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ウォール街のトークン化で注目されるDeFi基盤と収益構造を徹底解説
トークン化·7分で読める

ウォール街のトークン化で注目されるDeFi基盤と収益構造を徹底解説

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-10-09

📋 この記事のポイント

  • 1ウォール街で進む株式・債券・融資のトークン化を、Citrini Researchの論点から解説。
  • 2Ondo、Maple、Pendleなど、取引・融資・利回り市場で手数料を得るDeFi基盤の可能性とリスクを整理します。
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トークン化とは、株式や債券、融資債権などの権利や経済的価値を、ブロックチェーン上で移転可能なトークンとして表現する仕組みです。 Citrini Researchは、ウォール街のオンチェーン化で恩恵を受けるのはBTCやETHだけではなく、取引・融資・決済から継続的に手数料を得る企業やDeFiプロトコルだと分析しました。 重要なのは、利用量の増加が誰の収益になり、その価値が株主やトークン保有者へどう届くかを見極めることです。

ウォール街のトークン化をCitriniはどう見ているか

CoinDeskが2026年10月8日に報じたところによると、Citrini Researchは同日公開のレポート「Breaking The Wall」で、株式、債券、ローンなどがオンチェーン化されれば、取引、融資、決済に新たな市場が生まれると論じました。トークン化された株式をウォレットから融資の担保に差し入れる、といった従来の証券口座では難しかった組み合わせも視野に入ります。

Citriniが強調するのは、テーマへの投資手段をBTCやETHの値上がりだけに限定しないことです。同社は上場企業ではSecuritize、Coinbase、Robinhood、Circle、Figure、SoFi、Bullishを挙げ、暗号資産ではAerodrome、Maple、Ondo、Pendle、Aave、Uniswap、Ethena、Chainlink、LayerZero、Deriveなどに注目しました。共通点は、資産の発行、売買、信用供与、決済、データ配信、チェーン間接続のいずれかで料金を得られる立場にあることです。

ただし、これは推奨銘柄の一覧ではありません。Citrini自身も、ネットワーク活動が増えてもトークン価格が上がるとは限らず、手数料を誰が受け取り、トークン保有者にどのような価値が帰属するかを確認すべきだと注意しています。

企業側の候補は発行・取引・決済の料金所

企業側では、Securitizeが証券とブロックチェーン上のトークンを法的に結び付ける発行・名義管理の役割を担う例として紹介されました。CoinbaseとRobinhoodは取引窓口やブロックチェーン基盤、CircleはUSDCによる決済、Figureはオンチェーン融資、SoFiはステーブルコイン決済への接点が評価されています。Bullishについては、機関投資家向け取引所に加え、株主名簿管理会社Equinitiの買収計画がトークン化証券の管理業務と結び付く可能性が論点です。

ここでの収益仮説は比較的わかりやすく、発行額や取引量が増えるほど、発行管理料、売買手数料、保管料、決済関連収益が伸びるというものです。一方で、同じ機能を複数社が提供すれば料金競争が起きます。さらに、証券トークンは暗号資産とは異なり、本人確認、販売可能地域、投資家保護、名義記録などの制度対応が必要です。単にブロックチェーンを採用しただけで、高い利益率が保証されるわけではありません。

Ondoが示す「株式トークン」の実像

Ondo Financeの公式資料によると、Ondo Stocksは米国上場株式やETFへのオンチェーン上の経済的エクスポージャーを提供する設計です。トークンは原資産で裏付けられ、配当再投資後の経済価値への連動を目指しますが、保有者が原株の直接名義や議決権などの株主権を得る仕組みではありません。主な対象は米国外の適格な利用者で、直接の売買にはKYCが必要です。

この違いは実務上きわめて重要です。「株価に連動するトークン」と「株式そのものの法的所有権」は同義ではありません。Ondoの資料では、通常は週5日を通じた取引を想定し、一部資産には時間外セッションもありますが、リスク制限やコーポレートアクションに伴う停止もあり得るとされています。したがって、24時間365日いつでも完全に換金できると理解するのは不正確です。

DeFiとの接続余地はあります。Ondoは、対応する融資プロトコルの担保や無期限先物の参照資産として利用できる設計を掲げています。Morphoや1inch、CoW Protocolなどがエコシステム参加者として挙げられており、発行だけでなく交換、担保評価、清算、保管へ経済圏が広がる可能性があります。

