Securitize Stocksは、米国株を1対1で裏付けたセキュリティ・エンタイトルメントとしてSolana上で取引できるサービスです。 StoneXは、この新事業がSecuritizeの新たな収益源になると評価し、SECZの目標株価を12ドルから18ドルへ引き上げました。 ただし、目標株価はアナリストの予測であり、事業収益や株価上昇を保証するものではありません。
StoneXが目標株価を引き上げた理由
The Blockによると、StoneXのアナリストであるMark Palmer氏は2026年10月12日、Securitizeの投資判断を「Buy」に据え置き、目標株価を12ドルから18ドルへ引き上げました。引き上げ幅は50%です。評価の中心にあるのが、同月8日に始動したSecuritize Stocksです。従来のSecuritizeは、BlackRock、Apollo、Hamilton Laneなどの運用商品をオンチェーン化する基盤として知られてきました。今回、個別株の取引に事業領域を広げたことで、取引、ブローカー業務、清算・決済、移転管理へ収益機会を拡張できる可能性が出てきました。
重要なのは、StoneXの判断が「すでに大きな利益が確定した」という意味ではない点です。新サービスの取引量、手数料率、利用地域、運営費用は今後の実績で検証されます。Securitize自身も将来見通しには不確実性があると明記しています。したがって今回のニュースは、確定した業績ではなく、Securitizeの事業モデルに新しい柱が加わったことへの評価と読むべきです。
Securitize Stocksは何を提供するのか
Securitizeの公式発表では、Securitize StocksはApple、Microsoft、NVIDIA、Alphabet、Tesla、Meta、Amazon、Netflix、Circle、SpaceX、Strategy、Palantirの株式に対応するセキュリティ・エンタイトルメントから開始しました。対象者は米国、EU、そのほか許可された法域の適格投資家です。取引はSecuritize Marketsの登録ブローカーディーラー基盤で提供され、オンチェーン部分にはSolana、決済資産にはUSDCが使われます。
各トークンは原株で1対1に裏付けられ、UCC第8編に基づく権利を表します。配当や、原株の種類に議決権がある場合の議決権など、経済的利益と権利を維持する設計です。一方、保有者が直ちに原発行会社の株主名簿へ載るわけではありません。Securitizeの開示では、所定の条件下で移転代理人の帳簿上の直接保有へ転換できる仕組みとされています。この点は、単に株価へ連動する合成トークンとの重要な違いです。
Solanaを使う取引・決済の仕組み
Securitize Stocksは、Solana上のSecuritize PropAMMを通じて取引を始めました。Jump Tradingがマーケットメーカーとして流動性、価格形成、執行を支援します。開始時点の取引時間は延長時間帯で、24時間・週7日取引は将来計画です。NYSEが開発中のデジタル取引施設とOKXICEのTokenized Securities Venueも接続候補ですが、いずれも未稼働であり、規制・運用要件を満たすことが前提です。
Solanaを採用する意味は、株式に関する権利管理とオンチェーン決済を一つの取引体験へ近づけられることです。ただし、パブリックチェーンを使っていても無条件で誰でも取引できるわけではありません。Securitizeでは口座開設、KYC・AML確認、居住地域や法令に基づく適格性判定が必要です。自己管理ウォレットを使える場面が広がっても、証券規制上の参加条件は残ります。
新たな収益源はどこから生まれるのか
StoneXが注目したのは、Securitizeが「資産を発行・管理する会社」から「トークン化証券の取引市場も運営する会社」へ近づく点です。Securitize Stocksでは、ブローカーディーラー、オンチェーン取引、清算・カストディ、移転代理人との接続が一体化されています。利用が増えれば、取引関連の手数料だけでなく、発行体向けのトークン化支援、権利管理、流通市場への接続など複数の収益機会が考えられます。
ただし、公式発表は具体的な手数料体系や収益予想を示していません。そのため、どの収益項目がどれだけ成長するかを現時点で断定することはできません。Securitizeの価値を考える際は、取扱銘柄の多さだけでなく、実際の取引量、スプレッド、継続利用者、規制対応コスト、発行体との提携拡大を確認する必要があります。StoneXの18ドルという目標も、こうした前提を置いた評価であり、確約ではありません。
SECの制度整備が与える追い風
米証券取引委員会(SEC)は2026年9月、条件を満たすTokenized Securities Venueに対し、取引所の定義から一時的に除外する「Innovation Exemption」を公表しました。対象は許可制AMMと流動性プールを用いるトークン化NMS株式です。トークン保有者が同等クラスの通常株式と同じ権利を持つこと、スマートコントラクトが監査可能かつ公開されていること、原株の取引停止と同時に売買を止めることなどが条件です。
この制度はSecuritize Stocksの方向性と重なりますが、何でも自由に上場できる免許ではありません。銘柄数や取引量には制限があり、第三者がトークン化する場合は原発行体への通知と異議申立ての機会も必要です。免除措置には期限があり、恒久制度ではありません。SecuritizeやOKXICEが事業を拡大するには、技術だけでなく、開示、停止機能、権利の同等性、参加者管理を継続的に満たす必要があります。
AaveなどDeFiとの接続可能性
Securitizeは、裏付け株式を貸し出さない方針を示す一方、将来的にはAaveのような対応済みレンディング市場で、トークンを担保や貸借に利用できる可能性を挙げています。実現すれば、投資家はトークン化株式を売却せずに流動性を得る、あるいは株式とステーブルコインを組み合わせた戦略を構築できるようになります。SolanaではすでにRaydiumやKaminoがトークン化資産を扱う事例があり、証券とDeFiの接点は実験段階から商品化へ進みつつあります。
もっとも、Securitize StocksがAaveで利用可能になったと公式発表されたわけではありません。株式を担保にする場合、原株価格の変動に加えて、オラクル、清算、スマートコントラクト、流動性、法域ごとの規制という複数のリスクが重なります。合成株式、セキュリティ・エンタイトルメント、発行体が直接トークン化した株式では権利構造も異なるため、DeFiプロトコル名だけで同じ商品と判断してはいけません。
利用者と投資家が確認すべきリスク
第一に、Securitize Stocksの保有者は、直接株主へ転換するまでは原発行会社の株主名簿上の株主ではありません。AppleやNVIDIAなどの発行会社も、この商品を支援・承認しているわけではありません。第二に、24時間取引やNYSE・OKXICEとの接続は将来計画であり、開始時期や実現を前提にしないことが重要です。
第三に、Solana上の決済が速くても、原株市場の停止、証券規制、KYC、清算・カストディの運用は残ります。AMMでは流動性が薄い局面に価格差が広がる可能性もあります。第四に、SECZの目標株価はStoneXの分析であり、市場価格や将来収益の保証ではありません。利用者は、対象法域、換金・転換条件、配当や議決権の処理、手数料、秘密鍵管理、スマートコントラクト監査の開示を確認すべきです。
まとめ
StoneXによるSecuritizeの目標株価引き上げは、Securitize Stocksが同社に取引市場という新しい収益機会をもたらすとの見方を反映しています。SolanaとUSDCを使い、米国株を1対1の裏付けと権利付きでオンチェーン化する設計は、単純な価格連動トークンとは異なります。
一方で、収益規模、24時間取引、NYSEやOKXICEとの接続、Aaveでの担保利用はいずれも今後の実績や条件整備を待つ部分があります。Securitizeの成長性を評価する際は、アナリスト目標だけでなく、実取引量、流動性、権利行使、規制対応、DeFi連携が安全に機能するかを継続的に確認する必要があります。





