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Robinhood技術者2人を訴追、DEX先物取引の内幕
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Robinhood技術者2人を訴追、DEX先物取引の内幕

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-09-17

📋 この記事のポイント

  • 1Robinhoodの技術者2人が、暗号資産の上場予定を利用してHyperliquidの無期限先物を取引した疑いで訴追された事件を解説。
  • 2DEXにも及ぶ米国法執行と利用者・事業者への影響を整理します。
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Robinhoodの技術者2人が、社内の暗号資産上場情報を利用し、分散型デリバティブ取引所Hyperliquidで無期限先物を取引した疑いで米連邦検察に訴追された。 本件の重要点は、取引場所がDEXであっても、秘密情報の不正利用に対する商品詐欺・通信詐欺の適用を免れないと検察が示したことだ。 以下はCoinDeskの報道を基に、米司法省の発表と訴状で事実関係を補足したものである。現時点では訴追段階であり、被告人の有罪が確定したわけではない。

Robinhood技術者2人を米検察が訴追

米ニューヨーク南部地区連邦検察は2026年9月15日、Robinhood Marketsの技術者だったHefu Chai被告とHuaisong Xiang被告(別名Jerry Xiang)を、商品詐欺および通信詐欺の容疑で訴追したと発表した。

検察の主張によると、両被告はRobinhood Cryptoが新たに取り扱う暗号資産と、その上場時期に関する重要な非公開情報へ業務上アクセスできる立場にあった。この情報を利用し、Robinhoodによる一般向け発表より前にHyperliquidで対象トークンの無期限先物をロングした疑いが持たれている。

米司法省は、両被告がそれぞれ一連の取引から5万ドルを超える利益を得たと主張している。Chai被告については少なくとも10回、Xiang被告についてはPOPCATの取引に加え、少なくとも10回の別の取引が訴状に記載された。つまり、Xiang被告については合計で少なくとも11回の取引機会が問題とされている。

訴追された罪はそれぞれ、商品取引所法違反が法定上最長10年、通信詐欺が最長20年の拘禁刑を伴う可能性がある。ただし、これは法定上限であり、実際の量刑を意味しない。米司法省も、訴状の内容はあくまで当局の主張であり、両被告は有罪判決が確定するまで無罪と推定されると明記している。

非公開の上場情報はどのように使われたのか

訴状によると、Robinhoodでは暗号資産の上場計画を知る一部の従業員を「Coin Aware Individuals」として指定し、限定公開のSlackチャンネルで上場日、準備状況、ローンチに関する情報を共有していた。Chai被告は上場業務を担当するテクニカルリード、Xiang被告は新規暗号資産の上場に携わるソフトウェアエンジニアだったとされる。

Robinhoodの社内方針では、重要な非公開情報を保有した状態で、証券、暗号資産、イベント契約などを取引することが禁じられていた。Coin Aware Individualsには、上場・上場廃止の公表前から、公表後24時間が経過するまで取引を行わないという制限も設けられていたという。

Chai被告の訴状には、MEW、MOODENG、ASTER、XPL、HYPE、ENA、AERO、SYRUP、LDO、DOT、LITに関連する取引が例示されている。例えば、RobinhoodがHyperliquidのネイティブトークンHYPEを取り扱うという非公開情報を得た後、Hyperliquid上でHYPE無期限先物のロングを建て、一般発表前に決済して利益を得たというのが検察側の主張だ。

Xiang被告については、POPCAT、MEW、MOODENG、ONDO、RENDERなどの事例が挙げられた。POPCATでは、上場予定が社内で共有された後にHyperliquidへ資金を移し、ロングポジションを開設したとされる。訴状は、公開ブロックチェーン上の取引情報、Robinhoodから提供された資料、暗号資産関連企業の記録などを組み合わせ、ウォレットと本人との関係を説明している。

Hyperliquidの無期限先物が使われた理由

Hyperliquidは、暗号資産などを原資産とするデリバティブをオンチェーンで取引できるDEXだ。本件で使われたとされる無期限先物は、通常の期限付き先物とは異なり満期日がない。トレーダーは現物トークンを保有せず、価格上昇を予想するロング、または価格下落を予想するショートを取れる。

Hyperliquidの公式仕様では、暗号資産の無期限先物は主としてUSDCを証拠金に用いる線形契約として設計されている。先物価格を原資産の現物価格へ近づけるため、ポジション保有者の間では定期的なファンディング支払いが発生する。

無期限先物は証拠金取引に対応するため、現物購入より少ない元手で大きな価格エクスポージャーを構築できる。その反面、予想と反対方向へ価格が動けば損失も拡大し、証拠金が不足すると清算される可能性がある。

