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Payward、米国でHyperliquid永久先物提供へ
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Payward、米国でHyperliquid永久先物提供へ

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-17

📋 この記事のポイント

  • 1Kraken親会社Paywardが、HyperliquidのHIP-3を利用したオンチェーン永久先物を米国顧客へ提供する計画を発表。
  • 2規制対応の仕組みと利用者への影響を解説します。
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Paywardは、Hyperliquidのオンチェーン基盤を使った永久先物を、米国の適格顧客へ提供する計画を発表した。実現すれば、CFTC規制下の取引所・清算機関・ブローカーと、パブリックブロックチェーン上の注文板を組み合わせる新しい市場構造となる。

ただし、本計画は規制当局の承認を前提としており、開始日、対象銘柄、レバレッジ、手数料などは公表されていない。現時点ではサービス開始の告知ではなく、将来の提供方針を示した段階である。

Paywardが発表した計画の概要

暗号資産取引所Krakenの親会社であるPaywardは2026年9月16日、米国顧客向けにオンチェーン永久先物市場を展開する意向を表明した。最初の展開先として選ばれたのが、分散型取引プロトコルHyperliquidの「HIP-3」市場である。

計画では、Payward傘下のBitnomial Exchangeが契約市場を運営し、Bitnomial Clearinghouseが清算・決済を担う。顧客口座は先物取引業者のNinjaTrader Clearingが管理する。Bitnomial Exchangeは米商品先物取引委員会(CFTC)の指定契約市場、Bitnomial Clearinghouseは登録デリバティブ清算機関、NinjaTrader Clearingは登録先物取引業者として位置付けられている。

一方、注文の照合と取引記録にはHyperliquidのパブリックブロックチェーンを利用する。つまり、規制対応や顧客管理をPayward傘下の登録事業者が受け持ち、取引執行にはオンチェーンの注文板を活用する構想だ。

Paywardによると、取引できるのはNinjaTraderとBitnomialの審査を通過し、双方の許可リストに登録された口座に限られる。このため、一般的なウォレットを接続するだけで利用できるHyperliquid上の市場とは、参加方法が大きく異なる。

HIP-3はどのような仕組みなのか

HIP-3は、第三者がHyperliquid上に独自の永久先物市場を構築・運営できる仕組みである。Hyperliquidの公式ドキュメントでは、通常のHIP-3は一定の条件を満たしたデプロイヤーが市場を展開できる「builder-deployed perpetuals」と説明されている。

デプロイヤーは、取引対象、契約仕様、オラクル、レバレッジ上限などを設定し、市場運営にも責任を負う。必要に応じて取引を停止し、ポジションを決済する操作もデプロイヤーが実行する。注文板、マージン管理、取引APIにはHyperCoreの基盤が利用される。

通常のHIP-3市場には、デプロイヤーによるステーキングなどの技術的・経済的要件が設けられている。これに対してPaywardが構想する市場では、Bitnomialがデプロイヤーとして市場を作成・保有・管理し、許可された顧客のみが参加する。基盤はパブリックブロックチェーンでも、市場アクセスは規制要件に基づいて制限される設計になる。

この違いは重要だ。今回の計画は、既存のHyperliquid市場をそのまま米国顧客へ開放するものではない。PaywardとBitnomialが新しい契約を設計し、登録された事業者の管理下で提供する別市場と理解する必要がある。

オンチェーンと米国規制をどう接続するのか

従来の中央集権型デリバティブ取引所では、取引システム、顧客口座、清算、記録管理が同一企業または関係機関の閉じたシステム内で処理されることが多い。UniswapのようなDEXでは、スマートコントラクトとウォレットを通じてオンチェーン取引が行われるが、一般的な米国先物市場とは規制構造が異なる。

Payward案では、役割が複数のレイヤーに分かれる。Hyperliquidがオンチェーンの注文照合・記録基盤を提供し、Bitnomial Exchangeが契約を上場・管理する。Bitnomial Clearinghouseが清算を担い、NinjaTrader Clearingが顧客口座を受け持つ構成だ。

これが承認されれば、オンチェーン取引の検証可能性や常時稼働に近い市場設計を残しつつ、本人確認、口座審査、顧客資産管理、清算といった規制上の責任主体を明確にできる可能性がある。

