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Kalshi敗訴で拡大する司法判断の分裂、予測市場規制の行方
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Kalshi敗訴で拡大する司法判断の分裂、予測市場規制の行方

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-27

📋 この記事のポイント

  • 1米連邦控訴裁判所がKalshiの主張を退け、オハイオ州とテネシー州によるスポーツ賭博規制を認めた。
  • 2判決理由と予測市場、DEX・DeFi事業者への影響を解説する。
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Kalshiは、スポーツ・イベント契約が商品取引所法上の「スワップ」に当たると十分に立証できず、オハイオ州とテネシー州の賭博規制を排除できなかった。 今回の判断は、連邦規制を受ける予測市場であっても、州法の適用を当然には免れないことを示す。 一方、別の連邦控訴裁判所はKalshi寄りの判断を示しており、米国の予測市場規制は地域によって結論が分かれる局面に入った。

Kalshiがオハイオ州・テネシー州との訴訟で敗訴

米連邦第6巡回区控訴裁判所は2026年9月25日、KalshiEX LLCとオハイオ州、テネシー州の規制当局との訴訟について判決を言い渡した。The Blockが報じた通り、裁判所はKalshiが提供するスポーツ・イベント契約について、商品取引所法(Commodity Exchange Act、CEA)上の「スワップ」に該当すると十分に示していないと判断した。

Kalshiは、商品先物取引委員会(CFTC)から指定契約市場(DCM)として認可された予測市場だ。同社はスポーツの試合結果などを条件とするイベント契約も、連邦商品規制の対象であり、州のスポーツ賭博法より連邦法が優先すると主張してきた。

しかし、第6巡回区控訴裁判所はオハイオ州の連邦地裁がKalshiの仮差止め請求を退けた判断を維持した。同時に、テネシー州当局の法執行を止めていた同州連邦地裁の仮差止め命令を取り消し、事件を差し戻した。

これは全米でKalshiのサービスを直ちに禁止する判決ではない。今回審理されたのは、州による規制を本案判決まで止めるための仮差止めが認められるかという問題である。ただし、Kalshiが「連邦法による専属的な規制」を根拠に州法を排除する戦略には大きな打撃となった。

最大の争点はスポーツ契約が「スワップ」かどうか

CEAのスワップ定義には、一定の出来事の発生または不発生と、潜在的な金融・経済・商業上の結果に関連する契約が含まれる。Kalshiは、スポーツの勝敗が放映権、広告、スポンサー、チーム運営などに経済的影響を与えるため、その結果を対象にした契約もスワップに当たると主張した。

第6巡回区控訴裁判所は、この解釈を採用しなかった。判決は、金利や株価を参照する契約とは異なり、通常のスポーツ結果がそれ自体として金融・経済・商業上の結果を内在させているとはいえないと整理した。スポーツ産業への波及効果が存在し得るだけでは、法定の関連性を満たさないという考え方だ。

また、イベント契約を扱う市場がCFTC認可のDCMであるという事実だけで、すべての契約がCFTCの専属管轄に入るわけではないとした。つまり、Kalshiという認可事業者の地位と、個々のスポーツ契約がスワップに該当するかは別々に検討される。

CFTCの公式資料上、KalshiEXはDCMとして扱われている。しかし今回の判決は、「認可された市場で上場された商品だから州法が適用されない」という単純な結論を否定した点で重要である。

連邦法は州の賭博規制を排除しないと判断

裁判所はさらに、仮にKalshiのスポーツ契約をスワップと仮定しても、CEAがオハイオ州とテネシー州の賭博法を排除するとは限らないと判断した。

連邦法が州法に優先する「専占」の成立には、明文による排除、規制分野全体を連邦法が占有していること、または連邦法と州法を同時に守れない具体的な衝突などが必要になる。第6巡回区控訴裁判所は、CEAに州の賭博規制を明確に排除する規定はなく、CFTCの管轄規定も包括的な州法排除条項ではないと解釈した。

Kalshiは、州ごとに異なる規制へ対応すれば全国規模の取引市場が分断されると訴えた。しかし裁判所は、対応コストや事業上の不便が生じることと、法的に両制度の遵守が不可能であることは同じではないとした。

その結果、Ohio Casino Control CommissionとTennessee Sports Wagering Councilは、それぞれの州法に基づいてKalshiのスポーツ関連サービスを規制できる余地を維持した。州内利用者の遮断、州ライセンスの取得、対象市場の停止といった対応がKalshiに求められる可能性がある。