上場発表後の値上がりを予測していたとすれば、発表前にロングを建てることで価格変動を利益へ変えやすい。検察は、両被告がこの仕組みと職務上得た非公開情報を組み合わせたと主張している。なお、無期限先物という商品の利用自体が違法なのではなく、秘密保持義務に反して得た情報を取引へ利用したかどうかが事件の中心である。

DEXでも既存の詐欺規制から逃れられない

今回の訴追は、DEX上の取引だからといって、既存の法執行から自動的に切り離されるわけではないことを示している。米検察は、問題となった取引を商品詐欺と通信詐欺の枠組みで構成した。

商品詐欺の訴因では、義務に反して取得した重要な非公開情報を、無期限先物という商品デリバティブの取引に利用した点が問題とされた。通信詐欺の訴因では、秘密情報を不正利用する計画を実行し、通信手段を通じて取引相手から金銭または財産を得たという構成が採られている。

これは、トークン自体が証券に該当するかという論点だけに依存しないアプローチである。原資産の法的分類について議論が続いていても、その価格に連動するデリバティブ取引や、情報の不正流用を伴う行為には、商品・詐欺関連法が適用され得る。

また、オンチェーン取引は匿名ではなく、基本的には仮名的である。Hyperliquidを含むDEXではウォレットアドレス、資金移動、注文・決済の時系列を追跡できる場合がある。訴状でも、取引所アカウントとウォレット間の送受金記録が、対象ウォレットを両被告へ結び付ける根拠として使われている。

Robinhoodと暗号資産事業者への影響

CoinDeskに寄せた声明でRobinhoodは、市場の公正性を重視し、インサイダー取引を容認しないと説明した。同社は問題を直ちに調査し、法執行機関および規制当局へ報告したうえで、捜査へ引き続き協力するとしている。米司法省もRobinhoodによる捜査協力に言及した。

暗号資産取引所や上場プロジェクトにとって、本件はアクセス権管理だけでは不十分であることを示す事例となる。上場予定を閲覧できる従業員の限定、アクセスログの保存、ウォレットを含む取引申告、上場前後のブラックアウト期間、異常取引の監視を一体化する必要がある。

特に注意すべきなのは、現物だけを監視対象にしても十分ではない点だ。Hyperliquidの無期限先物のほか、将来的にはHIP-3によるビルダー展開型の市場など、同じ原資産へのポジションを作る経路が増える可能性がある。社内規程では、中央集権型取引所、DEX、デリバティブ、関連ウォレットを横断して取引制限を定義することが重要になる。

トークン発行者側も、取引所への上場申請や技術統合の過程で知り得た情報を、マーケットメーカー、外部開発会社、広報会社まで含めて管理しなければならない。上場情報に接する主体が増えるほど、情報漏えいと先回り取引の検知は難しくなる。

DEX利用者が理解しておくべき実務上の注意点

一般の利用者にとっても、「オンチェーン上で注文できること」と「その取引が法的に許容されること」は別問題だ。ウォレット接続だけで利用できるサービスでも、居住地の規制、利用規約、税務、制裁、デリバティブ規制などは残る。

企業の従業員、業務委託先、アドバイザーが職務上知った上場、提携、買収、トークン発行などの未公表情報を基に取引することは、高い法的リスクを伴う。本人が現物を買わず、Hyperliquidなどで無期限先物を取引した場合や、別のウォレットを使った場合でも、安全になるとは限らない。

また、上場直前の急なロングをオンチェーンで発見して追随する戦略にも注意が必要だ。取引理由は外部から確定できず、誤った推測に基づく追随、薄い流動性によるスリッページ、発表後の急反落、レバレッジ清算といったリスクがある。ウォレット履歴だけを根拠に、内部情報を持つ人物だと決めつけることも避けるべきである。

実務上は、無期限先物の仕組み、ファンディング、証拠金方式、清算条件を公式ドキュメントで確認し、損失可能額を事前に限定する必要がある。本件はHyperliquidのプロトコル障害やスマートコントラクト侵害ではなく、利用者による情報の取得・利用方法が問われた事件である点も区別したい。

まとめ

Robinhoodの元技術者2人は、同社の暗号資産上場予定を知る立場を利用し、Hyperliquidで対象トークンの無期限先物を先回りして取引したとして訴追された。米司法省は、両被告がそれぞれ5万ドルを超える利益を得たと主張している。

本件が示すのは、DEX、ウォレット、無期限先物を経由しても、秘密情報の不正利用に関する規制から逃れられるとは限らないということだ。公開ブロックチェーンの取引記録は、むしろ資金の流れや取引時刻を捜査する材料になり得る。

一方、現時点では訴状に基づく主張であり、有罪判決ではない。今後は裁判手続きに加え、暗号資産事業者が上場情報の管理、従業員のDEX取引、ウォレット分析をどのように統制するかが注目される。

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