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Spark、消費者アプリ撤退でB2Bインフラへ転換
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Spark、消費者アプリ撤退でB2Bインフラへ転換

SSatoshi.K(dex.jp編集部)公開日: 2026-08-03

📋 この記事のポイント

  • 1DeFiレンディングのSparkが自社アプリを棚上げし、Robinhoodなどのバックエンドへ転換。
  • 2ステーブルコイン分断化を商機と捉える戦略を、公式情報をもとに解説します。
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分散型金融(DeFi)のレンディング・流動性ユニット「Spark」が、自社の消費者向けアプリを無期限で棚上げし、金融企業の「見えないバックエンド」として利回りを供給するB2B2Cモデルへ舵を切った。運営元Phoenix LabsのCEOサム・マクファーソン氏はCoinDeskの取材で、ステーブルコイン市場の分断化こそが同社の商機だと語っている。本稿では、その戦略転換の中身と背景を、CoinDesk報道と各プロジェクトの公式情報をもとに整理する。

Sparkとは何か:SkyエコシステムのレンディングユニットSparkは、旧MakerDAOであるDeFiエコシステム「Sky」の系列にあたるレンディング・流動性ユニットである。ステーブルコイン「USDS」を発行するSkyのガバナンスと資本に支えられ、開発はPhoenix Labsが担う。

MakerDAOは長年、担保付きステーブルコイン(旧DAI、現USDS)の発行体としてDeFiの中核を担ってきた。Sparkはその資本基盤を活用し、オンチェーンでドル建て資産を運用・貸し出す「資本の配分レイヤー」として位置づけられている。今回の転換は、この配分機能を一般ユーザー向けのフロントエンドではなく、外部の金融企業に対して卸売り的に提供する方向へ深化させたものだ。

消費者アプリを捨てた理由:ユーザー獲得競争からの離脱これまでのDeFiプロトコルの多くは、独自のアプリやインターフェースを通じてエンドユーザーを直接囲い込もうとしてきた。しかしSparkは、Robinhoodのような企業と「ユーザーを奪い合う」のではなく、それらの企業に利回りを供給する裏方に回る道を選んだ。

マクファーソン氏によれば、自社の消費者向けアプリは無期限で棚上げされた。狙いは、フィンテックや取引所が自らのユーザー体験を維持したまま、その内部でSparkの利回りを使ってもらうことにある。ブランドの前面に立つのは提携先企業であり、Sparkはインフラとして機能する。マクファーソン氏はこのモデルを「インフラモデルが機能している証拠」と表現している。

Robinhood Earnの事例:Morphoを介した利回り供給転換の象徴的な実例が、Robinhood Earnである。報道によれば、Robinhood Earnの2億ドル規模のボールト(運用金庫)はレンディングプロトコル「Morpho」上で稼働しており、Sparkはその3つの担保供給源のうちの1つとなっている。

この構造では、ユーザーはRobinhoodというなじみのある入口を使い続けながら、その裏側でMorphoのインフラとSparkを含む複数の担保源が利回りを生み出す。DeFiに詳しくないユーザーが、意識せずにオンチェーンの利回りにアクセスできる点が特徴だ。マクファーソン氏は、この事例をB2B2Cモデルが成立することの裏付けとしている。

弱気相場の直撃:売上高8000万ドルから2000万ドルへ戦略転換の背景には、厳しい収益環境がある。CoinDeskによれば、Sparkの売上高は弱気相場のなかで8000万ドルから2000万ドルへと減少した。金利や貸出需要に収益が左右されるレンディング事業にとって、市況の悪化は直接的な打撃となる。

こうしたなかで最も速く成長している事業ラインが、店頭(OTC)レンディングである。報道時点で貸付残高は2億6000万ドルに達しており、Sparkは年末までにこれを10億ドルへ拡大する目標を掲げている。消費者向けの薄いマージンを追うより、機関投資家や企業向けの大口レンディングに軸足を移すという判断が、収益構造の面からも読み取れる。

ステーブルコイン分断化という賭けSparkの戦略の根底には、「ステーブルコイン市場はこれからますます分断化する」というマクファーソン氏の見立てがある。フィンテック、取引所、銀行グループが相次いで独自のドル連動トークンを発行し、それぞれが利用者・準備金・取引を自社ネットワーク内に囲い込もうとしているためだ。

実際、ドル連動トークンは乱立している。PayPalはPYUSD、CircleはUSDC、TetherはUSDTを持つ。Robinhoodは「Global Dollar(USDG)」コンソーシアムに参加しつつ独自チェーンを構築中で、StripeやCoinbaseが加わる「OpenUSD(OUSD)」も大型連合を形成する。さらにEthenaのUSDe、World Liberty FinancialのUSD1、SkyのUSDSなど、数百のステーブルコインが存在する。結果として流動性は多数のトークンとネットワークに散らばっている。Sparkはこれらのネットワークが「それでも相互に接続を必要とする」と見込み、資金を橋渡しするレイヤーになろうとしている。

ステーブルコインFXレイヤー:Uniswapでの流動性集約分断化した市場を接続する具体的な仕組みが、Sparkの「ステーブルコインFXレイヤー」である。これはUniswap上に構築され、利回りを生むプールに流動性を集約することで、機関投資家が異なるステーブルコイン間をスムーズに切り替えられるよう設計されている。

マクファーソン氏によれば、SparkはUSDSをUSDTおよびPYUSDと組み合わせたUniswap v4のプールへ約1億5000万ドルを移行した。このシステムは、Uniswap上のステーブルコイン同士のスワップ取引高の約30%を占め、最初の30日間で約15億ドルをルーティングしたという。なお、この30%という数字はステーブルコイン間のスワップに限った割合であり、ステーブルコインが関わるUniswap全取引を指すものではない点には注意が必要だ。異なる発行体のドルトークンを低コストで交換できる基盤は、まさに分断化した市場をつなぐ「両替所」として機能する。

まとめSparkの今回の転換は、DeFiプロトコルの成熟のあり方を示す一例といえる。ユーザーインターフェースをめぐる正面からの競争を避け、Robinhoodのような大手のバックエンドに徹することで、既存の金融プレイヤーの顧客基盤を敵に回さずに利回りを届ける。売上高が8000万ドルから2000万ドルへ落ち込んだ弱気相場を背景に、OTCレンディングやステーブルコインFXレイヤーといった機関向け事業へ資源を集中させている。

ステーブルコインが乱立し流動性が分断するという前提が正しければ、それらを接続するインフラの価値は高まる。ただし、これはあくまで一つの賭けであり、各発行体が独自エコシステムの囲い込みをどこまで強めるか、そして中立的な接続レイヤーがどれだけ支持されるかによって結果は変わる。投資判断ではなく、DeFiインフラの進化を読み解く視点として、Sparkの動向は注視に値する。

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