第3・第6・第9巡回区で判断が分裂

今回の判決が注目される理由は、同じKalshiのスポーツ契約を巡って連邦控訴裁判所の判断が一致していないためだ。

第3巡回区控訴裁判所は「KalshiEX LLC v. Flaherty」で、ニュージャージー州による規制を差し止めた連邦地裁の判断を維持した。多数意見は、Kalshiが連邦法による優先を主張する余地を認め、仮差止めの段階で同社側に有利な結論を出した。

これに対し、第9巡回区控訴裁判所は「KalshiEX, LLC v. Assad」で、ネバダ州がスポーツ・イベント契約へ州の賭博法を適用できるとの方向を示した。そして第6巡回区も、オハイオ州とテネシー州による法執行を認める側に加わった。

このため、ニュージャージー州を含む第3巡回区と、ネバダ州を含む第9巡回区、オハイオ州・テネシー州を含む第6巡回区では、同種のサービスに対する法的保護が異なり得る。最高裁による統一判断や連邦議会による法改正が論点となる可能性は高まったが、どちらが実現するかは現時点で確定していない。

Polymarketなど予測市場への直接・間接の影響

今回の当事者はKalshiであり、判決がPolymarketを含むすべての予測市場へ自動的に適用されるわけではない。KalshiはCFTC認可のDCMという制度上の地位を持ち、その連邦認可を根拠に州法の排除を求めた。一方、ブロックチェーンを利用する予測市場や、スマートコントラクトを通じて取引を提供するサービスでは、運営主体、注文処理、資産保管、利用者への提供方法が異なる。

それでも、DEX・DeFi業界にとって判決の示唆は大きい。第一に、商品を「イベント契約」「デリバティブ」「分散型市場」と呼ぶだけでは、賭博法など別の規制を回避できない。裁判所は名称よりも、参照対象、経済的性質、利用方法を重視する可能性がある。

第二に、スマートコントラクトが自動執行されても、ウェブサイト、アプリ、開発会社、マーケット作成者などが州内利用者へサービスを提供していれば、規制当局が接点を見いだす可能性がある。Polymarketのような予測市場を検討する事業者も、プロトコルの技術設計だけでなく、利用地域、対象イベント、フロントエンド運営を分けて分析する必要がある。

第三に、CFTCの監督対象であることと、州法上のスポーツ賭博に当たらないことは同義ではない。Kalshiの敗訴は、連邦規制への準拠だけで全米展開を正当化することの難しさを具体的に示した。

利用者と事業者が確認すべきポイント

Kalshiや類似サービスの利用者は、プラットフォーム全体の合法性を一括して判断するのではなく、自分が居住する州と取引対象を確認したい。政治、経済指標、暗号資産価格、スポーツでは、同じ予測市場内でも適用される規制論が異なる可能性がある。

事業者側では、少なくとも契約の参照対象、州ごとの賭博法、連邦商品法上の分類、年齢確認や本人確認、地域制限、広告表現を分けて検討する必要がある。Kalshiの事例では、CFTC認可市場であることを前提にしつつも、Ohio Casino Control CommissionとTennessee Sports Wagering Councilがそれぞれ州の制度を根拠に介入した。

また、流動性を全米で共有する市場では、特定州だけを除外する措置が注文板や価格形成へ影響する可能性がある。ただし、今回の判決だけから具体的な取引量や収益への影響を算定することはできない。サービスの提供状況や今後の上訴を公式発表と裁判記録で継続的に確認すべきだ。

まとめ

第6巡回区控訴裁判所は、Kalshiがスポーツ・イベント契約をCEA上のスワップと十分に立証できず、仮にスワップだとしても連邦法がオハイオ州とテネシー州の賭博規制を排除しないと判断した。これにより、オハイオ州の差止め拒否は維持され、テネシー州でKalshiを保護していた差止めは取り消された。

一方、第3巡回区はKalshi寄り、第9巡回区と第6巡回区は州規制を認める方向にあり、米国の司法判断は分裂している。Kalshi、Polymarket、その他の予測市場にとって、連邦認可、商品分類、州別規制、サービス提供地域を切り分けた設計がこれまで以上に重要になる。今回の判決は予測市場そのものを否定したものではないが、全国一律の規制モデルが成立しているとはいえない現状を鮮明にした。

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