーンで見える範囲と見えない範囲を分けます。HyperCore上の注文処理や記録を検証できても、本人確認、法定通貨の入出金、顧客苦情、破綻時の扱いまでブロックチェーンだけで判断できるとは限りません。Payward型の市場では、オンチェーンデータと規制事業者の開示を併せて読む必要があります。

最後に、提供予定と提供中を区別します。規制承認、対象顧客、対象商品、利用地域が確定する前に、報道だけを根拠として利用可能性を判断すべきではありません。公式の開始告知と最新の利用規約を確認し、清算を伴う高リスク商品であることを踏まえて、許容損失を超える証拠金を預けないことが基本です。

まとめ

ジェフ・ヤン氏の主張は、Hyperliquidを規制の外に置くという単純な提案ではありません。共通のブロックチェーン基盤と、その上で商品を設計し、顧客を受け入れ、市場を管理する事業者を分け、制御権を持つ後者に規制責任を置く考え方です。

HIP-3ではdeployerが市場定義、オラクル、レバレッジ、決済に関わるため、この役割分担を技術的に実装できます。Payward、Bitnomial、NinjaTrader Clearingの計画は、その仕組みを米国の規制市場へ接続しようとする具体例です。

もっとも、基盤と運営者を分けても、オラクル、清算、流動性、スマートコントラクト、顧客保護のリスクは残ります。DEX・DeFi利用者は、チェーン名だけではなく、市場ごとの運営者、契約主体、承認状況、担保と清算条件を確認することが重要です。

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