MapleとAaveが担うオンチェーン信用市場

株式や債券がオンチェーン化されると、次に必要になるのが融資です。Citriniは機関向けオンチェーン融資のMapleと、分散型レンディング基盤のAaveを候補に挙げました。両者は同じ「貸し借り」でも、信用審査、担保、流動性供給の構造が異なるため、同列に扱うべきではありません。

Mapleの公式資料では、syrupUSDCなどの利回りは、機関投資家向けの固定金利・過剰担保ローンから生じると説明されています。syrupUSDCはUSDCそのものではなく、Maple上の融資プール持分を表す利回り付きトークンです。Circleとの提携商品でもなく、融資先の信用リスクや元本損失の可能性があります。名称にUSDCが含まれていても、Circleが元本や運用成果を保証するわけではありません。

今後、トークン化された証券が担保として利用されれば、MapleやAaveのような基盤には新しい借り手と貸し手が流入し得ます。しかし、担保価格の急落、オラクル停止、清算の集中、スマートコントラクト不具合が連鎖すれば、原資産が優良でも損失は起こり得ます。担保の法的執行可能性とオンチェーン清算の技術的可用性を分けて確認する必要があります。

Pendle・DEX・デリバティブへ広がる二次市場

トークン化は現物売買で終わりません。Pendleは利回り付き資産を元本部分のPTと利回り部分のYTへ分け、それぞれを市場で取引できる仕組みを提供します。公式資料では、YTは満期までの利回りを受け取る権利、PTは満期時に会計基準資産を償還する権利を表します。トークン化国債や融資商品の利回りがDeFiで扱えるようになれば、固定利回りを確保したい参加者と将来利回りに投資したい参加者を分ける市場が形成されます。

交換レイヤーではUniswapやAerodrome、デリバティブではDerive、Hyperliquid、Lighter、Variationalが論点になります。現物トークンの流動性が増えれば、オプションや無期限先物、裁定取引への需要も増えるという見方です。Chainlinkの価格データやLayerZeroのチェーン間接続も、複数ネットワークに分散した資産を扱うための基盤になり得ます。

一方、流動性がチェーンやDEXごとに分散すると、価格乖離やスリッページが拡大します。デリバティブは現物の法的権利を持たず、価格変動だけを追う合成商品である場合もあります。利用者は、原資産への請求権、価格フィード、清算方式、ブリッジ依存、手数料の配分先を商品ごとに確認すべきです。

読者が確認すべき収益構造とリスク

トークン化テーマを評価するときは、まず実際の利用から生じる収益を追います。CoinbaseやRobinhoodなら取引・保管、Circleなら決済に使われるUSDC、Ondoなら発行・償還と流通、Mapleなら融資利息、PendleやUniswapなら市場取引が確認点です。そのうえで、収益が運営企業、流動性提供者、ステーカー、トークン保有者のどこへ帰属するかを分解します。

次に、法的権利を読みます。Ondo Stocksのように経済的エクスポージャーを提供しても、議決権や直接所有権がない商品があります。販売地域やKYC条件もプロジェクトごとに異なります。最後に、スマートコントラクト監査だけでなく、カストディ、発行体、オラクル、ブリッジ、清算流動性という複数の故障点を確認します。

BTCやETHは基盤資産として恩恵を受ける可能性がありますが、トークン化の成長と価格上昇の間に自動的な関係はありません。個別プロトコルも同様で、取引量が増えてもインセンティブ支出が収益を上回る、あるいは手数料がトークン保有者へ還元されないケースがあります。TVLや取引量だけでなく、純収益、利用者の継続性、権利関係を合わせて見ることが実用的です。

まとめ

Citrini Researchの主張は、ウォール街のトークン化を単純なBTC・ETHの強気材料として扱うのではなく、オンチェーン金融のどこに手数料と権利が集まるかを見るべきだ、というものです。Securitize、Coinbase、Circleなどの企業は発行・取引・決済で、Ondo、Maple、Pendle、Uniswapなどは資産化・融資・利回り取引・交換で恩恵を受ける可能性があります。

ただし、トークン化された商品は、原資産の直接所有権、合成的な価格連動、融資プール持分など法的・経済的な中身が異なります。投資や利用を検討する際は、手数料収益の帰属、償還条件、KYCと地域制限、担保・清算、オラクルやブリッジの依存関係を公式資料で確認することが欠かせません。トークン化市場の拡大は新しい金融機会を生みますが、プロトコル利用の増加がそのままトークン価格の上昇を意味するわけではありません。

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