ただし、ブロックチェーン上で取引が処理されることと、利用者が自己管理ウォレットで自由に参加できることは同義ではない。許可リスト方式である以上、口座開設地域、適格性審査、証拠金、対象商品などにはBitnomialやNinjaTraderの規則が適用される見込みだ。

永久先物の特徴と利用者が負うリスク

永久先物は、一般的な先物と異なり、あらかじめ決められた満期日を持たないデリバティブである。現物価格との乖離を抑えるため、ロング側とショート側の間で資金調達率に基づく支払いが発生する設計が広く用いられている。

満期ごとの乗り換えが不要な一方、保有期間中の資金調達コストは変動する。価格変動とレバレッジによる損失に加え、証拠金不足による強制清算、オラクル価格、流動性、注文板のスリッページにも注意が必要だ。

HIP-3ではデプロイヤーがオラクルや契約仕様を設定するため、利用者は「Hyperliquid上の市場」という名称だけで判断すべきではない。Bitnomialがどの指数を参照するのか、価格異常時にどのような停止・清算手続きを採用するのか、証拠金をどこで管理するのかを確認する必要がある。

また、CFTC登録事業者が関与しても、相場損失が補償されるわけではない。規制された市場であることと、商品自体の価格変動リスクが低いことは別問題である。

DEX・DeFi市場に与える可能性

Paywardの計画が実現した場合、Hyperliquidにとっては、オンチェーンデリバティブ基盤を規制市場向けにも提供できることを示す事例となる。HIP-3は特定企業専用の機能ではないため、将来は別の取引所や金融事業者が独自の契約市場を展開する可能性も考えられる。

Paywardにとっては、2026年に買収を完了したBitnomialの取引所・清算機能と、NinjaTraderの顧客基盤をオンチェーン市場へ接続する取り組みとなる。Krakenという取引画面だけに商品を追加する話ではなく、グループ内の規制インフラをHyperliquidへ展開する点が重要だ。

DeFi全体では、「完全に許可不要な市場」と「パブリックチェーン上で稼働する許可制市場」が併存する流れを強める可能性がある。AaveやUniswapなどの既存DeFiプロトコルでも、機関投資家向けアクセスやコンプライアンスとの接続が継続的な課題となってきた。PaywardとHyperliquidの構想は、プロトコルを閉じた金融システムへ置き換えるのではなく、公開基盤の上に規制された参加層を設けるアプローチといえる。

もっとも、承認後に十分な流動性が集まるか、既存の海外永久先物市場と競争できるかは未確認である。許可制市場では参加者が限定されるため、オンチェーンであることだけで厚い注文板が形成されるとは限らない。

今後確認すべきポイント

最初に確認すべきなのは、CFTC関連の承認とBitnomialの規則・商品届出である。発表時点でPaywardは「規制当局の承認を条件とする」と明記しており、提供開始日は示していない。

次に、上場される契約の原資産、参照価格、証拠金通貨、最大レバレッジ、資金調達率の計算方法、取引時間を確認したい。今回の発表だけでは、既存のHyperliquid永久先物と同じ条件になるとは判断できない。

さらに、手数料、入出金方法、秘密鍵の管理主体、オンチェーンで公開される情報の範囲も重要だ。顧客が直接ウォレットで署名するのか、NinjaTraderの口座を通じて注文するのかによって、通常のDEX利用とは操作性やカストディーリスクが変わる。

Payward、Bitnomial、NinjaTrader、Hyperliquidの公式情報に加え、CFTCの届出ページで契約条件と規則の更新を確認してから利用を判断するのが現実的である。

まとめ

Paywardは、HyperliquidのHIP-3を利用し、米国顧客向けのオンチェーン永久先物市場を構築する計画を公表した。Bitnomialが市場運営と清算を担い、NinjaTrader Clearingが顧客口座を管理することで、オンチェーン注文板と米国の規制インフラを接続する構想である。

実現すれば、パブリックブロックチェーンを規制されたデリバティブ市場の執行基盤として利用する重要な事例になり得る。一方、開始日、対象商品、手数料、レバレッジなどは未発表であり、規制承認も完了していない。利用を検討する際は、正式な商品仕様、口座要件、資金調達コスト、清算条件を確認し、一般的なHyperliquid市場との違いを理解する必要がある。

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